「インクリメンタリティにさらに投資する」:スーパー大手アルバートソンズ、 リテールメディア 後発組としての勝ち筋

DIGIDAY

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スーパー大手のアルバートソンズ(Albertsons)は、独自のリテールメディアネットワークを発表してからまだ2年も過ぎていないが、この事業の成長が最優先だと語っている。

同社のリテールメディアネットワークはアルバートソンズメディアコレクティブ(Albertsons Media Collective)と呼ばれ、現在202人の従業員を抱えて、アルバートソンズカンパニーズ(Albertsons Companies)のCEOの監督下にある。同社は、何がうまくいき、何がうまくいっていないかについてのフィードバックを共有するため、顧問団で構成されるクライアント委員会を設立したと語る。また今年初めの1月、アルバートソンズメディアコレクティブはオムニコムメディアグループ(Omnicom Media Group)とパートナーシップを締結し、マーケターがコネクテッドTV環境でROI(投資回収率)に基づくターゲティングと計測を改善できるようにするとしている。

アルバートソンズが2021年後半に自社のリテールメディアネットワークを立ち上げたとき、ウォルマート(Walmart)やターゲット(Target)などの企業と比べて、この分野ではやや後発組だった。同社は、競合他社が成功のために何をしてきたかについてのデータをより多く保有していることから、これを優位点とみなしていた。同社が競合他社のクローガー(Kroger)と合併する可能性がある場合、同社のオーディエンスが全国約8500万世帯の家庭に拡大することから、リテールメディア部門の成長を推進することができる。同社は、クローガーとの合併が自社のリテールメディア事業にどのように影響するか、また、成長率に関してコメントを控えている。

アルバートソンズメディアコレクティブのリテールメディア担当シニアバイスプレジデントを務めるクリスティ・アージリアン氏は次のように語る。「この事業は当社全体にとって最優先の事業のひとつだ。実際にこの事業は非常に速いペースで成長しており、会社が求めている収益と利幅を生み出すことができている」。

同氏は、アルバートソンズメディアコレクティブの戦略的な優先事項や、リテールメディアがどのように進化してきたかについて、米モダンリテールに語った。以下の対談内容は簡略化と明瞭化のため編集を加えたものだ。

◆ ◆ ◆

――アルバートソンズメディアコレクティブの最近のイニシアチブのうち、もっとも自信を持っているものは何か?

まず第一に、我々のパートナーであるブランド、特にCPG(消費者向けパッケージ商品)ブランドや、当社が提携している代理店ホールディング企業のいつくかとの関係構築だ。

この事業は、計画したとおりのペースで成長している。取引先のブランドが、アルバートソンズが社内で独自にリテールメディアネットワークを構築することの重要性を受け入れていることに感謝している。これらのブランドは、このリテールメディアネットワークが彼らにとっても未開拓の成長の鍵であることを理解してくれている。要するに、優れたパートナーシップが続いている。

ご想像の通り、テクノロジーやデータを基礎とするまったく新しい事業をはじめるときは、決してスムーズには進まないものだ。しかし、当社のエンジニアリングチームのスキルとスケールをもってすれば非常に速いペースで前進できる。その過程で問題が見つかれば、迅速に解決する。

――アトリビューションは現在、リテールメディアネットワークの大きな話題になっている。アルバートソンズはアトリビューションにどのような投資を行っているか?

当社はインクリメンタリティにより多くの投資を行っている。これもまた重要なトピックで、両者は相互に関連しているが、多少異なるものだ。特に、リテールメディアによって、プログラムを増幅するためにリテールメディアネットワークを使わなければ達成できなかったであろう売上増があったことを示すために、インクリメンタリティ重点を置いている。

当社は非常に高い評価を得ている。実際にプロクターアンドギャンブルは、我々が行っているインクリメンタリティのやり方は、これまで見たなかでもっとも優れたもののひとつだと言明した。そのため当社は、目的を推進するうえで正しいことを行っていると確信している。

――現段階で、ブランドはリテールメディアプラットフォームから得られる統計情報を信用できるか?

私はそう思っている。ただし、広告主と方法を共有し、その方法が広告主の好みにも合致していることを検証できるような透明性を確保する必要がある。

当社の計測方法は実は控えめなものだ。一部のリテールメディアネットワークでは、広告について非常に大きな投資回収率が報告され、あまりにも大きな数値なので信じられないという声もある。

――リテールメディアに投資する価値があるどうか、まだ見極めようとしているメディアバイヤーには、どのような助言をするか?

まずは、リテールメディアを試してみることをお勧めする。その際は、その小売店舗やウェブサイトで販売されていないブランドで実験することをおすすめしたい。いわゆるノンエンデミックブランドだが、我々の顧客と非常に相性がいいのだ。

リテールメディアの最大の魅力は、我々のように大きな企業は、米国の成人人口の最低でも50%を消費者として抑えていることだ。これらは実際に買い物をする本物の人々だ。それだけでも、Cookieをベースとするデータプールと比べて、高い忠実性とより良い結果が得られる。

――バイヤーがリテールメディアへの投資を躊躇する理由は何か?

リテールメディアネットワークはまだ、ビューアビリティやトラッキングのようないくつかの基本事項を解決していない。これらは単なる規約であり、デジタルマーケティング用に構築されたシンプルなものだが、リテールメディアネットワークの特別な環境には対応していない。

デジタルメディアがCookieプールを使用し、実際の人々のデータをベースにしていた場合、必ずしも利用規約に組み込まれているとは限らないさまざまなプライバシー条項に従うことになる。このような細かい条件は作業の邪魔になり、進捗を遅らせることになる。購買プロセスに摩擦が生じると、その複雑性ゆえ、見過ごされてしまう可能性が高まる。

[原文:‘We’re investing even more heavily into incrementality’: How Albertsons is building out its retail media network]

Maria Monteros(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Albertsons

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