DIGIDAYリサーチ: インスタグラム に対する信頼、ブランドでは高まるもエージェンシーでは定まらず

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米DIGIDAYでは2月下旬、Facebookのマーケティング力に対するエージェンシーとブランドの信頼が下降傾向にある現状を伝えた。今回は、同じメタ(Meta)の傘下にあるインスタグラムの話をしよう。エージェンシーおよびブランド関係者138名を対象に実施した調査をみると、かなりトーンが違う。

米DIGIDAYの調査で、Facebookとならびインスタグラムも、エージェンシー各社が最も重視するマーケティングチャネルであることが明らかになった。エージェンシー関係者の93%は、どのクライアントも、わずかな割合であれインスタグラムにマーケティングの予算を使ったと回答している。

しかしながら、自社のクライアントがインスタグラムにあまり予算を割り当てないエージェンシーと、多くの予算を割り当てるエージェンシーとには大きな違いがある。実際、クライアントのマーケティング予算におけるインスタグラムの割合が「大きい、もしくは非常に大きい」と回答したエージェンシー関係者は、33%にすぎない。その結果、予算の割合でみると、インスタグラムはGoogleとFacebookに及ばず、第3位に甘んじている。


同調査によると、かなり多くのブランドがインスタグラムを利用しているが、エージェンシーよりも利用率は若干少ない。また、ブランド関係者の85%が、「わずか」な割合でもインスタグラムにマーケティングの予算を費やしていると回答。その結果、インスタグラムは、Googleとオンラインディスプレイ広告に次いで、Facebookと同位の3位になる。

一方、エージェンシーと同じく、ブランドも全体の3分の1で、マーケティング予算におけるインスタグラムの割合が「大きい、もしくは非常に大きい」としている。必ず使うと回答した85%とは大きな違いがあるが、ブランドの予算の割合が「大きい、もしくは非常に大きい」プラットフォームのなかでは、Googleに次ぐ第2位で、Facebookを抜いた。


同調査から、エージェンシーのほとんどのクライアントがインスタグラムの広告に使う費用は「中程度」であることがわかった。ほぼ3分の1のエージェンシー関係者(31%)が、クライアントのマーケティング予算に占めるインスタグラムの割合は「中程度」だと回答しており、その傾向は2022年と変わらない。

また、クライアントのマーケティング予算でインスタグラムが占める割合がその次に多い回答は、「大きい」であり、正確にはエージェンシーの4分の1がそのように回答している。この数字は過去6カ月と変わらないが、1年前よりも少し上昇している。2022年には、エージェンシー関係者の19%が、クライアントの予算でインスタグラムが占める割合が「大きい」と回答していた。

興味深いことに、米DIGIDAY調査に対して、クライアントのマーケティング予算におけるインスタグラムの割合が「小さい」と回答したエージェンシーも大きな割合を占め、エージェンシー関係者の21%が、インスタグラムの割合が「小さい」と回答している。これまでの推移をみると、クライアントのマーケティング予算でインスタグラムの割合が「小さい」と回答したエージェンシーは、2022年第1四半期の20%から、2022年第3四半期には12%に減少していたため、今回の調査で数字が元に戻った状態だ。

また、クライアントのマーケティング予算でインスタグラムの割合が「非常に大きい」と回答したエージェンシーの割合をみると、1年前の14%から6カ月前は8%に減少していたが、今回の調査では8%と変化がないことも注目に値する。

同調査によると、マーケティング予算におけるインスタグラムの割合は「中程度」と「大きい」と回答したブランド関係者のグループが上位を占めた。具体的にはそれぞれ27%で、両方とも6カ月前から跳ね上がっている(なお、ブランド関係者は6カ月前の調査で、マーケティング予算におけるインスタグラムの割合は17%が「中程度」、14%が「大きい」と回答)。しかしながら、マーケティング予算におけるインスタグラムの割合を「中程度」と回答したブランド関係者は27%で、これは1年前の28%と同程度である。

マーケティング予算におけるインスタグラムの割合が「小さい」と回答したブランド関係者の割合も、この6カ月で大きな変化を見せた。2022年第3四半期では3分の1以上(35%)がインスタグラムにまわす予算は少ないと回答していたが、その割合が2023年第1四半期にはわずか12%に減少し、1年前にマーケティング予算におけるインスタグラムの割合が「小さい」と回答したブランド関係者の割合18%にかなり近づいた。米DIGIDAYのデータによると、この半年で、一部のブランドにはインスタグラムにまわす予算の割合が「小さい」から「中程度」もしくは「大きい」にシフトした可能性がある。

Facebookのように、インスタグラムに対するエージェンシーの支出も揺るぎない。その一方で、インスタグラムを使えば、クライアントのマーケティングが必ず成功するとエージェンシーが確信しているかといえば、それはかなり疑問だ。

たとえば米DIGIDAYに、「インスタグラムなら、クライアントのマーケティングが成功すると『確信がある』」と回答したエージェンシー関係者の割合は、この1年半で大きく変動した。2023年第1四半期、3分の1以上のエージェンシー(35%)が、インスタグラムなら必ず成功すると回答しているが、2021年第3四半期には45%あった数字が、6カ月前には4分の1をわずかに超える程度(26 %)まで激減していた。

一方、「インスタグラムならマーケティングが成功するある程度確信がある」と回答した人は、6カ月前の38%から若干減り、3分の1になった。しかし、1年半に「インスタグラムならマーケティングが成功するとある程度確信している」と回答した21%よりもかなり上昇している。

その一方でブランドをみると、2022年の1年間で「インスタグラムならマーケティングが成功する」というインスタグラムに対する信頼が徐々に高まっている。2022年第1四半期、ブランド関係者の30%が「インスタグラムなら成功する確信がある」と回答していたが、その数字は2022年第3四半期に38%と上昇し、今年2023年第1四半期には半分に迫る勢いを見せている(46%)。

一方「インスタグラムならマーケティングが成功する『ある程度の確信がある』」と回答したブランド関係者の割合は、この6カ月で減少を見せた。2022年第3四半期には3分の1をわずかに超える程度(35%)だったこの数字は、2021年第3四半期からこれまでのところそれほど大きな変化はなかったが、2023年第1四半期で4分の1を切った(21%)。

興味深いのは、この2023年第1四半期に「インスタグラムならマーケティングが成功すると『少しだけ確信がある』」と回答しているブランド関係者が、「ある程度確信がある」と回答した人よりも増えた点だ(24%が「少しだけ確信がある」と回答)。また、2021年第3四半期には回答者が0人だった「全く確信がない」だが、今期2023年第1四半期は、3%のブランド関係者が回答に選んだ。数字としては非常に小さいが、注目に値する。なお、この数字は1年前に18%へ跳ね上がり、昨年2022年第3四半期には4%に減少した。

[原文:Digiday+ Research deep dive: Brands’ confidence in Instagram grows, while agencies’ confidence wavers

Julia Tabisz(翻訳:SI Japan、編集:島田涼平)

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