あいかわらずブッ飛んだ研究ばっかり。2021年イグノーベル賞まとめ!

GIZMODO

今年も総じてユニークすぎる。

第31回イグノーベル賞授賞式が昨年と同様にオンラインで開催され、栄えある10組の受賞者が発表されました(過去の受賞についてはこちらもどうぞ!)。

イグノーベル賞はノーベル賞のパロディー版。科学界において「人々を笑わせ、考えさせた業績」を称えるウィットの祭典です。ニッチすぎる研究の数々に毎年驚かされると同時に、科学の面白さ、幅広さを改めて実感させてくれる内容となっています。自由研究のガチ大人バージョンって感じですかね。

日本はほぼ毎年なにかしらを受賞しているイグノーベル常連国なんですが、今年も歩きスマホに関する研究で見事動力学賞を受賞しています。そのほか、逆さに吊るされたサイ、ネコの鳴き声、路上に吐き捨てられたガムの末路など、異色の研究テーマばっかり。

ではでは、さっそく見ていきましょう。

医学賞:「セックスは鼻づまりを解消できるか?」

ドイツのハイデルベルグ大学病院に所属するOlcay Cem Bulut氏らの研究では、セックスでオルガズムに達した後は鼻づまりが大幅に改善されることが明らかになりました。効果は1時間以上持続し、鼻炎の薬と同じぐらい効きめがあったそうです。こんな研究だったら被験者になってみたい…?

化学賞:「映画館内のニオイは上映されている映画の過激さを示唆できるか?」

マックス・プランク研究所に所属する科学者たちが調べたのは、映画館の空気の質。もっと正しくは、映画を観ている人々が発生するニオイでした。

研究概要によれば、人間の肌と息からは何種類もの揮発性有機化合物が発せられているそうです。どんな種類がどれぐらい発せられるかは、人の感情の動きと密接に関わっているのだとか。たとえば映画の内容によって、特定の化合物が誘発されたりするのだそうです。

そこで映画館内のニオイを計測することにより、上映されている映画のバイオレンス度・性的表現・反社会的な行動・ドラッグ使用・汚い言葉などを予測して、映画のレイティングシステムに役立てられないだろうか?というのが研究主旨。残念ながらおおむね失敗に終わったようですが、イソプレンだけはG(0歳から)・PG(6歳から)・PG12(12歳から)のレイティングを予測できそうなんだとか。どんなニオイなんだろ?

経済学賞:「政治家の肥満度はその国の腐敗を予測できる」

フランスのモンペリエ・ビジネススクール所属のPavlo Blavatskyy氏は、旧ソビエト連邦の国々の政治家たちがどれぐらい太っているかを調べ、肥満度が高ければ高いほどその国の政治が腐っていることを「発見」しました。

生態学賞:「味がなくなってポイ捨てされたガムに発生するバイ菌について」

バレンシア大学のLeila Satari氏率いる研究チームは、ひたすら路上に吐き出されたガムを求めてスペイン・フランス・シンガポール・ギリシャ・トルコを飛び回ったそうです。

あらゆるところであらゆる人がペッと吐き捨てたガムのなれ果てを丹念に調べ上げた結果、路上に落ちてから数週間以内に複数のバクテリア株が出現し、3カ月ほどに渡って繁殖し続けることがわかりました。しかも、時間の経過によってバクテリア株の変化も認められたそうですよ。

「われわれの研究結果は法医学的検査、感染症対策、ガムのゴミのバイオレメディエーション等、幅広い分野における活用が期待されます」とは著者たちの言葉

生物学賞:「猫語の研究と解明」

ルンド大学のSusanne Schotzさんは、2011年から2016年にかけてペットのドナ、ロッキーとターボを含む猫たちを観察し続け、彼らとの「会話」に関する発見を5本の論文にまとめました。

研究によれば、「ゴロゴロ、ニャーニャー、ニャゴニャゴ、クルクル、クークー、ムニャムニャ、ミャーミャー、ウーウー、キーキー、シャーシャー、アオーン、オオーン、グルルルなどを含む多様な猫対人のコミュニケーション手段」のうち、「ムニャ」と「ニャー」が合わさった発声が一番頻繁に聴かれたそうです。あと窓越しに鳥を発見したり、エサをねだっているときなど、状況によって発声が異なることもわかったのだとか。

平和賞:「人間のあごひげは顔を守るため」

ユタ大学の研究者たちは、「人があごひげを伸ばし始めたのは、顔を殴られたときにダメージを軽減するためだったのでは?」という大胆な仮説を打ち立て、その検証に挑みました。なお、検証にあたって実際顔を殴られた人はいなかったそうなので、ご安心を。代わりに羊の毛皮を使ったダミーで実験をしたそうです。

研究者曰く

われわれの研究結果は、毛が衝撃を吸収して大幅にダメージを軽減できること、ひいては怪我のリスクを軽減できることを示唆しています。もしこれが人間の顔の毛に関してもいえることならば、豊かなあごひげをたくわえることによって、強烈な殴打からあごなど頭蓋骨の特に脆弱な部分を保護するのに役立つと考えられます。さらに、あごひげは顔の怪我、切り傷、打撲傷などからも保護できると考えられます。

輸送賞:「クロサイの正しい運び方」

絶滅の危機に瀕したクロサイを運ぶには? ヘリコプターで逆さまに吊り下げるのが最も理に叶っているそうです。

このところどんどん数が減ってきている野生のクロサイですが、過度な近親交配を防ぐために、時には別の場所へ移動させることも必要。そこでコーネル大学のRobin Radcliffe氏率いる研究チームは、クロサイの輸送手段を何通りも検証し、鎮静状態にあるクロサイの足をからげてヘリコプターで逆さまに吊り上げる方法がベストだという結論に至りました。

ずっと逆さまだと呼吸困難になるのでは?と心配したRadcliffeさんたちは、全部で12匹のクロサイを逆さまに、あるいはノーマルポジションで吊るしてみたそうですが、結局体の向きは心臓血管作用に影響しなかったとのことです。

昆虫学賞:「潜水艦におけるゴキブリ撃退法」

この研究、実は1971年に発表されたものだったのですが、優れた研究はいつ脚光を浴びるかわからないものですね。アメリカ海軍の研究だったとか。切実なニーズがあったのでしょうか…。

物理学賞:「なぜ歩いている人同士は衝突を避けられるのか?」

アイントホーフェン工科大学のAlessandro Corbetta氏らは、「なぜ人混みの中でも通行人同士がぶつからないのか」という謎を解くためにいくつもの実験を重ねました。

動力学賞:「なぜ歩いている人同士は衝突してしまうのか?」

物理学賞を受賞した研究と対を成すようなこの研究には、京都工芸繊維大学の村上久助教授を含む日本人研究者も参加していました。

衝突してしまう理由は他でもない「歩きスマホ」。さらに、スマホのような「視覚的に注意を奪う」要素があると、集団が歩行する速度が遅くなることもわかったそうです。

人にぶつかるリスクが高まるわ、歩行者の流れが滞って密状態になるわで、歩きスマホは百害あって一利なしってことですね。日本人のイグノーベル賞受賞に敬意を示すためにも、今後歩きスマホはやめときます。

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