TikTokで何千人ものスウィフティーズ（テイラー・スウィフト氏の熱烈なファン）がエラス・ツアー（Eras Tour）に着ていく服装を披露しているが、コンサートを一瞬たりとも見逃さないために、ある重要な下着を取り入れている人たちがいる。それは、大人用おむつだ。
「テイラー・スウィフトのチケットを手に入れるのにかかった時間とストレスの分だけ、1分たりとも見逃したくないので大人のおむつのお世話になるつもり」。10万3900人のフォロワーがいるTikTokのクリエイター、@therealkatherineは、3月31日にそんな動画を投稿した。1万3400ビューとなっているその投稿はリブドライ（LivDry）というブランドの18枚入りおむつの商品リストにスポットを当てており、残りの17枚のおむつがほしいスウィフティーズがいたらあげると提案している。
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TikTokで話題のコンサートのトイレ対策
テイラー・スウィフト氏を追いかけているカルト的なファンは、TikTokでエラス・ツアーに関するあらゆる話題で大いに盛り上がっている。Glossyのサラ・スプルッチ＝フェイナー氏の取材では、関連するハッシュタグは数十億ビューを記録し、スタジアムで必要な透明バッグやフレンドシップ・ブレスレットといったファッショントレンドの売上を急増させている。
エラス・ツアーのトレンドとして、大人用おむつはカウボーイブーツや短いフリンジスカートほどは広まらないかもしれないが、一般的に尿失禁問題に対処するために使用されるこの製品は、トイレの行列を避けるハックとしてTikTokで話題を呼んでいる。
ユーザー@madelinedolawayが5月18日に投稿して26万4900ビューとなっている動画は、コンサート用のキラキラしたゴールドのフリンジドレスの下におむつを装着した友人を写し、短いスカートでも隠せるとアピールしている。これに対するコメント欄は賛否両論だった。「3時間ももたない」と疑う声もあれば、このアイデアを気に入って自分もコンサートにはおむつをして行くと言う人もいた。「エラス・ツアーに着ていくものとして誰かがディペンド（Depend、失禁用パンツ）をイチオシするのを待ってた」とある人はコメントしている。
「このために私がおむつをしているなんて誰も知らない」と、3月18日のエラス・ツアーのコンサートでTikTokユーザーの@ilovejalapenochipsが投稿した動画は、2万ビューを獲得した。彼女の情熱を称賛するコメントや、同じことを考えているというユーザーからの発言が複数寄せられている。「かっこいい」というコメントや「尊敬する」というコメントもあった。
トイレの行列を避けるための大人用おむつ
公共の場でトイレの長い列に並ぶというのは、米国の女性にとってよくある経験であり、特にスタジアムでは緊急事態となる可能性がある。だがその経験は会場によってさまざまだ。あるコメントでは、トイレは空いていて1曲の3分の1を聞き逃しただけだったとして、エラス・ツアーでの大人用おむつの必要性を否定している。
エラス・ツアーの参加者全員が、3時間おむつを着用するという発想を支持しているわけではない。インフルエンサーのオードリー・ソラーズ氏（@audrey.solarz、フォロワー数19万8700人）は3月17日に投稿した動画で、友人が「ショーを見逃さないためには、エラス・ツアーにおむつをつけていく必要がある」と話したことに触れ、テイラー・スウィフト氏の歌詞に合わせて口パクで「Oh my god, she’s insane（信じられない、彼女は正気じゃない）」と言っている。だがコメント欄には、これは賢いアイデアで自分も検討しているという複数の意見が寄せられた。
この選択を真剣に考えている動画がある一方で、ジョークなのかどうかはっきりしない動画もある。ユーザーの@jennifermeganhunsickerは「トイレ休憩の曲」を選ぶのがいかに難しいかを議論した動画に、「マジでおむつを検討」というキャプションをつけた。インフルエンサーの@jorgecollects（フォロワー数3万100人）の投稿はでは、「あなたのトイレ休憩の曲は何？」という質問のクリップに、長い手術を乗り切るために大人用おむつを着用する計画を立てる外科医を描いたテレビ番組のクリップをつなぎ合わせている。この動画は70万3000ビューと10万6800の「いいね！」を獲得した。
