こちらは、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です
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ファッションレンタルサービスは現在、インフレの最中には、衣服を購入するより借りる方が費用対効果が高いということを主張している。
インフレはあらゆる分野の小売業者を圧迫しつつあるが、レンタルサービスは過去最高の加入者数を記録している。これらのサービスは、パンデミックの影響で、レンタルサービスがよく利用される機会でもあったカンファレンスや結婚式といったイベントへの参加を控えた人が増え、大きな打撃を受けた。
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しかし現在、これらのサービスは規模の大小を問わず、人々が衣服をすぐに購入することを控え、代わりにレンタルでワードローブを用意することから、需要が増大しているという。レントザランウェイ(Rent the Runway)は4月、2009年の創業以来最高の14万1205人のアクティブ会員を記録した。同月には、フォーマルウェアのレンタル企業のザ・ブラックタックス(The Black Tux)が、現在の収益がパンデミック前の水準より35%増加したとグロッシー(Glossy)に語った。また、URBNが所有するヌーリー(Nuuly)は、今年末までに加入者数が20万人に達成する見込みだ。
サブスクリプション価格の変更
しかし、これらのサービスはいくつかの課題にも直面している。インフレが悪化した場合、レンタル企業自身もコスト上昇に対処する必要があるなかで、自社を利用し続けるべきであると人々を説得する必要があるということだ。
「高いインフレ率、金利の上昇、貯蓄の減少のすべてが、消費者の支出に影響している。人々は、自分たちの支出によってより多くの価値を得ようとしている」と、レンタルプラットフォームのアーモワール(Armoire)の創業者でCEOを務めるアンビカ・シン氏は米モダンリテールに語った。シアトルを拠点とする新興企業である同社は2016年に設立され、月額69ドル(約9380円)からのプランを提供している。2023年の現在までに、同社の会員数は前年比で130%増加した。
しかし、これはレンタルの新興企業にとってすべてが順調だということではない。たとえばヌーリーは、4月26日から新規加入者の標準月額プランが10ドル(約1360円)増加し、88ドル(約1万2000円)から98ドル(約1万3300円)になると発表した。既存の加入者については、8月1日から請求額が変更される。同社によると、価格調整は効果的な運営を続けるために「不可欠」だとしている。
「当社が2019年に創業して以来、加入者に最高のブランド、スタイル、サービスを提供するためのコストは増加している。ヌーリーの完全な体験を提供し続けるため、サブスクリプション価格を変更する」と、同サービスは声明で加入者とアプリの訪問者に伝えた。
着用シーンやトレンドの変化も影響
ほかの新興企業は、加入者の出費に対してよりお得感を提供することで、インフレに関する懸念を払拭しようとしている。レントザランウェイは3月、定額制プランを変更した。共同創業者でCEOを務めるジェニファー・ハイマン氏によると、これは、会員に対して「より多くの価値」を提供し、継続率を高めることを意図したものだ。同社は「エラオブエクストラ(Era of Extra)」特典の一環として、1回の注文につき、1つの追加無料アイテムを恒久的に提供することになった。
アーモワールのシン氏はまた、同社のようなレンタル新興企業の成長を促している要素はインフレだけではないとも指摘している。ファッション愛好家にとって、レンタルはよりサステナブルな選択肢であることはもちろん、同社の事業に影響を与えている別のマクロトレンドとして、最近のオフィスへの復帰義務の実施がある。「当社はこの数年間、エグゼクティブ向けの仕事服に投資してこなかった働く女性に対応している」と、シン氏は説明する。アーモワールでは、仕事関連の検索用語が2022年第1四半期から2023年第1四半期にかけて13%増加した。
しかし、衣服のトレンドが全体的によりカジュアルで快適なものに移行していることから、人々が「レンタルする価値がある」と考えるアイテムの種類も変化しつつある。「重要なイベント用の高価なアイテムだけでなく、日常的なアイテムへの関心も高まっている」と、シン氏は述べる。たとえば、アーモワールでの「レギンス」の検索は2020年から2022年までに585%も増加した。
買うよりもサステナブル
ほかのファッションレンタルモデルも、長期的な関心を重視しつつある。新しいピアツーピアーの衣類共有アプリであるリスーツ(ReSuit)は昨年、ソーシャルイベントへの復帰のピーク時だった昨年夏にローンチした。このフィットベースの衣服共有アプリにより、利用者はアイテムの貸し借りや売り買いができ、リスーツは売上の一部を手数料として徴収する。利用者は売上の80%、レンタル料金の75%を得ることができる。
「現在の経済はリコマースに追い風となってきた」と、同社の共同創業者であるナダ・シェファード氏は述べる。現在同社は、利用者が主にパーティーや夜遊びなどソーシャルイベント向けのハイエンドのアクセサリーや衣服を探していることを見いだしている。このアプリには、たとえば、アイテムの所有者が、そのアイテムをレンタルできない日をブロックできるようにスケジュール設定できる独自の機能があると、シェファード氏は語る。
このアプリにはサブスクリプション料金がなく、米国とカナダでは現在のところ、無料で会員登録ができる。運用開始からまだ1年が経っていないが、リスーツの利用者の平均成長率は現在のところ前月比52%で、うち80%がiOS、20%がGoogle Playだ。さらに、同社の収益の2%はドゥーグッドファンド(Do Good Fund)に寄付され、シェファード氏によると、業界の変化に影響を受けた衣類工場の労働者の教育とトレーニングに使用される。
アーモワールのシン氏は、アパレルレンタルのカテゴリーは、手頃な価格でワードローブをローテーションでき、新しい衣服を購入し続けるよりもサステナブルであるといった条件を満たしているため、回復し続けると予想すると語る。「衣類のレンタルは、高いコストをかけずに、人々が欲しがるブランドやバリエーションに出会える方法だ」と、同氏は述べている。
[原文:Fashion rental services are growing amid inflation]
Gabriela Barkho(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Armoire