パンケーキシリアルからピンクソースまで、TikTokでバイラル化したレシピを商品化する食品ブランド

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TikTokでバイラル化したレシピが、近所の大手食料品店でも手に入るようになる。

この数年間、TikTokをはじめとするソーシャルメディアプラットフォームは、多くの食料・飲料ブランドが脚光を浴びるのに一役買ってきた。このトレンドは、パンデミックのあいだに人々が自宅で過ごし、料理やお菓子づくりが生活の中心となったことで一気に加速した。

現在では、各ブランドがこれらのレシピを製造し、ターゲット(Target)やウォルマート(Walmart)のような大手小売業者で販売しようとしている。ベルギアンボーイズ(Belgian Boys)は、TikTokでバイラル化したミニパンケーキシリアルを大衆に販売し、オンラインで人気を博し続けているレシピを収益化する。同様に、12月にはアイホップ(IHOP)とゼネラルミルズ(General Mills)が協業し、ミニブルーベリーパンケーキ風味のシリアルを発売した。この限定版シリアルは現在、Amazonで売られており、2月中に一部の小売店舗でも販売される。このニュースは、バイラル化したピンク色のソースが、独自ブランドとしてデイブスグルメ(Dave’s Gourmet)と提携し、1月中旬にウォルマートで独占販売されたことを受けて発表されたものだ。これらの食品ブランドは、人気のレシピを簡単に提供できるようにパッケージにすることで、バイラルなレシピを何時間もかけて再現する代わりに自社の商品を購入してもらうことをめざしている。

TikTokで人気のレシピを商品化

ベルギアンボーイズのCEOを務めるアヌーク・ゴットリブ氏は、同社の新しいシリアルは、TikTokのレシピを手間のかからないように再現したものと位置づけていると、米モダンリテールに語った。ミニパンケーキシリアルは2020年5月、いくつかのチュートリアルビデオが数百万回再生されたあと、メディアに取り上げられるようになった。最古のアップロードはクリエイターのシドニー・メルホッフ氏によるもので、このトレンドをはじめたのも同氏だとされている。メルホッフ氏は、ミニパイやミニシナモンロールシリアルなど、ほかのミニチュアシリアルのバリエーションも作り続けている。ハッシュタグ「#pancakecereal」は現在、TikTokで17億回以上再生されている。

そして、ベルギアンボーイズのシリアルのアイデアは何年も前からあり、2020年のロックダウン中にこのレシピがはじめてバイラル化したときに実際にスタートした。同氏は次のように述べている。「当社は、人々が小さなおたまを使用して、手間のかかるレシピを作っているのを目にした。そこで我々は、Z世代のフォロワーから忙しい母親まで、誰もが簡単に食べられるバージョンを作るにはどうすればいいのかと考えた」。

ゴットリブ氏は、この限定商品は2023年3月末までターゲットで独占販売され、小売価格は1箱あたり5.79ドル(約764円)だと語る。また、このシリアルは、コーンシロップ、人工香料、着色料、保存料を使用せずに製造されている。「当社は、レシピのトレンドに詳しい顧客から、通りすがりの人まで、認知度を上げられるよう、ターゲットでエンドキャップを確保することができた」と、同氏は述べている。

商品発売までに2年

これらのミニパンケーキシリアルは、ミニ食品がTikTokの注目を集め続けているなかで発売された。たとえば、ブルックリンを拠点とするベーカリーのラパルトモン・カトルエフ(L’Appartement 4F)は昨年、ミニクロワッサンで作られたシリアルを1箱50ドル(約6600円)で販売してバイラル化した。このベーカリーは2021年にページを立ち上げて以来、TikTokで4万人近くのフォロワーと130万の「いいね!」を集めた

ベルギアンボーイズの研究開発チームは、完璧なふわふわのミニパンケーキをリリースするまでに2年近くを費やした。トレンディなフードに時間とリソースを注ぎ込むのは、新興企業にとってはリスクだが、「パンケーキシリアルが人気を集め続けているのを目にして、当社のコレクションの拡大のため、この商品に賭けてみる気になった」と、ゴットリブ氏は付け加えている。

