ブームが去ったいま、CBDブランドの次なる展開とは?【ビューティ&ウェルネスブリーフィング】

DIGIDAY

米Glossyが以前取り上げたCBDブランドには、ロード・ジョーンズ(Lord Jones)、カンヌカ(Cannuka)、フォリア(Foria)、セント・ジェーン(Saint Jane)などがあった。CBDの人気は2018年に高まり、アルタビューティ(Ulta Beauty)やセフォラ(Sephora)のような大手小売業者はCBDに特化した新規ブランドが成長するために必要な応援団の役割を果たした

完璧な設立タイミングで成功を収めたブランドもあった。その例はロード・ジョーンズだ。創業者のロバート・ローゼンヘック氏とシンディ・カポビアンコ氏は、2019年にロード・ジョーンズを3億ドル(約405億円)でクロノス・グループ(Cronos Group)に売却した。両者はその後、2番目のブランドとなるハッピーダンス(Happy Dance)をクリスティン・ベル氏と共同でローンチした。そしてCovid-19が発生、ほかのビューティ・ウェルネスブランドと同様、CBDに特化した企業はパンデミックによる変化に直面することになった。

大ブーム後のCBD特化企業の動向

セント・ジェーンの創業者、ケーシー・ジョージソン氏は、まだ収束していないパンデミックを考慮しなかったとしても、CBDにはリセットが必要だと考えていたという。「2019年には大ブームになり、興味や熱意、トレンドや急増が存在していたが、その後過飽和状態になった。ターキーのグレイビー、フムス、ヨガパンツなどCBDはあらゆるところに使われていた。パンデミック初期、不確実性と不安を抱えて人々が燃え尽き症候群になっていた頃にはCBDはウェルネスの成分として非常に役立ったかもしれなかった。だが、(CBDの効用に対して)過剰な期待があり、人々はCBDにどう対応してよいかわからなかった」。

CBDがビューティとウェルネスの成分として登場した初期の頃でさえ、その有効性と消費者が必要としていた教育に関する疑問は存在していた。フォリアウェルネスのブランド教育担当、キアナ・リーブス氏は「CBDは誇大宣伝されて、期待が非現実的なほど高かった。必ずしも必要ではないのにマスカラや化粧品に加えられていた」と述べている。同氏は、CBDの流行は食品業界におけるターメリックの流行と似ていると言う。

セント・ジェーンとフォリアは市場に登場した最初のCBDブランドであるが、現在は両社ともCBDという実証済分野以外に拡大しているところだ。セント・ジェーンは5月31日、CBDを含有していないラグジュアリーサンリチュアルSPF(Luxury Sun Ritual SPF)を発売、フォリアは6月9日にCBDを含んでいない製品2点をローンチした。その2点は、ブレストオイル・ウィズ・オーガニックボタニカルズ(Breast Oil with Organic Botanicals)とアウェイクン・ウィズ・オーガニックボタニカルズ(Awaken with Organic Botanicals)。後者は、CBD入りのベストセラー製品、アウェイクン・アラウザル・オイル(Awaken Arousal Oil)を基にした製品だ。

また、カンヌカの新任ジェネラルマネージャー兼最高ブランド責任者、スティーブン・レトルノー氏は2月に(オンラインメディアの)ビューティインディペンデント(Beauty Independent)に、カンヌカはアルタビューティが初めて取り扱ったCBDブランドではあるが、今後同ブランドのどの製品にもCBDは含まれなくなるだろうと語っている。CBDに参入したワイルドキャット(WLDKAT)やフィーリスト(Feelist)のようなビューティブランドも別の製品や成分にフォーカスし始めている。

CBDを含まない製品提供の成功

もはやCBDは「流行遅れ」という結論に至るかもしれないが、それは従来のトレンドタイムラインに沿って考えた場合だ。たとえば、セント・ジェーンはD2Cサイトでの売上が前年比で375%急増しており、4月にセフォラ初のCBDエンドキャップで取り上げられた3ブランドのうちのひとつだった。ジョージソン氏は、日焼け止めは家族向けであるため、CBDを含有せずに同社のラグジュアリーサンリチュアルを生産することを決めたと述べている。

