SXSW でのラッシュは「デジタル・ディベストメント」を提唱:Facebook内部告発者の講演開催も

DIGIDAY

ラッシュ(Lush)のサウス・バイ・サウスウエスト(South by Southwest、以下SXSW)でのアクティベーションで、このボディケア会社はバスボムだけでなく、ビッグテックに関する真実の爆弾(ボム)も披露している。

Facebook内部告発者の講演を開催するラッシュ

オースティンでの毎年恒例のこのイベントで、ラッシュのラッシュハウス(Lush House)ポップアップは「デジタル・ダイベストメント(デジタルからの投資撤退)」にフォーカスして3月10日にオープンした。倫理的な懸念からTikTokとメタ(Meta)が所有するソーシャルプラットフォームから撤退するというラッシュの2021年の選択が強調されている。アクティベーションの一環として、ラッシュは英国拠点の調査会社、オピニウムリサーチ(Opinium Research)に調査レポートを依頼し、倫理やソーシャルメディア、ブランドに関する人々のセンチメントを調べた。このポップアップでは、ラッシュの幹部や、Facebookの内部告発者であるフランシス・ホーゲン氏をはじめテック分野の活動家らによる一連の関連講演を特集している。もちろんラッシュ自慢のバスグッズも披露されている。

ハイテク業界の参加が多いSXSWでこのポップアップは「会話のきっかけになるだろう」と述べているのは、ラッシュのグローバルブランドディレクター、アナベル・ベイカー氏だ。同氏は、このポップアップとそのプログラミングはビッグテックにとって「ちょっとした刺激」だと説明する。3月10~13日に開催される一連の講演は、3月13日月曜日にベイカー氏とホーゲン氏の対話によって締めくくられる。この対話は、ソーシャルメディアを「持続可能で、オープンソースで、コミュニティによって管理され、反復的で、アクセスしやすく、人生を肯定する」ようにする方法について語られるという。

ソーシャルメディア撤退の決断は消費者から支持

2月13日から21日までに米国の成人8000人を対象に調査したオピニウムリサーチのレポートによると、消費者はラッシュが行ったような決断を望んでいる。回答者の73%がブランドは「非倫理的」なソーシャルプラットフォームから撤退すべきだと考えており、75%が通常のユーザーについても同じことを考えていることが判明した。ソーシャルでのプレゼンスを回避する決定をしたブランドについてどう思うかと尋ねられて、回答者が選んだ形容詞のトップは「信頼できる」で24%だった。一方、23%はラッシュを「切断された」と表現した。

主要なソーシャルプラットフォームを離れるというラッシュの決断は「反ソーシャルポリシー」というレッテルを貼られた。ラッシュは、2021年にインスタグラムを去ったボッテガ・ヴェネタ(Bottega Veneta)に加わり、インスタグラムからの撤退を選択した一握りのブランドの1社となった。

ベイカー氏によると、ラッシュはこれらのプラットフォームで広告を出したことがないため、撤退は容易だったという。「有料広告は行っていなかった。当社は、広告のために依然としてプラットフォームを使わなければならない多くの他企業の立場にはない」。

ラッシュがプラットフォームを離れた理由には有害なコンテンツの拡散が許されたことや、アルゴリズムの仕組みに関する透明性の欠如があった。ほとんどのブランドはアカウントを削除していないが、メタが所有するプラットフォームでのコンテンツモデレーションの改善を求める声は上がっている。2020年には100以上のブランドがストップ・ヘイト・フォー・プロフィット(Stop Hate for Profit)キャンペーンに参加し、メタでの広告を一時中止して、ヘイトスピーチをもっと適切に管理するようにメタに圧力をかけた。

Twitterに対するラッシュの考え

ラッシュはすべてのソーシャルプラットフォームを放棄したわけではなく、ピンタレスト(Pinterest)とTwitterではまだアクティブである。Twitterはイーロン・マスク氏による買収以来、ヘイトスピーチに対するポリシーが緩和されているといわれており、精査されている。