同社はすでにミニパンケーキの商品を販売しているが、新しいレシピはDIYのTikTokレシピを再現するためだけにゼロから作成されたものだと、ゴットリブ氏は語る。具体的には、このパンケーキシリアルは小さめで、ミルクをかけて食べられるよう水分を減らしてある。ベルギアンボーイズの研究開発チームはいくつかのレシピをテストし、冷蔵庫に入れやすいボックスにパンケーキシリアルを納める最良の方法を見つけだしたと、同氏は述べている。

「当社はこの1年で、冷蔵食品を倍増させたので、新しいSKUは当社の成長中のラインともうまく適合している」と、ゴットリブ氏は述べる。ベルギアンボーイズは2022年、クレープ、パンケーキ、ワッフルの商品ラインナップに、ブリオシュフレンチトーストを加えた。これらはすべてベルギー製だ。「パンケーキ商品であるということ、それがつまり、当社がトレンドのためにトレンドを追いかけているわけではないということだ」と、同氏は述べている。

ベルギアンボーイズは、パンケーキシリアルを販売開始するのにふさわしく、ほかのソーシャルメディアプラットフォームとともに、TikTokのマーケティングキャンペーンを実施する。同ブランドのアカウントは数週間にわたって、同社の施設でミニパンケーキシリアルがどのように作られるのか、舞台裏の映像を紹介する。「また当社は、シリアルを宣伝することで、このトレンドがバイラル化するのに一役買ってくれた多くのインフルエンサーとも提携している」と、ゴットリブ氏は述べている。

シェフが作り出した「ピンク色のソース」

ほかの企業も、クリエイターと特別に提携することで、TikTokで人気のある商品をより多く小売店舗で売り出そうと模索している。TikTokのクリエイターでもあるシェフのピー氏が昨年6月にペプトビスモル(Pepto Bismol)色の調味料でバイラル化してから、食品安全性の実践が的確に行われていないという疑問が沸き起こったため、同氏は調味料企業のデイブスグルメと提携することで、安全に販売できるバージョンを発売することができた。

このインフルエンサーシェフは、TikTokで22万8000人のフォロワーを持ち、690万回再生され、それによってデイブスグルメは昨年の8月、この自称「ピンクソースの女王」に接触して、ソースのパッケージ化と販売を支援した。

新しいボトル入りのソースは1月11日にウォルマートで発売され、4300店舗とWalmart.comで7月まで独占販売される。デイブスグルメのスポークスパーソンは、売上を評価するにはまだ早すぎるものの、この新商品は「先週比で着実に売上が増加している」と述べている。同社はグルテンフリーやビーガンのソースも発売することを計画している。

デイブスグルメのCEOを務めるデビッド・ニューマン氏は、声明で次のように米モダンリテールに語った。「多くの人々がピンクソースのボトルを買い求めるためウォルマートに急行してくれたのはすばらしかった。このソースは本当に唯一無二のものだ。デイブスグルメのチームは、ピンクソースを全国のウォルマートの店舗とオンラインにこれほど早く届けることができたことを誇りに思っている」。

実験的な試みが重要

ベルギアンボーイズのゴットリブ氏は、トレンドの新商品を市場にいち早く投入するため、機敏な新興企業であることは大きな優位点だと述べる。「大手ブランドは調査を行ってデータが集まるまで待つことが多いが、このトレンドは再生回数が10億回を超えているので、当社にとっては無条件で採用した」と、同氏は述べる。

それでも、インターネットでの食品への熱狂に基づいて商品を発売するのは、ターゲットやコストコ(Costco)のような大手小売業者との関係を築いている最中であるベルギアンボーイズのような新興企業によって、多少のギャンブルには違いない。しかし、同社のブランド力が高まるにつれ、実験的な試みは重要であるとゴットリブ氏は語る。「我々は常にクリエイティブなSKUを見つけようとしている。これは必ずしも簡単なことではない」と、同氏は述べている。

[原文:From pancake cereal to pink sauce, food brands embrace TikTok-inspired products]

GABRIELA BARKHO(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Belgian Boys

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