ゲーミフィケーション は企業のESG目標と運用の可視化に貢献:仮想世界設定でデータを活用するウール農家の事例

DIGIDAY

再生ウールサプライヤーのZQRXは、シムシティ(Sim City)のような変革プラットフォームであるアクチュアル(Actual)と提携している。これによって、インタラクティブなデジタルプラットフォームを使い、環境・社会・企業統治(ESG)に関する課題が解決できることが示されている。ウール業界の事例を紹介する。

再生ウールサプライヤーのZQRXは、シムシティ(Sim City)のような変革プラットフォームであるアクチュアル(Actual)と提携している。これによって、インタラクティブなデジタルプラットフォームを使い、環境・社会・企業統治(ESG)に関する課題が解決できることが示されている。

ウール業界のESGを可視化するプラットフォーム、アクチュアル

ファッション業界が、ESG、そしてBコープ(B Corp)認証のようなより厳格な持続可能性基準を実践していくにつれ、サプライチェーン内のゲーミフィケーションがESGに関する課題解決プロセスの簡素化への答えになりそうである。たとえば、前述のパートナーシップのおかげで、ZQRXの顧客はアクチュアルを介して仮想世界設定でESGデータにアクセスしてカーボン/GHG排出量を積極的に削減し、全手順において進捗状況と影響を追跡することが可能になる。ZQRXは、オールバーズ(Allbirds)をはじめ複数のブランドと協働している。

アクチュアルの仮想世界ではZQRXのパートナーごとにカスタマイズされたダッシュボードがあり、それに炭素排出量やエネルギー使用量、予測ROIが表示される。ZQRXは監査と社内データを参照してフィールドにデータを入力したが、このデータの提供が仮想世界の環境に関与するための鍵になる。ESGの目標は予測に合わせて簡単に変更や調整ができるようになる。アクチュアルは、メリノウール農家とブランドがプラットフォーム上で個々の再生型農業プログラムについてコミュニケーションする方法を追加したいと考えている。アクチュアルは今月このパートナーシップを開始したばかりであるが、ほかのブランドや企業がZQRXのリードに従うことは間違いないだろう。

ジョン・ブラッケンリッジ氏は、ZQRXの再生型農業のインデックスとプラットフォームを主導したニュージーランド・メリノカンパニー(New Zealand Merino Company)のCEOである。同氏はこのパートナーシップについてGlossyに次のように述べている。「(アクチュアルのプラットフォーム上で)農家は農場のデジタルクローンを持つことができる。そこで、全データを取り込み、ダッシュボードにアクセスできる。また、15ポイントの基準を使って、所有しているものと(自分の農場の)バイオダイバーシティの数値が示される。それによって農家はスコアリングの方法とどのくらい改善する必要があるかを知ることができる。テクノロジーは我々のセクターにとって巨大になるだろう」。

ZQRXとウール農家との協働

この1年間で、ZQRXの生産者とブランドパートナーのネットワークは大幅に拡大している。今では面積370万エーカー(約14973㎢)を超える460の農場が含まれている。また、ZQRXは高級ブランドにも拡大しており、イタリアのラグジュアリーブランド、レダ(Reda)の糸と生地にZQRXの繊維を使用することが約束されている。再生型農業を受け入れる動きは、サプライチェーンの一掃に尽力しているファッションブランドによって行われてきている。しかし、ZQRXとそのパートナーたちは、必要な手順を3Dデジタル世界のコンテキスト内で視覚化できるデジタルテクノロジーを実装した最初のグループである。

ブラッケンリッジ氏は、テクノロジーを通じて農業のトレーサビリティを改善した点で若い世代の功績を認めている。羊毛産業は世界でもっとも古い産業のひとつであるが、同氏は最新化を通じてこの業界に革命を起こしたいと考えている。「業界がメタバースへ進出したのは業界で働く若者たちのおかげであり、繊維の原点と顧客のあいだのストーリーを可能にするつながりを確立できた。メタバースで起こっていることは基本的なレベルで農業にも影響を及ぼしている。カーボンの測定と緩和を支援するだけではなく、機械学習と人工知能を実装するためにも新しいテクノロジーをどのように組み合わせていくのか。農業におけるテクノロジーの導入は古代にも現代にもある。我々は、認証にとどまらずこれらの要素を真に再生可能なシステムに取り入れつつある。なぜなら、世界は持続可能性を超えていかなければならないからだ」。

ZQRXは数カ月以内に最初の農家のグループを支援できると予想している。関与している全農場はそれぞれカーボン数を持ち、自分の総カーボンについて知ることができるようになるのだ。それによって農家は行動を起こして、緩和策に注力できるようになる。アクチュアルの製品を使っている農家の面積の合計は約320万エーカー(約12949㎢)に当たる。

[原文:Gamification is helping companies visualize their ESG targets and operations

ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)


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