「 レンタル 」の最新事情を物語る:レント・ザ・ランウェイが新しい服を販売へ

DIGIDAY

1月12日、レント・ザ・ランウェイ(Rent the Runway)がAmazonファッションとの提携を発表、マーケットプレイスにて同社のデザインコレクティブ(Design Collective)ラインの中古レンタル品および未使用の新品の販売を中心に行う。レント・ザ・ランウェイが2018年に初めて発表したデザインコレクティブは、これまでハウスレーベルとして機能してきた。顧客の好みに関する同社のデータを取り入れ、デザイナーと提携して制作している。レント・ザ・ランウェイは、デザインコレクティブの新たなスタイルを独占的にレンタルで提供し、その後、着用されたスタイルの販売を行ってきた。

今回、デザインコレクティブの新スタイルがレント・ザ・ランウェイとAmazonの両方で販売されることとなった。Amazonはこの提携によって、レント・ザ・ランウェイ以外では初の複数のデザイナーによるレンタル向けに作られたコレクションを扱う小売業者となる。Amazonのレント・ザ・ランウェイのプレラブド(Pre-Loved)の商品には35人のデザイナーによる数百ものスタイルがあり、デザインコレクティブの商品には1000を超えるスタイルがある。

Amazonで発売されるデザインコレクティブのコレクションには、アダム・リップス氏、デレク・ラム氏、エステバン・コルタサル氏、マリーナ・モスコーン氏、ロニー・コボ氏、ジョナサン・サンダース氏、タクーン・パニクガル氏といったデザイナーとのコラボレーションによる新しいスタイルが含まれている。

Amazonとの提携で新たな顧客にアクセス

デザインコレクティブのシーズンコレクションを制作する計画や、他の小売店への展開の有無については未確認だが、レント・ザ・ランウェイは、Amazonとの提携は自社コミュニティを超えた製品に対する需要を示しているという点については認めている。2021年6月、レント・ザ・ランウェイは、中古レンタルの販売を会員以外の買い物客にも拡大した。2020年7月には、スレッドアップ(ThredUp)との提携を開始、スレッドアップのコミュニティに中古のスタイルを販売している。また2022年7月、サックス・オフ・フィフス(Saks Off 5th)と再販に特化したパートナーシップをローンチした。

「レント・ザ・ランウェイは、急成長している新たな再販顧客へのアクセスとAmazonでのショーケースの両方を手に入れ、興味と売り上げを牽引することができる。これは道理にかなった動きだ」と述べたのは、データ分析会社グローバルデータ(GlobalData)の小売アナリストでマネージングディレクターのニール・サンダース氏だ。「ラグジュアリー製品の豊富な在庫を考えると、レント・ザ・ランウェイは非常に魅力的な再販オファーをまとめることができるはずだ」。

Amazonは昨年10月にワット・ゴーズ・アラウンド・カムズ・アラウンド(What Goes Around Comes Around)との提携により、ラグジュアリーの再販をローンチしている。

レンタルサービスがリーチを広げる必要性

レンタルはいまだ厳しい。そして、市場がさらに飽和状態になっていくにつれ、レンタル会社は顧客を呼び込むためにさらに遠くへと目を向けなければならなくなり、自然とそこにフィットするのがAmazonだ。Amazonは2022年に650億ドル(約8.4兆円)以上の価値があるアパレルとフットウェアを販売したと推定されている。2022年はレント・ザ・ランウェイにとって苦難の年であり、その困難な市場での将来的な収益性を見込んでリストラを行い、社員の24%を解雇した。同社にとって採算が取れていないことに変わりはないが、純損失は2021年第3四半期の8780万ドル(約113億円)から前年同期の3610万ドル(約46.5億円)へと縮小している。

レント・ザ・ランウェイのパートナーシップの拡大は、レンタルサービスがリーチを広げる必要性を反映している。英国では、レンタルプラットフォームのハー(Hurr)がセルフリッジズ(Selfridges)でポップアップを展開、昨年は3桁の成長を遂げており、マイワードローブHQ(My Wardrobe HQ)は2021年からハロッズ(Harrods)でポップアップを行っている。2022年11月に年間売上高730万ドル(約9.4億円)を報告したハーは、2022年1月に再販部門を立ち上げた。マイワードローブHQもレント・ザ・ランウェイに先駆けて、1月5日に階層モデルを活用した英国初のレンタルサブスクリプションの提供を開始した。現在、両社ともハウスレーベルはプロデュースしていない。

レンタルの価値は過剰な生産を抑え、安定した収益源となること

「新しいアイテムを作ることは差別化の重要な点であり、レント・ザ・ランウェイは(明らかに)より多くの顧客を引き込むことを望んでいる」とサンダース氏は言う。「レント・ザ・ランウェイは、成長と収益性を高めるために新たな収益源を見つける必要があるため、こうしたあらゆる多様化が重要である。従来のレンタルモデルだけでは、それらを達成できないように思える」。

ファッション企業は、レンタルの機会にますます注目するようになっている。それに関してアーバン(URBN)は、2021年8月にレンタルサブスクリプションサービスのニューリー(Nuuly)を開始した。アーバンは11月21日に発表された第3四半期の決算で、前四半期比37%増というサブスクライバーの急増という事実が裏付けるように、ニューリーがアーバンの純売上高に3530万ドル(約45.5億円)貢献したと報告している。一方、2021年以降、ラルフローレン(Ralph Lauren)、ヴィンス(Vince)、LKベネット(LK Bennett)がサービスプロバイダーのカースル(CaaStle)を通じたレンタルを開始した。カースルはウェブサイトで「衣料品を不定期に購入する代わりに、(レンタルをサブスクライブする)消費者は毎月あなたのブランドにお金を使う」と述べ、ブランドに対するサービスをアピールしている。ガンニ(Ganni)は2019年にレンタルのテストを開始、4月にピアツーピアのレンタルプラットフォームをローンチした。過剰な生産を抑えながら安定した収益源を提供することがレンタルの価値だと、多くのブランドは考えている。

[原文:Rent the Runway launched a clothing brand — what it says about the state of rental]

ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)

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