セフォラ がパッケージのリサイクル回収をスタート:ビューティ業界の廃棄物対策として重要な役割

DIGIDAY

セフォラ(Sephora)は、ビューティ・リパーパスド(Beauty (Re)Purposed)と名づけた初の全国規模の空容器プログラムで、リサイクルが困難な埋め立てられるパッケージ廃棄物量の削減を期待している。

5月より、米国とカナダの600店以上のセフォラの店舗にて、あらゆるブランドのパッケージを引き取り、同社が提携する非営利団体パクト(Pact)を通じてリサイクルを行うことになった。セフォラは店舗での回収費用をすべて負担するため、買い物客にとっては無料のサービスとなる。セフォラの店舗を顧客が利用しにくい場合は、パクトの郵送回収プログラムを利用することも可能だ。顧客はパクトのウェブサイト上にあるフォームに必要事項を記入し、8ドル(約1075円)でアイテムを送ることができる。情報はパクトのウェブサイトのセフォラのランディングページに掲載されている。

セフォラのサステナビリティ・ディレクターであるデスタ・レインズ氏は「米国とカナダで最大のプレステージビューティのオムニリテールであるセフォラには、循環型社会を支えるために業界全体の協力と変革をリードする責任がある」と述べている。

パッケージのリサイクルで重要な役割を果たすのは小売業者

15年前から、セフォラは専門リサイクル業者G2レボリューション(G2 Revolution)と提携しており、これまでに2370万ポンド(約1万750トン)の返品、破損、期限切れの化粧品廃棄物を埋立から転換している。ビューティ・リパーパスドは、リサイクル困難な素材を収集・転用し、そのプロセスに顧客を参加させるという形で、同社の取り組みに新たな施策を加えることになる。セフォラはパクトのプログラムへの投資については明言を避けた。

「現実には、美容パッケージを廃棄するのは、美容消費者を含む多くの人々にとって複雑な行為だ」とレインズ氏は言う。「セフォラにとって重要だったのは、連携において当社の価値観を共有し、より直感的ですべての人がアクセスしやすい(リサイクルの)プロセスについてクライアントや幅広い業界を啓発できる、パクトのようなパートナーを見つけることだった」。

すでにアルタビューティ(Ulta Beauty)、フェンティビューティ(Fenty Beauty)、イリア(Ilia)など150以上の他のパートナーと提携しているパクトは、かつてMACコスメティックス(MAC Cosmetics)に在籍していた美容界のベテラン、ビクター・カサーレ氏とクレドビューティのバイスプレジデント、ミア・デイヴィス氏が創設した。「(パクトは)この業界を知り尽くしており、業界特有のパッケージの問題に取り組むことを約束している」とレインズ氏は述べている。

「小売業者は、この移行において重要な役割を果たすだろう」とパクトの共同設立者であるビクター・カサーレ氏は言う。「美容業界において、よりサステナブルなソリューションへの根本的な転換は、サプライチェーンのあらゆる部分がよりよい方向へと確実に変化する場合にのみ、起こり得る。小売の販売時点で消費者を教育し関与させれば、最大の変化を生み出せる」。

化粧品事業は世界第4位のプラスチック包装ユーザー

リサイクルしにくい素材のリサイクルを可能にするカギとなるのが、パッケージだ。パクトは、14種類のパッケージをリサイクルする前に、十分な量を集めなくてはならない。セフォラとしては、どのような素材が返品されているのか、データを収集する機会であり、それを追跡することになる。

「パクトの目標は、素材を再利用または再目的化できるエンドバイヤーにその素材を販売するために十分な量を収集することだ」とレインズ氏。「それぞれ回収された素材は、(たとえば)プラスチックの量や種類、ガラスの量などが追跡される」。

市場調査会社バンテージマーケットリサーチ(Vantage Market Research)によると、化粧品事業は世界第4位のプラスチック包装ユーザーであり、業界のパッケージ量の約67%がプラスチックで占められている。環境キャンペーンのゼロウェイストウィーク(Zero Waste Week)の調査では年間1200億個の包装廃棄物が発生しており、多くのブランドからパッケージを引き取ることができる小売業者は、美容業界の廃棄物対策として重要な役割を担っている。

プログラムの成功を導くのは消費者の参加

ビューティ・リパーパスドのプログラムで重要な部分は教育である。セフォラは、ソーシャル、デジタル、店舗などのチャネルでこのプログラムに関する情報を共有し、今年後半には具体的なアクティベーションを設定して推進していく。またセフォラはパクトと協力し、サイト上でより多くの情報も提供する。

「ほかのコレクションプログラムと同様に、このプログラムの成功は消費者の参加にかかっている。そのためには教育が必要不可欠だ。当社の目標は、空の製品の適切な処理を容易にして、より広範な参加への障壁を低減することにある」とレインズ氏は述べている。

セフォラでのローンチと同時に、パクトはベネフィット(Benefit)との新たなブランドパートナーシップを発表、顧客が月に5個まで無料で空容器を郵送できるようにした。ベネフィットの米国eコマース担当ディレクター、ジョアンヌ・マーザン氏は次のように語る。「よいことを行うための簡単な解決策を消費者に提供したいと考えている。パクトとの今回の提携による引き取りプログラムは、さらなるサステナブルな未来に向かうためにも大切なことだ」。

MACコスメティックス、スザンヌ・カウフマン(Susanne Kaufman)、ファーマシー(Farmacy)など、すでに引き取りプログラムを提供しているブランドのなかには、パクトとのプログラムを通じて顧客にリサイクルのインセンティブを与え、将来の製品と交換可能なポイントを提供しているところもある。セフォラとパクトのパートナーシップには、ロイヤルティプログラムの要素は含まれておらず、セフォラには3000万人の会員がいることを考えると、機会を逸したようにも思われる。だが、レインズ氏によると、セフォラでは当面ロイヤルティプログラムに統合する計画はないとのことだ。

[原文:Sephora launches national take-back program Beauty (Re)purposed]

ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)

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