Web3 クリエイターを対象にしたファッションブランド、MHRS 8ビットが誕生した背景とは?

DIGIDAY

テクノロジーやWeb3に関与している人々のなかには、ファッション業界から無視されているように感じている人が多い。ラグジュアリーブランドにとっては、TikTokの視聴回数のほうがアプリ制作や仮想通貨取引より重要だからだ。しかし、テクノロジー消費者を対象にしたメタバースを統合したブランドが市場に登場してきている。

テクノロジーやWeb3に関与している人々のなかには、ファッション業界から無視されているように感じている人が多い。ラグジュアリーブランドにとっては、TikTokの視聴回数のほうがアプリを制作したり数百万ドルの仮想通貨を取引することより重要だからだ。しかし、テクノロジー消費者を対象にしたメタバースを統合したブランドが市場に登場してきている。

商品の購入でそのNFT版にもアクセスできるMHRS 8ビット

バンクーバー拠点のメンズウェアブランド、プライベートストック(Private Stock)の元デザイナー、ジョナサン・クーン氏はテック愛好家の若者の視点を「体現する」物理的なファッションブランドを立ち上げた。8月1日、同氏はモーストリー・ハード・レアリー・シーン8ビット(The Mostly Heard Rarely Seen、MHRS 8-Bit)コレクションを発表。これは2015年にローンチされたメインのMHRSラインのスピンオフである。このコレクションはリテールメタバースゲーミングプラットフォームのハイストリート(Highstreet)とのコラボにより誕生したが、クーン氏がプライベートストックにいた2013年から考えていたものだった。

MHRS 8ビットコレクションの各パーカーや帽子、TシャツにはQRコードが付いており、消費者にはその商品のNFTバージョンが付与されるようになっている。また、ハイストリートに拠点を確立するための8つの手順からなる指示も付いてくる。同コレクションはメタバースに接続されているストリートウェアコレクションの最初のもののひとつであり、サックス・フィフス・アベニュー(Saks Fifth Avenue)ニーマン・マーカス(Neiman Marcus)、セリフリッジズ(Selfridges)、ハーヴェイ・ニコルズ(Harvey Nichols)、ベイメン(Beymen)、ブルーミングデールズ(Bloomingdale’s)、ファーフェッチ(Farfetch)などのラグジュアリー小売業者によって取り扱われることになる。

テック業界の消費者を取り込む目的

クーン氏が自分の最大の顧客であるウェブ担当者に同じ服ばかり着ている理由を尋ねたところ、返ってきた答えは次のようなものだった。「DJやラッパーはYouTubeで数十万回も視聴されると、グッチ(Gucci)から次のファッションショーに招待される。技術者は仮想通貨の取引や新しいアプリの制作で1億ドル(約135億円)を稼いでも、グッチに名前を覚えてもらえることはない。そんなことなら、デザイナーブランドの服を着る気にはならない」。

こうして、クーン氏はテクノロジー消費者を対象にしたブランドを開発する機会を見出した。同氏は、2014年、アマゾン傘下のザッポス(Zappos)でアーティスティックディレクターを務めていたアンドレ・レオン・タリー氏と協力して、インターネットでラグジュアリーブランドを販売するというザッポスの初期の試みに関与した。コンサルタントとしては、中国最大の小売業者であるJD.comに対して、主要なオピニオンリーダーをラグジュアリーブランドの中国でのファッションショーに招待するようにアドアバイスしたということである。この手法はいまではファッション業界の定番になっている。

現実とデジタルの融合を表す8ビットコレクション

クーン氏と共同創業者のトーマス・「トミカラ」・リー氏は、MHRS 8ビットのコーディングと美的感覚がコア消費者であるWeb3テクノロジーネイティブのそれらと一致するよう、4年間尽力してきた。メインのMHRSブランドは、2015年以降小売パートナーに取り扱われており、MHRS 8ビットも主要な小売業者に迅速に販売されるようになる。クーン氏は、年2回のコレクションで8ビットブランドを拡大し、また1年を通じて小規模なNFTフィジタルドロップをリリースする予定である。

クーン氏は「テクノロジー分野の人々にとっては単純なことだ。稼いでいる自分たちのことをまったく気にもしないブランドを消費してサポートするのか?」と述べ、ルルレモン(Lululemon)とパタゴニア(Patagonia)を例に挙げる。この2社は機能的なデザインとシリコンバレーのマーケティングによってテクノロジーコミュニティの精神を代表するようになった。その相乗効果のおかげで2社は重要なビジネスチャンスを構築することができたとはクーン氏の弁だ。8ビットプロジェクトはフィジタルアイテムの希少性と独占性にフォーカスしているため、Web3ユーザーにとってネイティブなままとなる。

グッチのようなラグジュアリーブランドは、昨年後半に起きたNFTブームのあとでテクノロジーユーザーに次第に対応するようになってきてはいるものの、Web3ネイティブからはあまりネイティブには感じられないという批判を受けている。グッチはデジタルアーティストのワグミさんとの10KTFコラボレーションの制作に取り組んでおり、ユーザーには独自のプロフィール写真 (PFP) のNFTと物理的なアイテムへのアクセスが与えられる。また、Web3投資家、ジーマネー氏のファッションブランド9dccは(ブランドに対してテック顧客が感じている)ギャップを埋めることを目指しているが、クーン氏のアプローチはWeb3をオフホワイト(Off-White)スタイルのカスタマイズ戦略に結び付けるという流行に敏感で新鮮なものである。

ハイストリートの共同設立者、ジェニー・グオ氏は、今回の(ハイストリートと8ビットコレクションの)統合は、従来のファッション顧客がコレクターズアイテムや取引可能なファッションアイテムに関わるための重要な足がかりになると述べている。「8ビットコレクションのローンチによって、Web3技術を利用するための複雑な知識を持っていない消費者にもWeb3文化のエネルギーと新しい可能性を体験してもらいたいと思っている」。

[原文:Creating a fashion brand for the web3 customer

ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)


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