ゲーム版YouTubeを目指す フォートナイト クリエイティブ。ただし露骨な広告モデルは模倣せず

DIGIDAY

エピックゲームズ(Epic Games)は、同社が提供するフォートナイトクリエイティブ(Fortnite Creative)を、プレイヤー、クリエイター、そしてツールで構成されたエコシステムに変革することで、仮想クリエイティブプラットフォームにすることをめざしている。将来的には、完全なゲームエンジンに匹敵する規模に成長することを期待しており、ユーザー生成コンテンツ(以下、UCG)業界におけるYouTubeとなることを理想としているのだ。

UGCは、ゲーム業界の未来を左右する重要な要素と多くの人に認識されている。そのため、フォートナイトからブラウザベースのドット・ビッグ・バング(dot big bang)に至るまで、数多くのプラットフォームがUCGクリエイターにとっての、YouTube的なインフラを提供するプラットフォームを構築しようとしている。

エピックゲームズのシニアバイスプレジデントであるサックス・パーソン氏は、「フォートナイトのエコシステムは、人々が作るものによって強化されている」とし、「フォートナイトクリエイティブのツールはかなりシンプルだと言ってもいい。それでも、このような大量の魅力的なコンテンツが作られることは驚くべきことだ。それをベースに、人々がほかのプレイヤーのために作品を作るためのささやかな権限をプレイヤー自身に与えることは、我々としても当然だと言える」と語る。

YouTubeを見本に

エピックゲームズは、フォートナイトのクリエイターにもっと多くのコントロールを与え、またゲーム内における「進撃の巨人」や「スパイダーマン」のブランドアクティベーションを作成するために使用されたツールと同様の高度なツールを、クリエイターたちに提供したいと考えている。ただし、これらの変更における具体的なタイムラインについてはまだ明らかにしていない。

また、同社のCEOであるティム・スウィーニー氏によれば、ゲームにおけるスキン(プレイヤーのキャラクターの外見)も、ゲーム開発者自身ではなく独立したクリエイターによってデザインされる可能性があると言う。

加えて、同社はYouTubeの要素をいくつか模倣しようとしている。YouTubeはオンラインで最大のスペースを占める存在のひとつであり、大量の視聴者数(YouTubeは月間アクティブユーザーが何十億人もいるとしている)、クリエイターとのほぼ均等な広告収益分配、コンテンツの発見性を向上させる推奨アルゴリズムを備えている。これにより、クリエイターがコンテンツを共有、宣伝、収益化するためのプラットフォームとして魅力的になる。

エピックゲームズは、フォートナイト内のゲームクリエイター向けに同じツールやインフラを構築する過程にあるが、ゲーム開発や3D創作を(動画クリエイターにとっての)ビデオ制作ほど身近にする、という課題はYouTubeが抱える課題よりも大きなものだ。

露骨な広告を避ける手法

エピックゲームズが導入したアンリアルエディターフォーフォートナイト(Unreal Editor for Fortnite)は、クリエイターが自力でゲームや体験を直接ゲームにデザイン、開発、公開をすることができ、フォートナイトクリエイティブ内でこれらの没入型メカニクスを直接構築することが可能になる。

ブランドやクリエイターが抱えている最も大きな要望のひとつは、カスタムアバターのデザインだ。スティーブン・カリーやレブロン・ジェームズなどのトップアスリートがフォートナイトとのコラボレーションを検討する際、この点が最初に取り上げられる。独立クリエイターによる、コスメティック(ゲーム内の外見)の作成と販売が禁止されているが、それが将来変わるかもしれない。

「これらのブランドは、人々の願望をかなえる力を持っており、フォートナイトはそれを活用する素晴らしい遊び場だ」とパーソン氏は語り、最近のフォートナイトアンドアイアンマン(Fortnite x Iron Man)のコラボレーションを例に挙げた。これには、人気のアイアンマンを基にしたカスタムスキンや武器が含まれていた。

このようなブランド化されたガジェットや小道具を作成することで、エピックゲームズはフォートナイト内での広告を避けることができている。同社はこれまで、フォートナイトには広告を置く場所がないと認めている。

プレイ時間の約40%がクリエイティブモード内の体験に費やされる

このようなブランド体験は、すでにUGCエコシステムで大きな役割を果たしており、今後もその影響力は増すだろう。エピックゲームズの幹部は、ブランドがフォートナイト内に直接現れて関わるアプローチ(東映アニメーションの没入型ドラゴンボール企画のようなもの)について、独立クリエイターやフォートナイト・クリエイティブとともに拡大すると米DIGIDAYに語っている

ゲームデベロッパーカンファレンス2023におけるエピックゲームズの「State of Unreal」(基調講演)によると、フォートナイトのユーザーは合計プレイ時間の約40%をゲームのクリエイティブモード内での体験を探索するのに費やしており、クリエイティブモードにはユーザー作成のゲーム、トレーニングモード、ブランド体験などが含まれている。

これは、エピックゲームズが収益モデルを「クリエイターエコノミー2.0」と呼ばれるものにシフトする大きな動機となった。これにより、フォートナイトの全収益の40%はクリエイターに与えられるようになり、人気のバトルロイヤルモードも含まれているという。

フォートナイトがどれだけ成長できるかは未知数だ。毎月7000万人のカジュアルプレイヤーを維持しながら、クリエイター向けのサポートインフラをどれだけ拡充できるかにかかっている。

クリエイターのサポートが成長の鍵

一方で、「YouTubeの何十億人ものゲーミングオーディエンスを追いかけるのは難しいだろう」と、ドット・ビッグ・バングを開発したコントロールジー(ControlZee)のCEOであるロバート・アンダーバーグ氏は語る。「しかし、こういったクリエイターがしっかりと成功できるようにしているのであれば、最初にクリエイターに収益の大部分を得ることを可能にするプラットフォームが、本当にブレイクするだろう」と同氏は語る。

UGCを使ってYouTubeのようなビジネスを構築しようとする企業は、エピックゲームズ以外にも存在している。しかし、同社による最近の収益モデルのシフトは、プレイヤーやブランドにエコシステムの拡大を本気で考えていることを示している。現在、YouTubeも類似の収益分配モデルを持っているが、YouTubeはコンテンツを公開する人たちに対してかなりのサポートを提供している。

エピックゲームズやロブロックス(Roblox)のようなプラットフォームは、クリエイターに最大限のサポートを提供することが成長の鍵であることを理解している。「このエコシステムが実現できる最大規模にはまだまだ遠い」とパーソン氏は言い、「次のレベルのコンテンツが新しいユーザーの波をこのエコシステムに引き寄せると信じている。それが正しい理由で(人々が集まって)あって欲しい。これはプレッシャーが高い、厳しいエコシステムではない」と話す。

[原文:How Epic Games is revamping the ecosystem of Fortnite Creative to sweeten the deal for in-game creators

Aron Garst(翻訳:塚本 紺、編集:島田涼平)

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