アディダスが メッシ の両足と共にワールドカップを制覇:「ワールドカップは、不可能なことはないと思える瞬間」

DIGIDAY

「アルビセレステス」の愛称で知られるアルゼンチン代表は2022FIFAワールドカップ・カタール大会で優勝を果たし、36年ぶりに同国にワールドカップトロフィーを持ち帰ってきた。多くのファンがメッシ率いるアルビセレステスに魅了され、ブランドスポンサーも驚喜させ続けた。もちろん、アディダス(Adidas)も然りだ。

同チームの顔である主将、リオネル・メッシ氏の働きは、ピッチ内だけでなく、その外でも高く評価されている。独スポーツウェア大手のアディダスにしてみれば、メッシ氏の最後のワールドカップと思われるカタール大会で彼を讃えることは、販促のまたとない好機だった。

アディダスはそこで、複数のソーシャルチャネルにおいて、短いが内容の非常に濃いCMを配信した。それは、過去4回のワールドカップでプレーした当時の自分と相対するメッシ氏を主役に配したものであり、そこにはもちろん、伝説的英雄ディエゴ・マラドーナ氏と比較されつつも、ぼさぼさの髪で胸に一杯の夢を抱え、2006年のワールドカップドイツ大会に初出場した初々しい姿もあった。

コパ・アメリカ2021で自国を優勝に導いた男は、2010FIFAワールドカップ・南アフリカ大会、2014ブラジル大会、そして2018ロシア大会でも代表チームを力強く牽引。そんな35歳の驚異的サッカー選手に、アディダスの宣伝部隊は大いなる敬意を払いたいと考えた。

「美しき記憶の数々。我らファミリーがするのは、不可能を現実にすること」との投稿が、アディダスのソーシャルメディアのページに登場。その後、それと同じ投稿をリオネル・メッシ氏自身が、3億8800万人のインスタグラムフォロワーに向けて発信した。

時を駆ける魔法

アディダスが制作した件の動画は、CGIを駆使し、5人のメッシ氏がピッチ上でパスを出し合い、助言を与え合う姿を映し出す。

視聴者が目にするのは、その時々の髪型で、アディダスのユニフォームおよびシューズ姿の自分と相対するメッシーー短尺で、18年間と5つのワールドカップを一気に網羅するストーリーだ。

専門家らによれば、年齢差を感じさせずに5人の異なるメッシ氏を違和感なく見せるテクニックは、AI技術の賜物だという。また、場面と場面の滑らかな繋ぎにはおそらく、いわゆるボディダブル(出演者の替え玉となって演技する俳優)も使われている。

動画にはまず、当時のアルゼンチン代表監督ホセ・ペッカーマン氏からドイツ大会に召集される前、まだ18歳のメッシ氏が登場する。青年は、2010南アフリカ大会に出場した22歳のメッシ氏にパスをする。続いて2014年、大会随一の名選手であることを証明して見せたブラジル大会でのメッシ氏が現れ、2018ロシア大会の自分にパスをする。

すべては一瞬の出来事であり、その後ろにオーパスによるテーマ曲「ライヴ・イズ・ライフ」が流れる。最後に、ワールドカップを高々と掲げる飽くなき夢を抱き続ける男、2022カタール大会のリオネル・メッシ氏が現れ、過去4人の自分との練習に合流する。

ソーシャルネットワーク上で拡散した同CMの後にはさらに、「The Family Reunion(ザ・ファミリー・リユニオン/家族の再会、の意)」と題する販促キャンペーン動画も配信された。カリム・ベンゼマ氏、アクラフ・ハキミ氏、ソン・フンミン氏、ジュード・ベリンガム氏、ペドリことペドロ・ゴンザレス・ロペス氏、セルジュ・ニャブリ氏といった国際的スター選手が次々に登場し、乗り遅れ厳禁のカタール行きバスに乗り込む、という演出だ。

「ワールドカップは、不可能なことはないと誰もが本気で思える貴重な瞬間にほかならない。選手とファンが皆、自分たちこそが優勝トロフィーを持ち帰る、という確信でひとつになる、そんな瞬間だ」と、アディダスのグローバルコミュニケーション部門VPフローリアン・アルト氏は、同広告戦略に対するコメントを語った。

「新たなスターの登場、驚きの番狂わせ、圧巻のゴール、世界中に広がる称賛の輪、といった素晴らしい光景の数々をこれから目にすることになる。弊社のキャンペーンが世界中のファンの心に火を点け、生み出したいと思っているのは、まさにそうしたスピリットだ」と、アルト氏は話す。

メッシとの契約はW杯制覇でより効果的に

長年、メッシ氏はアディダスにとって、触れる物すべてを黄金に変えるギリシャ神話の王ミダス的存在となっている。2017年2月に生涯契約を締結して以来、同社はメッシ氏をイメージした特別モデルのシューズをいくつか発売しており、いずれも世界中で人気を博している。

具体的な契約金は非公開だが、一部のメディアは当時、年間1000万ドル(約140億円)に上ると報じた。

FCバルセロナ時代はナイキ(Nike)のユニフォームを着ていたため、メッシ氏がチームを離れるとの噂が流れた当時、アディダスにとっては非常にありがたい話であり、同社は自社がスポンサーを務めるクラブへの移籍を期待していると、スペインのスポーツ系マスコミは報じた。(現所属であるパリ・サン=ジェルマンのユニフォームサプライヤーはナイキ)

当時のアンケート調査では実際、メッシ氏といえば、アディダスよりもナイキのイメージが強い、との回答が70%に上っている。

ちなみに、最近のいわゆる「メッシバース」の覇者は、アディダス以外にもいる。ペプシ(Pepsi)、レイズ(Lays)、ゲータレード(Gatorade)も、かのアルゼンチン代表主将の広告パートナーリストに名を連ねている。

いずれにせよ、何年も前にメッシ氏とスポンサー契約を交わした企業が、アルゼンチン代表の優勝によって最大のうまみを味わうのは間違いない。

[原文:Adidas conquers the World Cup final at Messi’s feet

Denny Alfonso(翻訳:SI Japan、編集:島田涼平)

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