「常にオーガニックなオーディエンスとのエンゲージメント構築を図る」: ベッチェス・メディア CEO アリーン・ドレックスラー氏、CRO デーヴィッド・スピーゲル 氏

DIGIDAY

多くのプラットフォームがアルゴリズム上で尺の短い縦型のビデオを優先するようになったため、パブリッシャーたちもこの1年間で、短編・縦型ビデオに軸足を移した。しかし、ベッチェス・メディア(Betches Media)は大きく舵を切るということはなく、2011年の設立以来続けてきたソーシャルファーストのコンテンツ戦略に引き続きより多くの投資を行った。共同創業者でCEOのアリーン・ドレックスラー氏によると、これは主にミレニアル世代やZ世代の女性の視聴者にリーチし続けるためだ。

2022年の広告市場が多くの出版社のビジネスにとって厳しいものであったかにもかかわらず、ベッチェス・メディアのこの戦略は成果を上げている。昨年7月に同社に加わったデーヴィッド・スピーゲルCROによると、ベッチェス・メディアの売上は前年比で40%増加したという(具体的な数字は明らかにしていない)。

「ベッチェス・メディアは長い間、短尺の縦型ビデオを制作してきたが、まだ学ぶべきことが存在しており、とくにYouTubeショーツ(YouTube Shorts)のような新興プラットフォームについては多くの学習が必要だ」と、ドレクスラー氏とスピーゲル氏の2人はDIGIDAYポッドキャストの最新のエピソードで述べた。YouTubeショーツは、同社が動画ポッドキャストを開始する上でとくに役立っているという。

以下は会話のハイライトであり、明確にするために軽く編集され、要約されている。

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不況下での成長事業

スピーゲル氏:パンデミックから脱した今、私たちは前年比年率約35%のオーガニックな成長(ほか企業の買収によるような非オーガニックな成長ではなく)を見せている。2022年は、前年比40%以上の成長で終えた。2023年を見据えると、同じような成長軌道が見られる。

それはいくつかのことに帰着する。業界エコシステムが見せている傾向を考察すると(中略)、2023年の市場の成長は9%ではなく6%だろうとIABは報告しており、下落の主要なカテゴリーはリニアテレビとなっている。この種のレガシー製品は時代遅れとなりつつあるが、これまで中核的な役割を担ってきた。デジタル出版でも同じことが起こると思う。

仮に非常に大規模なパブリッシャーでありながら、現在ビジネスのかなりの部分をダイレクト・ディスプレイ広告に依存しているのであれば、それはリスクを伴うだろう。同じことができる、もっと簡単な方法が今は存在するからだ。とくに差別化されていないようなパブリッシャーの場合、このことは大きなリスクを生む。この業界では残念ながら過去20年間、あらゆるコストをかけてインターネットにおけるスケールの追求を行なってきた。そのことが今デジタルパブリッシング業界で、多くのリスクを生んでいる。

まだまだ不確定な要素は多く残されている。マーケターの大多数はたまたま我々のデモグラフィック(人口層)におり、私が知るところでは、そのほとんどは私たちのファンでいてくれている。しかし、彼らはビジネスの観点から私たちを見ていない。したがって、これらの点をつなげることができれば、そこには大きなチャンスがある。それゆえ、私は成長を予測している。単に市場の支配やトレンドの流れからだけ判断しているのではない。私はまだ成長ビジネスにいる。不確実な経済状況を迎えるにしても、成長ビジネスには極めて大きな成長機会がある。

短尺の縦型ビデオに軸足を置く必要はない

ドレクスラー氏:そもそも我々が短尺のビデオから方向転換して離れたとは思っていない。長尺の動画をテストしていたが、明らかに投資額が大きいので、早い段階で短尺のビデオへと方針を戻した。それは短い形式で視聴者向けのコンテンツを作成する方法を知っていたからだ。短尺ビデオは我々が得意としているものだ。さらにいえば、短尺の場合はどんなコンテンツがよいのか、長尺の場合はどうか、を我々は理解している。この2つは異なる。それに戦略の鍵がある。我々は短い形式のコンテンツをたくさんシリーズ化する予定だ。

スピーゲル氏:我々は、YouTubeにおける大量のフォロワーをマネタイズする中核ビジネスから方向転換しようとしている企業でも、誰も実際に見たことがないコネクテッドTVチャンネルを持っている企業でもない。この会社は、最初からオーガニックなオーディエンスとのエンゲージメントをめざしてきた。また、短い形式の縦型のスキット動画は少し前からビジネスの中核でもあった。

(視聴者に)笑えるものを60秒以内に提供できれば、それをほかの友人たちと共有し、グループチャットに滑り込んでくる。それが私たちのやりたいことだ。これを作るチームが、同じセンスで持って(ブランド相手の広告も)制作する。そのため、ブランドパートナーとのコラボレーションにおいても、そのブランドにとって素晴らしいマーケティング手段となる。我々にとっても、素晴らしい収益化手段だ。

YouTubeにおけるテスト

スピーゲル氏:10月に我々のポッドキャスト番組である「U Up?(起きてる?)」をYouTubeに持ち込んだ。スタジオ収録のポッドキャスト動画をチャンネルでやるのは初めてだった。この数カ月で6000人近くのサブスクライバーがオーガニックに増えた。それはYouTubeショーツの戦略にも反映されていると思う。なぜなら、「U Up?」の長いエピソードも公開している一方で、ユーザーたちのフィードに入り込み、別の角度から宣伝するため、同番組から多くの短尺クリップも投稿しているからだ。私たちはまた、複数のプラットフォームを横断する形でスキット動画を投稿しており、そこで何が上手くいくかという点では、まだ少し学習段階にあると思う。

YouTubeショーツのアルゴリズムに関しては、人々はTikTokの軽い版と理解している程度であり、深く理解している人はまだいないと思う。そのアルゴリズムを利用して規模を拡大し、重要性を高めることができれば、ショーツが動画のマネタイゼーションを開始したときに競争上有利なポジションを握れるかもしれない。

[原文:How Betches Media is using short form, vertical video to continue growing in 2023

Kayleigh Barber(翻訳:塚本 紺、編集:島田涼平)

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