プーマ、Web3の没入感あるショッピング体験を拡大。渋谷に行く?それともベルリンに行く?

DIGIDAY

プーマ(Puma)は、デジタルワールドとショッピング体験の第2弾となるブラックステーション2(Black Station 2)を6月13日にローンチ、当初のWeb3へのローンチをさらに拡大している。同社初のWeb3プロジェクトであるブラックステーション1は、昨年9月のニューヨークファッションウィークにてファッションショー「フュートログレイド(Futrograde)」の一環としてローンチした。同ブランドはコミュニティからの学びを第2弾のローンチに役立てている。

プーマのブラックステーションは、ゲーム開発会社アンリアル・エンジン(Unreal Engine)と共同制作したデジタルワールドで、ユーザーは没入感のある環境を見ることができる。また、限定版のデジタルスニーカーおよび物理的なスニーカーの購入も可能だ。第2弾では、さらにふたつのデジタルワールドへと拡大し、それぞれに独特なスニーカーが紐づいている。

「今回の第2弾のローンチに向けて、より幅広いオーディエンスをターゲットにしたいと考えている。誰でも気軽にやってきて体験して遊んでもらえるようにしたい。そこからイテレーションを行い、引き続きアプローチを拡大していく」と、プーマのエマージング・マーケティング・テックとウェブ3の責任者イヴァン・ダシュコフ氏は述べた。

没入感のあるショッピング体験

ユーザーがblackstation.puma.comからアクセスすると、白いドーム状の空間を通り抜け、プーマのエレベーターにたどり着く。そこから渋谷をイメージした「ウンカイ(Unkai)」の世界へと上っていくか、ベルリンのクラブカルチャーをイメージした「ウンター(Unter)」の世界へ降りていくかを選ぶことができる。「ウンカイ」は巨大なプーマのシューズとスーパープーマのマスコットがフィーチャーされた空の世界で、レゴのようなブロックの間をユーザーは浮遊する。「ウンター」では、ユーザーは赤く照らされた洞窟の中へと潜っていく。そしてネオングリーンの足跡をたどってプーマのレイブルームを訪れたり、ルートを変えて鎖で吊るされているプーマの巨大なシューズ、ファストRB(Fast-RB)を見に行ったりもできる。

「このふたつのスペースはどちらもあまりに異なるので楽しい」とダシュコフ氏は述べた。「また、当社の別のNFTプロジェクトであるスーパープーマPFP(Super Puma PFP)に関連したイースターエッグが、このスペースのビジュアルとストーリーの両方にいくつか隠されている」。

イースターエッグとは、ゲーミングの世界でよく見られる仕掛けで、開発者がより広いストーリーに関連づけた隠れアイテムをゲーミング環境に追加するものだ。

プーマはブラックステーション1と2で、ブランドの実店舗での体験に近づけることによってショッピング体験をさらに没入感のあるものにしたいと考えた。マンハッタンの5番街にあるプーマの旗艦店では、顧客が体験できるように没入型ディスプレイやF1カーシミュレーターを設置している。

「今のPuma.comのウェブサイトにアクセスしても非常に静的で、さまざまな製品をスクロールしているだけだ。プーマのブランドを本当に体験することはできない」とダシュコフ氏は言う。

TwitterやDiscordで独自のファンを獲得

当初、プーマは没入型世界とスニーカーのインキュベーターとしてブラックステーションを作った。すぐにWeb3コミュニティで人気を博し、TwitterやDiscord(ディスコード)で独自のファンを獲得した。プーマのTwitterには200万人のフォロワーがおり、熱心なエンゲージメントがあるが、これは主にWeb3コミュニティによるものだ。ブラックステーション1の体験では、10万分以上の時間が費やされている。

「私たちは大規模なブランドであり、Twitterの多くの領域をWeb3の世界で行っていることに捧げている」ダシュコフ氏は言う。「TwitterがWeb3のオーディエンスが活動している場であることを知っているので、Twitterに出没して確実に人々と交流したいと考えている。Twitterは、Web3のオーディエンスとのコミュニケーションや大きなニュースを流すための巨大な広告塔だと考えているが、Discordは、1対1の会話ができる街の広場のような存在だと考えている」。

プーマは2022年8月にDiscordにローンチし、最高時で3万5000人の最大ユーザーを抱えていた。

デジタルコレクティブルの価値を判断する機会に

ブラックステーション1の物理的なスニーカーと連動した最初のNFT4000点はすぐに完売し、現在90%以上が現物と交換されている。ブラックステーション1のスニーカーを購入したユーザーは、2023年後半にスニーカーを受け取ることができる。

プーマNFTワールドの一部としてプーマパス(Puma Pass)を所有するユーザーは、ブラックステーション2のワールドで新しいファストRBスニーカーを購入できるようになる。このスニーカーは2024年以降まで一般には販売されない。ファストRBウンカイとファストRBウンターの2種類のスニーカーが用意される予定だ。ウンカイはデジタルコレクタブルのみで、ユーザーはガス代のみを負担すれば無料で入手できる。ウンターはフィジタルで、価格は0.1ETH(173ドル、約2万4460円)だ。

プーマが最初のBS1スニーカーに似た配色のアイテムを販売した後、Web3コミュニティは次のデジタルドロップでは独占的な配色を求めており、ブランドはそれを実現した。絵の具が飛び散ったような独特な配色のファストRBウンターのスニーカーは、プーマパスのホルダーに提供される予定だ。ブランドにとって重要な情報は、特にプーマパスホルダー間のエンゲージメントに関するデータである。

「当社は、このようなデジタルコレクティブルが人々にとってどの程度の価値があり、どの程度コレクションしたいと思っているのかを調べている」とダシュコフ氏は述べた。

「ゲーミフィケーションの要素が美術館的なものになっていて、芸術的に作られた空間の中で遊ぶ機会が少ないため、Web3とプーマの両方のファンがその世界に入って、またそこに戻ってくるほど、ブラックステーション2に十分な魅力があるかどうかを見るのは興味深い」と、Web3のストラテジストでWeb3スタジオのブロックチェーンスタイルラボ( Blockchain Style Lab)の創業者サーシャ・ウォーリグナー氏は述べている。「あまりにも多くのファッションやストリートウェアがWeb3に飛び込んでおり、ファンの時間と投資に見合うだけのエンターテインメント体験を作り出す賭けはこれまで以上に高くなっている」。

[原文:Puma expands its web3 shopping experience]

ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)

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