イケア、自社のコンテンツファクトリーを設立:「ポスト・カタログ時代」に向け、インハウス能力を強化

DIGIDAY

こちらは、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です
※モダンリテール[日本版]は、DIGIDAY[日本版]内のバーティカルサイトとなります

イケア(Ikea)は自社のコンテンツ作成の簡素化することをめざしている。そのため同社は昨夏、スウェーデンのマルメに従業員約60人からなるコンテンツファクトリーのインカコンテンツファクトリー(Ingka Content Factory)を設立した。

同社のグローバルコミュニケーションマネージャーを務めるベレン・フロー・ウリアルテ氏は、「当社はすでに社内で保有していた能力の一部を集めた」と述べ、さらに、サービスを拡大するために約20人の新しい従業員を雇用したと付け加えている。「ウェブの編集、動画の編集、写真撮影など多くの新しい能力を社内に加えつつある」。

それによって同社は、社内チームのコンテンツ作成、および社外とのコミュニケーションの両方を、より機動的にしようとしている。会議、イベント、デジタルコミュニケーション、同僚とのコミュニケーション用のコピーライティング、アートディレクション、グラフィックデザイン、動画および番組の制作を社内の従業員が行うことで、トーンに一貫性を持たせ、新しいフォーマットを迅速にテスト可能になると、同社は信じている。

ウリアルテ氏は次のように述べている。「最初の数カ月は主に社内のコンテンツを扱っているが、インカコンテンツファクトリーは少しずつ各種のチャネルに展開を進めていく考えだ。当社はこの活動をゆっくりとはじめ、規模を拡大して、エンドユーザーに有益なものを見つけだすつもりだ。顧客からの期待と需要はこれまでにも増して大きい。現状にとどまることがもっとも大きなリスクになる」。

インハウスの力が重要視される理由

イケアは、ソニー(Sony)コカコーラ(Coca-Cola)など、近年インハウス機能を強化している多くのブランドのひとつだ。メディアへの支出、ブランドの声、そのほか何であれ、より的確にコントロールできるようにすることは、DIGIDAYが以前報じたように、多くのブランドがインハウス能力を築き上げる主な推進力となってきた。現在の経済情勢を考えると、各ブランドがコスト削減と、より多くのコントロールを再度求めるにつれ、インハウスへの取り組みへの関心は再び高まってきた。

インカコンテンツファクトリーで同社の従業員向けのコンテンツを作成することは、同社の「ポスト・カタログ時代」におけるコミュニケーションの計画の一部だと、ウリアルテ氏は説明する。「当社の従業員は、当社の最大のブランドアンバサダーであり、サポーターだ」と、同氏は述べる。「従業員が参加し、理解し、支持し、コンテンツ作成者となることが、当社のブランド高めることにつながる。コミュニケーション面で行いたい最大の活動のひとつは、従業員の声を広めることだ。すべての人が参加する、すべての人のためのコミュニケーションだ」。

ブランドコンサルタンシーのプロフェット(Prophet)のマーケティングおよび販売の共同責任者を務めるデビッド・ノーバック氏によると、インハウスの能力を強化する方法を探すことは理にかなったものだという。この動きは、「消費財ブランドや小売業者が、迅速なコンテンツ開発の必要性を感じているという昨今のトレンドに沿ったものだ」と、同氏は述べる。「これらの企業は、急速に変化する多数の商品やプロモーションを保有し、店舗のプランや従業員のために、社内でそれらについて説明する必要があるのだ」。

コンテンツを管理する社内チームを築き上げることで、イケアは「迅速に、親しみを持って」行動できるようになるとノーバック氏は述べ、各ブランドはコンテンツを社内に移行させること以外にも、ウェブの開発や解析を今まで以上にコントロールすることを求めていると付け加えている。

デジタル体験もアップデート

イケアは、社内エージェンシーとは別に、小売の形式も進化させている。同社のチェーンはサンフランシスコ、コペンハーゲン、ロンドンなどの都市で、都市部の住居に住むより多くの人がアクセスできるよう、小型フォーマットの店舗を試験的に導入している。同時に、同社はデジタル体験もアップデートしており、消費者が同社の商品を自宅に置いたときの様子を想像しやすくするため、AIによるパーソナライゼーションを提供している。

「我々は、自らを変革し続けていく。高いレベルの機動性と適応性を持つことが望みだ」と、ウリアルテ氏は述べている。

[原文:Ikea looks to bolster its in-house capabilities in a ‘post-catalog era’]

KRISTINA MONLLOS(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Illustration by Ivy Liu

Source

タイトルとURLをコピーしました