「我々はCBDに対してFDA(米国食品医薬品局)の承認を受けているが、この製品にはCBDは必要ないと思った」とジョージソン氏。「誰にでも使える処方を考えた。『妊娠中だから使えない』とか『子どもには使えないのでビーチには持っていけない』などと思われないように」。

さらに、ジョージソン氏は、ブランドの熱烈なファンのなかには受賞歴のあるラグジュアリーリップシャイン(Luxury Lip Shine)にはCBDが含まれていることを知らない顧客もいると述べている。「製品をローンチしたとき、製品のクリーンなツヤと、ユーザーには一日中少量のCBDが投与されているという点が私は気に入っていたが、それが自分が思っていたほど共感されたかはわからない」。

CBDにフォーカスしたブランドは、ビューティ・ウェルネスの一般的なブランドにはあるオンライン広告手段を未だに持っていない。大規模な小売店の多くがCBDを完全に避けてきたことは言うまでもない。なので、最初にCBDに進出したブランドたちが事業発展のためにCBD以外に拡大を目指しているのは理解できる。これは、スキンケアブランドがカラーコスメやヘアケア製品を販売したり、カラーコスメブランドがスキンケアに進出したりするのとまったく同じことだ。

ジョージソン氏はCBDの成功に尽力しており、セント・ジェーンのラグジュアリービューティーセラム(Luxury Beauty Serum)は依然として主力製品であるが、CBDを使わずに厳選された一連の製品を製造することの利点も理解している。同社のラグジュアリーサンリチュアルSPFは、同社サイトと同社の独占販売パートナーであるクレド(Credo)であっという間に完売した。ジョージソン氏によると、顧客はこの日焼け止めを一度にまとめて2〜3個購入しているという。また、同製品により同社は新しい小売パートナーを獲得した。それはグープ(Goop)で、セント・ジェーンは6月15日にローンチしたが、現在グープはCBD製品を取り扱ってはいない。

「CBDの話題よりも、効果的な成分を使って優れた製品を提供している企業が前面に取り上げられているので安堵しているところだ」とリーブス氏。「その成分にCBDが含まれているならそれはそれですばらしいし、そうでなかったとしてもすばらしい」。

リーブス氏は、CBD以外での成長に伴い、フォリアも新しい小売業者を獲得することを期待している。同氏は、現在のフォリアウェルネスの販売は80%がD2C、20%が卸売りであると述べている。「D2Cはここ数年で大きく成長した。インターネットは人々が新しいブランドと出会う場所であり、我々はインターネットで調査を多く行ってきた。セフォラやアルタやノードストローム(Nordstrom)に行くと、(大手小売業者に扱われているということから、CBD製品の効用を謳った)ブランドの主張に裏付けがあることがわかる」。

消費者やスパからの支持

CBDを理解して愛用する消費者からは根強い支持がある。ウェルネス小売業者、スタンダードドウス(Standard Dose)の創業者兼CEOであるアンソニー・サニガー氏はそれは消えてはいないと述べている。スタンダードドウスはCBDにフォーカスして市場参入したが、2019年にCBDを含まない製品の販売を開始した。サニガー氏によると、現在の品揃えではCBD製品が占めるのは3割であるが、CBD消費者の60%は頻繁に、通常は最後の購入から30〜60日以内にまた購入するという。

ジョージソン氏は「とくに草の根レベルのエステティシャンやスパでは支持されている」と述べ、サニガー氏の話に同意する。セント・ジェーン製品はトリートメントに使われており、また。オーハイ・バレー・イン(Ojai Valley Inn)、スパ・アット・オースティン・プロパー(The Spa at the Austin Proper)、一部のフォーシーズンズホテル(Four Season Hotel)、セフォラやクレドなどの一般的なビューティ小売店で販売されている。「いろいろ言われてはいるが、CBDを求めている愛用者はまだ存在している。CBDの可能性は開きつつあり、それには教育が重要だ」。

[原文:Beauty & Wellness Briefing: What’s next for CBD brands?

PRIYA RAO(翻訳:ぬえよしこ、編集:黒田千聖)

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