夜がまぶしくて交尾相手も探せない。ホタルの悲鳴に耳を傾けよう

GIZMODO

光源氏が和歌で愛を詠み交わしたように、ホタルは微かな光で愛を伝えます。

ところが最近は光害(ひかりがい)がひどくてホタルも困っているみたい。イギリス南東部で採集したホタルの実験からもそのことが明らかになりました。結果はJournal of Experimental Biologyに掲載中です。

交尾OKの返事がかき消されてしまう

オスホタルは翅(はね)があるので光りながら飛び回って交尾相手を探せるんですが、メスホタルは翅がないので葉陰に隠れてじっとオスを待つしかありません。

チカチカ瞬くオスの求愛ライトに「いいわよ♡」とメスが微かな光を放つと相思相愛の確認が終わって、やっと交尾成立と相成ります。

ところが実験室でオスに白熱灯を照らしてみたところ「メスを見つける能力の著しい低下」が確認されたんですね。「メスの光を探せないと生殖もままならず個体数への影響は必至だ」と、論文共著者の英サセックス大学Jeremy Niven動物学教授は懸念しています。

実験方法

実験では暗いY字の迷路にオスを放ち、 メスの光に似ている緑のLEDライトを照らし、それが探せるかどうかを調べてみました。

迷路の上から照らしたのは、街灯によく似ている白熱灯です。すると、ほんのり白熱灯を照らしたときには70%のオスが見つけられたのに対し、いちばん明るく白熱灯を照らしたときには到達したオスは21%と大幅ダウン。到達したオスにしたところで、時間がすごくかかってしまったのです!

牧草地や野原でホタルの姿をとんと見なくなったという報告は多々ありますが(皇居のヘイケボタルも…!)、気象変動や開発で生息地が減ってる現実もあるので、光害だけが原因とは言い切れない、と教授はいちおう念押ししていますけどね…。

暗い夜を取り戻すためにできること

ホタルは満月の光でも求愛がうまくいかなくて交尾をお休みにするデリケートな生きものです。普段私たちにできることは何かないか尋ねてみたら、教授は

屋外照明をOFFにしたり、家の光が漏れないようにカーテンを閉めたりするだけでも違いは出る。資源と電気代の節約にもなるしね。

と言ってました。

これからの夏。ホタル祭りでもなるべく光は控えてあげたいですね。

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