コティ、従業員向けの メタバーススペース 「コティキャンパス」をローンチ

DIGIDAY

コティ (Coty)は従業員のためのゲーム化されたトレーニング場所として、コティキャンパス(Coty Campus)を構築、これは美容企業では初めての体験となる。今秋にローンチ予定のこのキャンパスは、同社の1.1万人のグローバル従業員間の関係を構築し、コラボレーションを変革する目的がある。

従業員の学びの場としてのキャンパス

世界的な化粧品会社であるコティはメタバースに積極的だ。イノベーション担当シニアディレクターのシャナ・ワインブラット氏は、イノベーション・ストーリーテラー(Innovation Storytellers)ポッドキャストで、同社はすでにAR、VR、デジタルスペースに注力していると語っている。コティキャンパスは、スタッフがグローバルにつながり、デジタル環境ですべてのデジタルトレーニングとスキル向上を容易に行えるように設定される。コティは、ファッション関連の美容ブランドであるジル・サンダー(Jil Sander)やグッチビューティ(Gucci Beauty)をはじめ、カイリーコスメティクス(Kylie Cosmetics)やスキン・バイ・キム(SKKN By Kim)などのセレブリティラインやカバーバール(Cover Girl)などのマスブランドを担当している。

「人を中心にした先進的な製品と体験を生み出すためには、当社の従業員はイノベーションの境界を広げるための技術的知識を持っていなければならない」と述べているのは、コティの最高デジタル責任者、ジャン・デニス・マリアーニ氏だ。「コティキャンパスの構築により、世界中の従業員が3D空間の変革技術について学ぶための教育機会を生み出すことを目指している」。コティからはこのプロジェクトへの投資については共有されなかった。コティはアムステルダムに本社を置き、ニューヨークとパリに最大のハブ2拠点を持つ。ほかにもロンドン、上海、モナコなどに拠点がある。

職場におけるメタバースの実験は現時点では特に成功を収めていない。Metaのホライズン(Horizon)プラットフォームのユーザーは、昨年2月の当初の30万人から今年2月には20万人に急落。Metaは現在、それを従業員ではなくもっと若いオーディエンス対象にすることを計画中だ。だが、マリアーニ氏は、コティキャンパスはコティの従業員に合わせて作成されているために受け入れられるだろうと確信している。

マリアーニ氏によると、コティキャンパスは同社が2021年に発表したデジタル化戦略の新たな一歩であり、メタバースについて従業員が学んでスキルアップを推進するものであるという。さらに将来、革新的で魅力的なブランドマーケティングのアクティベーションを開拓・構築することを目指しているため、これはテストして学ぶためのツールでもある。同社によると、コティキャンパスはほかの社内チャネルに取って代わるものではなく、既存の社内チャネルからアクセスできるようになるという。

メタバースプラットフォームのスペイシャル(Spatial)とのパートナーシップにより作成されたこのキャンパスは3D環境であり、従業員はツールを使い、テキストや音声によるチャットディスカッションで社内でコミュニケーションができる。また、画面やファイルを共有したり、カスタマイズ可能なアバターで個性を表現したりすることもできる。スペイシャルは、3月にディセントラランド(Decentraland)のメタバース・ファッション・ウィーク中に相互運用可能なブランドエクスペリエンスを作成するために使われたが、ディセントラランドと比較して、再現性の高いエクスペリエンスプラットフォームとして称賛されている。

コティキャンパスはゲーミフィケーションによるトレーニングにも注力している。アイテムの収集や場所の探索、クエストの達成に基づいて、フィジタルな報酬システムを提供する。「コティキャンパス体験は、まずWeb3とメタバースの知識に関して世界中の従業員のスキルを向上させ、マーケティングの新しい機会と新しい働き方のあいだのギャップを埋める目的がある」とマリアーニ氏は語っている。

自社のニーズに合わせた機能を構築中

コティキャンパスを開発するために、設立から2年になる同社のイノベーション&ビューティテクノロジーチームは、組織全体のチームのニーズを理解するために部門横断的なタスクフォースと提携した。今年、このチームはグローバルなつながりとコラボレーションを強化し、継続的なトレーニング・採用・オンボーディングを促進するために最初のテストを実施し、現在、それに応じて機能を構築中である。

「多くのグローバル企業と同様に、コティのクロスファンクショナルチームは世界中の同僚とバーチャルで仕事をすることに多くの時間を費やしている」と マリアーニ氏。「コティキャンパスのようなメタバースは、コラボレーションを向上させ、コミュニティを強化して、トレーニングと教育を強化するための仮想空間を提供する。キャンパスのおかげで、従業員はこれまでになかったオンデマンドのコラボレーション作業の可能性にアクセスできるようになる」。

コティは2月に2023年度第1四半期の収益を報告したが、2022年度同期の13億7000ドル(約1843億円)から1%増加して、13億9000万ドル(約1861億円)であった。

[原文:Exclusive: Coty launches employee-focused metaverse space Coty Campus

ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)

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