23万5600ビューを獲得したスウィフトファン@tswiftumsによる3月13日の投稿には、「ただみんなに知ってもらいたいんだけど、クルーエル・サマー（Cruel Summer）を聞き逃さないために、エラス・ツアーに向けておむつのことをじっくり考えてるところ」とある。「私もこれしばらく冗談で言ってたけど、ちょっと冗談じゃないかも」というコメントがついた。
その翌日、アカウント@myhairpintriggers（フォロワー数1万7400人）による1万6100ビューの投稿では、スウィフト氏の友人カーリー・クロス氏がベビーケアブランドのコーテリー（Coterie）との提携を3月にローンチしたのは、「スウィフティーズがエラス・ツアー中にクルーエルサマーのブリッジの部分を聞き逃さないようにするため」かもしれないとジョークを言っている。バッグデザイナーのソラヤ・ヘネシー氏（フォロワー数6800人）は、エラス・ツアーに着ていく服装について語ったTikTokの投稿で、オムツを着用するという人の話を聞いて「え？」と思ったと話している。
赤ちゃん用おむつブランドのダイパー（Dyper）がエラス・ツアーをテーマにしたTikTok動画を投稿したところ、エラス・ツアー用の服装におむつを利用するアイデアについて話すコメントが複数寄せられた。
失禁問題に対する現実的な不安
TikTokユーザーの@chloeevansj（フォロワー数7300人）は、エラス・ツアーにおむつを着用する大人を批判したが、これは医療的な理由でおむつを必要とする人を非難しているのではないと明言している。
ママ&ベビーケアブランドのフリーダ（Frida）は、インフルエンサーのベイリー・ジョーダン氏（@bailee.jordan、フォロワー数1万9400人）による、出産後にエラス・ツアーに参加するとどんな感じになるのかという動画をTikTokに投稿した。母乳用の搾乳器と産後の大人用おむつを着用した動画を共有したジョーダン氏は、「fyp（おすすめページ）がエラス・ツアーのみんなのOOTD（今日のコーデ）でいっぱいになっているとき、でもあなたが6月1日に出産予定で6月9日のチケットを持ってるなら、こんな格好でコンサートに行くことになる」と語っている。
失禁の問題を抱える人にとって、公共の場でのトイレの長い行列に対する不安はかなり現実的だ。妊娠中の「エラス・ツアー」のファッションチェック動画へのコメントでは、3時間のコンサートにおむつを着用する必要性が記されている。一般のTikTokユーザーもセレブリティもともに、女性が妊娠中や産後に直面する失禁問題に対する汚名を晴らすために発言している。シェイ・ミッチェル氏は妊娠中におむつを装着する必要性についてYouTubeに投稿しており、クリッシー・テイゲン氏は産後に装着していた体験を率直に話している。
ユーロモニター（Euromonitor）のデータによると、大人用おむつは2019年時点で90億ドル（約1.2兆円）の市場だった。米国女性の約半数が何らかの尿失禁を経験しており、出産が大きなリスク要因となっているといわれている。
大きなイベントで医療以外の理由で大人用おむつを着用することは、米国では前例がないことではない。年越しのタイムズスクエア・ボールの落下イベントの参加者は、真夜中まで人混みの最先端で自分の場所を確保するためにおむつを着用していることで知られている。あるユーザー（@samebrainsisters）は、大晦日にテレビでボール落下を見ながら友人たちがオムツについて話している動画を公開し、キャプションに「おむつに興味津々の」友人たちとテイラー・スウィフト氏のコンサートに行くのは怖いと冗談を書いた。その動画は6万1000ビューを記録している。
[原文：Taylor Swift fans’ Eras Tour fit checks include adult diapers]
LIZ FLORA（翻訳：Maya Kishida 編集：山岸祐加子）
