「実力を証明したいという意気込みを感じる 創業者 に投資する」:イマジナリー・ベンチャーズ共同創業者 ニック・ブラウン氏

DIGIDAY

景気動向と消費行動が変化するいま、イマジナリー・ベンチャーズの共同創業者でマネージング・パートナーを務めるニック・ブラウン氏は、つねに時代を先取りすることを念頭においている。イマジナリーはブラウン氏が、ネット・ア・ポーターの創業者ナタリー・マッセネット氏とともに2018年に立ち上げたベンチャーキャピタル。

景気動向と消費行動がたえまなく変化しつつあるいま、ニューヨークに本社を置くイマジナリー・ベンチャーズ(Imaginary Ventures:以下イマジナリー)の共同創業者でマネージング・パートナーを務めるニック・ブラウン氏は、つねに時代を先取りすることを念頭においている。

イマジナリーはブラウン氏が、ネット・ア・ポーター(Net-a-Porter)の創業者ナタリー・マッセネット氏とともに2018年に立ち上げたベンチャーキャピタルで、ハイテクと小売分野に注力する最大級のVCファンドだ。投資ポートフォリオにはスキンケアで人気のグロッシアー(Glossier)、キム・カーダシアンが手がける補正下着のスキムズ(Skims)、エシカルファッションのエバーレーン(Everlane)、ラグジュアリーファッション・プラットフォームのファーフェッチ(Farfetch)をはじめとする話題のブランドが名を連ねる。イマジナリーの運用資産残高は10億ドル(約1300億円)に達し、2022年4月にはレイターステージとアーリーステージのスタートアップ企業を対象とする投資目的で、5億ドル(約650億円)規模の3号ファンド組成を発表した。

ブラウン氏によれば、イマジナリーの成功の鍵は、グローバル展開の可能性を秘めた実力派スタートアップ企業を見いだす能力にあるという。GLOSSYポッドキャストのエピソードで、氏は次のように語っている。「ベンチャー投資に対する当社の考え方は、つねにブランド中心、製品中心だ。革新的なテクノロジーの先端をいくブランド、変化しつづけるエコシステムに適応できるブランドを優先して投資している」。

事業が軌道に乗って安定するレイターステージの企業への投資で成果を上げてきたイマジナリーだが、起業直後のアーリーステージながら、消費者体験の未来を築く可能性をうかがわせるブランドや創業者にも注目している。

「アーリーステージにある創業者への投資を検討する際、向こう5年間の経営計画の詳細より、事業規模の拡大に向けたビジョンを重視する。なぜなら、規模の拡大こそもっとも難しい部分だからだ。当社が投資先候補とする20社から40社のうち、年商1億ドル(約130億円)に達する力をもつ企業はわずか1社にすぎない」とブラウン氏は指摘する。「だから投資を受ける側としては、事業拡大戦略をよく練り、確信をもって主張できるまでになる必要がある」。

以下はブラウン氏とのインタビュー抜粋。読みやすさを考慮し、若干の編集を加えてある。

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イマジナリーの投資姿勢

「イマジナリーは、出資先に対しては協力を惜しまない。マッセネット氏もチームメンバーも私と同じく、できるかぎり支援したいと考えている。出資者とはいえ、我々がそれらの企業を所有しているわけでも、日々の事業運営にたずさわっているわけでもない。当社は年に8社から10社に投資するモデルで活動しており、出資先企業のCEOと同じレベルでは経営にかかわれない。まずは、それを正直に伝えておかなければならない。CEOが事業を運営できる出資者を求めているなら、ベンチャーキャピタルとは違うタイプの投資家を探すべきだからだ。最終的には、出資先に対しては具体的で、的を絞った支援が必要になるが、支援の内容は企業によって大きく異なる」。

創業者を見定める

「私が注目するのは、すぐれた創業者に共通した特徴である、『実力を証明したいという意気込み』だ。自分よりすぐれたスキルを有する人々を採用するのを恐れない創業者、つねに聞く耳をもち、他人の助言を真摯に受け止める創業者が望ましい。助言にただ従うのでなく、人の意見をよく聞いて熟考する。そんなフィードバックの輪を奨励する姿勢が大切だ。また、機敏で融通がきき、厳しい状況下で方向転換する勇気を示せる人物がいい。そこが、事業から撤退する創業者と生き残る創業者の違いであり、生き残るだけでなく、逆境を乗り切って成功につなげられる創業者の特徴だ」。

長期的な展望

「私はリーダーには忍耐強さが必要だと思っている。陳腐に聞こえるかもしれないが、市場が急激な変化を遂げ、消費者の行動が読みづらい時期に求められるのは忍耐力だ。今後12カ月で個人消費の動向がどうなるか、我々には予測がつかないから、我慢して様子を見なくてはならない。新規の投資先候補を探すペースを落とし、既存の出資先の成長が少し遅れることを想定して、気長にかまえなくてはならない。忍耐力は人材育成のKPI(重要業績評価指標)として扱われるべきであり、私は、社内ではそこに重点を置いている」。

[原文:Imaginary Ventures co-founder Nick Brown on seeking out ‘founders with something to prove’

(翻訳:SI Japan、編集: 山岸祐加子 )


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