ドイツ発のミールキットブランドであるハローフレッシュ(HelloFresh)は、今後、小中規模のストリーマーにフォーカスするパフォーマンスマーケティングキャンペーンを展開していく。
ライブストリーミングサービスプロバイダーのストリームエレメンツ(StreamElements)と契約を交わし、ゲーミングコミュニティに広告を打っていく方針だ。なお、ストリームエレメンツに至っては、今回の提携を通じてゲーミング界以外のブランドおよびマーケター間での認知度向上を期待している。
1万人以上のクリエーターがハローフレッシュとのパートナーシップに参加
ストリームエレメンツとの提携は、ハローフレッシュによるライブストリーミング界への第一歩となる。「ゲーミング界への進出は、いまのところ大きな成功を収めている」とハローフレッシュのインフルエンサーマーケティング部門トップであるローレン・マコーネル氏は話すが、同キャンペーンの具体的なコンバージョン率は明かさなかった。「このキャンペーンは2023年も、それ以降も大いに活用していく」。
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同キャンペーンは、ストリームエレメンツが2016年の創業以来実施している多くのパフォーマンスマーケティングキャンペーンとほぼ同じものだ。参加ストリーマーはブランド名を冠したオーバーレイおよびグラフィック、そして各々のコミュニティと共有できる独自のプロダクトリンクを受け取り、すべてのクリックはストリーマーのパフォーマンス目標達成に向けてカウントされる。そして、実際の購入分のみ、ストリームエレメンツは支払われる。
「我々が行なっているのは、ブランドが負うリスクの最小化にほかならない」と、ストリームエレメンツのブランドパートナーシップ部門トップであるサード・フセイニ氏は話す。「ブランド側には、その広告を通じてどれくらいの人が購入してくれるのか、難しい予想をする必要もなければ、多額の広告費を前もって支払い、最高の結果を祈って待つ必要もない」。同氏によれば、現在までに1万人以上のクリエーターがストリームエレメンツ経由でハローフレッシュとのパートナーシップに参加している。
ストリームエレメンツの膨大なストリーマーデータで契約を簡略化
ストリームエレメンツのいわゆるプラグアンドプレイインターフェイスは、ゲーミングコミュニティにリーチはしたいが著名なストリーマーとのパートナーシップに伴う長引く交渉や制作時間を避けたいブランドにとって、気軽に乗れるエレベーター的存在となっている。
「毎回、その企画に合う完璧な才能と完璧なエージェンシーを探す、という手間がまったく要らない。ストリームエレメンツには膨大なストリーマーデータがあり、だからこそ各ブランドに代わって資源集約型の審査を自動で行なえる力も秘めている」と、今後のブランドパートナーシップへの悪影響を避けるため、匿名を条件に取材に応じてくれたTwitchストリーマーのギャッピー氏は話す。「彼らがクリエーターに提供する取引の一部はすでに、我々ストリーマーの側から見ればすでに自動化されており、始まりから終わりまで、契約からキャンペーンのブリーフ、さらにはトラッキングの成果物(デリバラブル)まで、すべて自動でなされる」。
ここ何年も、ストリームエレメンツはライブストリーミング界のほぼどこにでも顔を出してきた。160万を越えるTwitchおよびYouTubeのチャンネルがこの無料プラットフォームを利用しており、さらには、ストリームラボス(Streamlabs)といった競合他社らが巻き込まれた最近の紛争も、同社の追い風となっている。他業界のブランド勢が、ストリームエレメンツの支援する中小規模ストリーマー勢の「ロングテール」な潜在的マーケティング価値にはっきりと気づくようになったのは、つい最近のことだ。
「ストリーマーが使う多くのツールやサービスにも、それはいえると思う」と、匿名を望んだ別のストリーマー、ミツ氏は話す。「最近になってようやく、ゲーミング界以外の会社も、たとえばコミュニティ構築や情報の拡散におけるDiscord(ディスコード)の価値と力に気づきはじめている」。
12月第1週末、ストリームエレメンツはさらに眩い陽の当たる場所に足を踏み入れた。ハローフレッシュとのキャンペーンが、YouTubeの後援するオンライン動画業界の賞、ストリーミー賞(The Streamy Awards)の候補に選出されたからだ。
両者の提携がオンライン動画の権威、ストリーミー賞の候補に
「我々がノミネートされた部門の他候補を見ればわかるとおり、真の意味でのブランドは我々しかいない。ほかは皆、ブランドを創ったクリエーターたちだ」と、マコーネル氏は話す。「これは、ハローフレッシュがYouTubeコミュニティで強力な存在感を有していることを明確に示す証だと思う」。
フセイニ氏とマコーネル氏は共に12月4日、ロサンゼルスで開かれる授賞式に出席。受賞するしないにかかわらず、候補に選出されたこと自体が、ライブストリーミング界外のブランドやマーケターに自身のプラットフォームを示せる絶好の機会になると、フセイニ氏は確信している(注:受賞には至らなかった)。
「ライブストリーミングスポンサーシップに関していえば、我々は非常に有力だが、ビジネス界ではまだそれほど知られていない」とフセイニ氏。「そして、そういう所でこそ、ストリーミー賞といった諸々すべてが大いに役に立つ」。
[原文:Why HelloFresh struck an ad deal with StreamElements to reach the gaming community]
Alexander Lee(翻訳:SI Japan、編集:島田涼平)