ブランド認知 向上のため、ホテルが「しゃべる枕」を導入:ユニークな方法で競合他社と差をつける

DIGIDAY

大手ホテルフランチャイズのウィンダム(Wyndham)が有するホテルブランド、デイズイン(Days Inn)は新しい限定版アメニティを導入する――特別な言葉で宿泊客をねぎらう枕だ。枕の声は、人気コメディドラマ「となりのサインフェルド」におけるエレインのボーイフレンド、デヴィッド・パディ役で知られる個性派俳優、パトリック・ウォーバートン氏だ。

1970年創業の老舗ホテルブランドが狙うのは、伝統的な家庭用品を使った新しい体験によって、新規旅行者やリピーターを獲得することだ。この特注枕は、宿泊客のボタン操作により、ねぎらいの言葉を届けるという。

「この枕が国内の一部のホテルに設置されることで、大切なお客様に驚きと喜びを提供し、興味を持っていただけることが楽しみでならない」と、ウィンダム・ホテルズ&リゾーツ(Wyndham Hotels & Resorts)のブランドマーケティング部門シニアディレクター、ニコル・ラスピナ氏は話す。この枕は、カリフォルニア州アナハイム、テキサス州サンアントニオ、メイン州ブランズウィック、フロリダ州ペンサコーラなどのデイズインに導入される。

デイズインの広告予算は前年比増

このプロダクトのローンチに投入される費用についてだが、まず、デイズインのトップオブファネルに対する全体的な広告予算は、YouTube、TikTok、コネクテッドTVなどのチャンネルにおける「認知」と「検討」の割合が40対60%となっている。

ラスピナ氏は、その予算の内いくらが同プロダクトまたは関連キャンペーンに割かれているのか、具体的な額は明らかにしなかった。しかし、ラスピナ氏によれば、デイズインの広告予算は2021年から2022年にかけて前年比増したという。カンター(Kantar)の調査によれば、同社の2021年度のマーケティング費は80万ドル(約1億400万円)であり、2022年度の現段階では20万ドル(約2600万円)強となっている。

ソーシャルメディアを活用するべく、デイズインは2022年、包括的マーケティング戦略の一環としてTikTokを始めている。

ユニークな方法でブランドの認知向上を図る

今回の枕プロダクトは、デイズインの総合的な戦略の一部だ。競合他社よりも目立つユニークな方法を見つけ、ブランドの認知向上に貢献するとともに、顧客の注意を引き、ブランドとの関わりを促進させることを目的としている。ヒルトン(Hilton)マリオット(Marriott)といったほかのホスピタリティブランドも最近、各々の顧客層によりアピールすることで、ブランドの認知向上を図るキャンペーンを行なっている。

「人々の毎日をより明るくすることを使命とするブランドにとって、ねぎらいの言葉以上に優れたものがあるだろうか?」とラスピナ氏は話す。「ねぎらいの言葉は、人々を幸せにする。気分を高揚させるとともに、ストレスの減少に役立つ」。

セレブリティと提携してブランド認知の向上を図るのは、マーケターの王道的戦略だ。「自分の部屋にセレブリティがいる、というだけで忘れられない思い出になるし、セレブリティの言葉は一般人のそれよりもはるかに意味がある」と、ジョンソン&ジョンソン(Johnson & Johnson)やマイクロソフト(Microsoft)を顧客に持つブランドコンサルティング企業メタフォース(Metaforce)のCEOアレン・アダムソン氏は指摘する。

「旅行意向」層に訴えかける

旅行およびホスピタリティ業界は、いまだ収まらないコロナ禍のせいで、この2年間、著しく落ち込んでいた。人々が旅行に戻りつつあるなか、デイズインはより多くの消費者が注目してくれれば、と期待している。

「このあいだずっと、我々は旅行意向者、つまりコロナ禍中も落ち着きを失わず自分は絶対にまた旅行をする、という揺るぎない思いを抱いていた人々を追いかけることに、徹底的にフォーカスした」とラスピナ氏は、近い将来、定期的な旅行の再開を心に決めている顧客層について語る。

[原文:Days Inn seeks unique ways to stand out as people return to traveling

Julian Cannon(翻訳:SI Japan、編集:黒田千聖)

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