スーパーボウル期間中、ペプシが広告を Twitter に戻した理由:「いまだに主要なイベントの会話がリアルタイムで飛び交う場となっている」

DIGIDAY

イーロン・マスク氏による買収とソーシャルでのライバルTikTokの隆盛を受けて、Twitter周辺ではドタバタが続いているが、ペプシコ(PepsiCo)はそれでも、スーパーボウル中、Twitterに再び広告を出した。

「スーパーボウルのような、巨大なライブカルチャーイベントでは、生討論やリアルタイムでのディベート、話題のトピック、そしてこの惑星で最大規模の観覧パーティが生む諸々の楽しみといったものが、カスタマージャーニーに欠かせない重要な要素となる」と、ペプシコのCMOトッド・カプラン氏は話し、同社がTwitterに広告を打つのは、コロナ禍を挟み3年ぶりだと言い添える。

Twitterでブランド認知を高める

このたびペプシコが目指すゴールのひとつは、試合中にTwitter上で同社ブランドに関する、なかでもとりわけペプシ・ゼロシュガー(Pepsi Zero Sugar)に関するエンゲージメントおよび会話が高いレベルで維持される状態を確保することだと、カプラン氏は話す。ペプシは試合に関するライブコメンタリーを提供し、それとゲーム内広告スポットをリンクさせるとともに、「is it real or is it acting(これは本物? それとも演技? の意)」という、同社がスーパーボウルに打つ2つの広告のひとつに関連するコンセプトについても語っていく。DIGIDAYはペプシコに対し、同社のアーンドVSペイドメディア戦略に関する詳細な説明を求めたが、返答はなかった。

インフォメーション(The Information)が発表した報告書によると、ペプシコはスーパーボウル中、300万ドル(約3億9000万円)以上を費やす予定であり、その目的は試合当日のTwitter広告を通じてブランド認知度を高めることにある。ちなみに、スーパーボウルは1年を通じてTwitterの広告収益が最も高いイベントとなっている。

一方、Twitterは25万ドル(約3250万円)の無料広告スペースを餌にし、スーパーボウル広告主を誘い込もうとしている。このオファー――広告主が同額を同プラットフォームに費やすことが条件――で広告主を引き戻せるか否かは、いまだ定かでない。いまのところ、飛びついたブランドはペプシとアンハイザー・ブッシュ・インベブ(Anheuser-Busch InBev)のみとなっている。

「膨大なオーディエンスをつかむ機会」

また、ペプシは今回、ソーシャルメディアに特化した作戦室を設けるが、そのメンバーが何人になるのかについては、カプラン氏は明かさなかった。ただ、スーパーボウルほどの規模のイベントに臨む場合、ソーシャルメディア戦略の計画を綿密に立てたいブランドにとって、そうした作戦室は欠かせないと、氏は言い添える。

「そもそも、試合中に何が起きるのかは、誰にもわからない。それこそが生のスポーツでもある」とカプラン氏。「試合が展開していくなかで、そこにどう反応するのか? 諸々についてどんなふうに話をするのか? 我々にはすでに経験があるし、ここ数年はとりわけ効果的にそれができたと考えている。つまり、全広告主の中で、ある程度の存在感を示せたと自負している」。

コンテンツマネジメントプラットフォーム、エントライブ(EnTribe)のCEOアダム・ドーンブッシュ氏は、1年で最大の盛り上がりを見せるスポーツイベントでTwitterのオーディエンスとの接触を試みるのは、ソーシャルメディアに自社/商品の名前を出したいブランドにとって、正しい選択だと指摘する。「時間的制限のあるアクティベーションをソーシャルメディアで行なう、というペプシの手法は賢明であるし、スーパーボウルは参加型の巨大オーディエンスを捕まえる、格好の機会にほかならない」。

まだTwitterにはチャンスがあるか?

2022年秋のマスク氏による買収を受け、Twitterは一部広告主にとって問題の多いプラットフォームとなり、所有者の変更に伴って起きた騒動に巻き込まれないようとに、多くがTwitterへの資金投入を取り止めた

「ただ、最近の諸々が足を引っ張っているとはいえ、Twitterは依然、グラミー賞やゴールデングローブ賞、スーパーボウルといった主要イベント中に、数多くの会話がリアルタイムで飛び交う場となっている」と、動画テックプラットフォーム、チャンネル・ファクトリー(Channel Factory)のグローバルマーケティング部門SVP、ローレン・ダグラス氏は指摘する。「ペプシのようなブランドが、つまり、投資に対するリアルタイムでのインパクトを拡大したいと、そしてあらかじめティーザー広告を出したいと思っているところは依然、Twitterにはそれができる機会があると見ている。どんなブランドが彼らの例に倣うのか、そしてどのイベントが広告主をTwitterに引き戻すのかは、今後自ずとわかってくるだろう」。

カプラン氏によれば、消費者がTwitterを離れ、ハイヴ(Hive)やマストドン(Mastodon)といった新規プラットフォームに移りつつある流れはもちろん、ペプシコも把握しているが、スーパーボウル中の広告は、そうした新規プラットフォームにも、TikTokやインスタグラムといった人気プラットフォームにも出さないという。

[原文:Why Pepsi is returning to advertising on Twitter during the Super Bowl

Julian Cannon(翻訳:SI Japan、編集:分島翔平)

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