Twitterについて、ベイカー氏は次のように述べている。「我々はTwitterを監視している。(もっとも関心があるのは)そのアルゴリズムを理解することだ。アルゴリズムはどのように開発されているのだろうか?」

ピンタレストのグローバルブランドエクスペリエンス責任者、ジュディ・リー氏は、3月13日にラッシュハウスでベイカー氏と共にソーシャルメディア上のブランドコミュニティについて講演する予定だ。

ラッシュの調査回答者がもっとも「信頼できる」情報を見つけることができると答えたプラットフォームは、Amazon、Google、Microsoft、そしてYouTubeだった。回答者の半数以上がGoogleとAmazonでは信頼できる情報を受け取れると感じている。

Snapchat、Twitter、TikTokは同点で最下位であり、信頼できる情報を提供していると答えた回答者はわずか23%だった。TikTokについては、最近、米国で国家安全保障調査を受けているというニュースがあり、Twitterはマスク氏による買収以来、一連の混乱に直面している。

調査結果によると、Twitterは、ピンタレストとWhatsAppと並んで過去12カ月間にやめた回答者がもっとも多いプラットフォームだった。これら3プラットフォームのそれぞれについて、回答者の12%が使用をやめたと回答している。さらに26%のユーザーが12カ月前よりもTwitterの使用を減らしていると述べている。その割合は回答者の25%であり、Redditの割合と同等だ。利用が増加したプラットフォームはTikTok(回答者の51%)、YouTube(44%)、ビーリアル(BeReal、42%)、インスタグラム(42%)だった。

あるプラットフォームから撤退するかどうかを決定する際、「もっとも重要なことのひとつはその節度(のレベル)だ」とベイカー氏。透明性はラッシュがプラットフォームに対して要求していることのひとつである。「見えないところで多くのことが起きている。ユーザーはアルゴリズムが実際にどのように機能するかを理解していない。アルゴリズムの機能に関する透明性が得られるまでは、規制するのは非常に困難だ」。

しかし、ラッシュはインスタグラムやTikTokのインフルエンサーに自社製品を依然ギフティングしている。ラッシュのグローバルPRリードであるカレン・ハクスリー氏は「これらのプラットフォームで生計を立てているクリエイターに、何をすべきかすべきでないかを指図するつもりはない」と述べている。

最新技術や音楽を取り入れたアクティベーション

SXSWでのアクティベーションのために、ラッシュはほかの形式のテックを起用している。同社のブースでは、Bluetoothスピーカーと心拍数などの生体情報を監視できるモバイルアプリへの接続を内蔵した未来的な新しいフローティングバスロボットを展示している。また、VR体験と、実際の俳優をCGIキャラクターに変換するモーションキャプチャ技術のアニメーションもある。ベイカー氏によると『ロード・オブ・ザ・リング』でゴラムに使用された技術のようなものだという。キャラクターは同社ベストセラーのバス製品が基になっており、ポップアップでも展示されている。

また、SXSWで音楽の要素を取り入れてレイブカルチャーと美容の結びつきを深めているラッシュは、このイベントを利用して、ナイトライフパーティのオーガナイザーであるグリッターボックス(Glitterbox)とのコラボレーションコレクションを発表する。これにはリンゴの香りのグリッター入り石けんとディスコボールのバスボムが含まれている。また、ラッシュは3月13日にグリッターボックスと共にダンスパーティも開催した。

ベイカー氏はメタとTikTokがラッシュが必要としている変更を行ったとしたら、それらのプラットフォームへの復帰を検討すると述べている。「プラットフォームが安全ならば、当社はもちろん使うだろう」。

[原文:At SXSW, Lush advocates for ‘digital divestment’ with Facebook whistleblower and sparkly bath products

LIZ FLORA(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)

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