デジタル広告業界は 持続可能性 のための基準をどう策定すべきなのか

DIGIDAY

広告主たちはデジタル広告事業における二酸化炭素排出量を減らすことが自分たちのビジネスにもたらす経済的な利益を見出し始めているが、メディアやマーケティング業界全体で持続可能性が焦点となるまでにはまだ長い道のりがある。

それでも、ブランド、エージェンシー、パブリッシャーなどは少なくとも自社のカーボンフットプリントの範囲を測定し始めるなど、大きな進歩を遂げている。そして、カーボンフットプリントがより多く測定され、デジタル広告の関係者間で議論されることで、環境への影響を減らすための基準は作りやすくなる。少なくとも、CMIメディア・グループ(CMI Media Group)のイノベーション部門責任者であるクリス・ドーフラー氏はそう見ている。

DIGIDAYポッドキャストの最新エピソードでは、デジタル広告業界がこれまでに持続可能性の取り組みをどれほど前進させることができたか、そして何がまだ達成できていないかを語っている。今後達成すべき内容には、小さなパブリッシャーやブランドが自分たちではできない規模の変化を助けることから、二酸化炭素排出量の測定のための共有基準を作成することまで幅広く含まれている。

以下は、その会話からのハイライトとなっている。これらは明確さのために軽く編集し、短縮している。

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メディアバイの要素としてのCO2排出量、しかし罰則はまだ

CO2排出量に応じてパブリッシャーが損をしたり、罰を受けるような仕組みは確かに検討すべきものではあるが、それがまだ(施行されるほどの)分かれ目には来ていない理由のひとつは、多くの小規模パブリッシャーがそうした変化に対応したり、初めて直面したときのリソースを持っていないことにある。我々は主にヘルスケアの分野で働いているが、我々が取引する多くのパブリッシャーは大企業ではない。彼らは必ずしも、サステナビリティに取り組むための専門知識をすでに持っているわけではない。

そしてまた、我々はマイノリティ所有のパブリッシャーたちが台頭し、我々の取り組みに参加してもらうことの妨げになりたくない。同時に、CO2排出量がメディアバイの要素となっていることは小規模パブリッシャーにも知ってほしいし、彼らが支援を必要としているなら、我々は手助けをしたい。

このことに取り組む手段はひとつだけだと言いたいわけではない。我々は、目的に到達するための解決策には、幅を持たせたい。パブリッシャーの中でも持続可能性の評価の高低やその程度はバラバラだ。しかし、低いパブリッシャーの中には、たとえばデータプライバシーやDEI(多様性、公平性、包括性)において素晴らしいことを行っている会社があるかもしれない。そうしたパブリッシャー持続可能性に関して万全ではないからといって、罰するべきだなどとは思わない。

業界スタンダードが存在しないことの罰をパブリッシャーに科すべきではない

まだ本当の業界スタンダードがないため、「存在しない基準に照らしてあなたを評価する」とは言いづらい。現時点では、全員がそれぞれ自分たち自身の基準を作っている状態で、それが最良の方法ではないことは我々も認識している。

将来的には、低排出者であるパブリッシャーと比べて高排出者であるパブリッシャーから広告を購入することのほうが相対的に(広告主にとって)高価になるという現実を計画している。そうすることで、より効率的にCO2排出削減へと取り組む人々が報酬を得るようになるだろう。

新興技術を試すことが持つ炭素排出の負担

Web3の世界は人々により多くの力を提供するという点で非常に大きな可能性を持っているが、それは膨大な量のプロセスを伴う。データキャプチャを遥かに容易にし、広範なデータのキャプチャを可能にする新技術もある。しかし、それは同時に我々がより多くのデータをキャプチャしているということでもあり、それにはカーボンフットプリントがある。

以前、人々はプリント広告からデジタルに移行すると、カーボンフットプリントが低下すると考えていたが、実際はそうとは限らない。実際には状況によって異なると我々も理解している。現実には、しばしばカーボンフットプリントは以前より高くなる。

だから我々が新技術を評価するとき、これは我々が考慮に入れることである。そして、我々は真剣に持続可能性や人権などをイノベーションの外側ではなく、一部として考えている。今や持続可能性なしにイノベーションはありえない、なぜならば第二の地球は存在しないからだ。

これらの新しい技術の多くは、最初は大きな炭素排出量を持つが、パートナーや我々が取引する(新技術を業務で導入する)プラットフォームに対してその排出量を下げるようにプッシュしている。また、どのようにこれらの素晴らしいアイデアに取り組みながら、拡大するかを考えることを強く推奨している。

[原文:How the digital ad industry is creating standards for sustainability

Kayleigh Barber(翻訳:塚本 紺、編集:分島翔平)

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