ファッションブランドの 流通 の現状と未来【Glossyアニュアルレポート2022】

DIGIDAY

・はじめに
・メソドロジー
・ブランドは自社とサードパーティの流通チャネルを見直す
・パンデミックで変化した小売業者とブランドのパワーダイナミクス
・ソーシャルプレゼンスは重要だが、ソーシャルコマースでは収益が伸び悩む
・その他のデジタル広告戦略にも新たな課題がある
・コンテンポラリーブランドもラグジュアリーブランドも、よりアクセスしやすいチャネルへ移行している
・ブランドは未来の体験と流通のコントロールを目指す
・結論

はじめに

美容業界と同様にファッション業界も、2020年の厳しい状況を乗り越えてきた。パンデミックは消費者の経済事情や移動に影響を及ぼし、売上は激減した。多くの人が仕事を失い、食べ物や住む場所といった、より基本的なニーズを優先せざるを得なくなると、不必要なアイテムへの出費を正当化することが難しくなった。また消費意欲と支払う能力がある人たちでさえも、パンデミックによる自宅待機命令で買い物ができず、店舗も閉鎖されていたために、その行動が制限されていた。

その結果、マッキンゼー(McKinsey)によると、ファッション業界は2019年から2020年にかけて20%の減収を記録した。2021年になってコロナワクチンが導入され、店頭での買い物が再開されたことで、ファッションの売上が上向き始めた。だが2022年のファッションブランドの売上は、さらに強い上昇傾向にある。約2年間、消費者はほぼ首から上しか人目にさらすことがなかったが、仕事のためにオフィスに戻り、遊びのためにレストランなどの社交的な空間に出ていくようになるにつれて、ワードローブを刷新する必要が出てきたからだ。マッキンゼーは、2022年の世界のファッション売上は2019年の水準の103〜108%に達すると予測している。

多くのファッションブランドは、パンデミックを小売業者や消費者との関係を見直すタイミングとして活用した。ブランドは自宅にいる買い物客にリーチする力を高める必要があっただけでなく、小売業者の注文キャンセルで抱え込んだ余剰製品を流通させなくてはならなかった。コンテンポラリーブランドとラグジュアリーブランドは、このふたつの問題を解決するためにeコマースにますます力を入れ、卸売業者との関係は放棄された。

このレポートのためにGlossyのフォーカスグループに参加したブランドエグゼクティブたちは、小売店経由の流通からブランド所有のウェブサイトへとシフトしたことで、ブランドは力を得て、自分たちの物語をさらにコントロールできるようになった、と述べている(現在、ファッションブランドにとって、ブランド所有のウェブサイトは群を抜いてトップの流通チャネルとなっている)。そしてもっとも重要なことは、それが利益をもたらしているという点だ。スタティスタ(Statista)は、デジタルチャネル経由で販売されるファッション商品の米国での売上は、2022年に2077億ドル(約29.2兆円)に達すると予想している。

また、ファッション・ブランドはウェブサイトでの販売に限定しているわけではない。ファーフェッチ(Farfetch)のようなオンラインマーケットプレイスや、インスタグラムやFacebookなどのプラットフォーム上のソーシャルコマースツールを通じても販売を行っている。だがソーシャルメディアは、従来の実店舗ほど収益性の高いチャネルではないということが証明されている。

現在、Covid-19のパンデミックが終わりに近づいていると報じられるなかで、ブランドは再び小売パートナーと関係を持ちつつある。しかし今回は、既存の小売店内のポップアップ・ショップなどのオプションを実験するなど、ブランドは独自のやり方で関係性を築こうとしている。そうすることで、マーケターは陳列する商品の種類や見せ方をこれまでよりもコントロールできるようになり、小売業者も店内の空白の場所に商品を配置するチャンスを得られるようになった。

ブランドが利用できる従来の流通チャネルやeコマース流通チャネルが多々あるなかで、Glossyアニュアルレポートでは、新たなトレンドを理解するとともに、2022年以降のマーケティングおよびマーチャンダイズ計画の策定に必要な情報をブランドに提供すべく、ファッションの販売および流通チャネルの状況の調査を行った。

メソドロジー

ファッション流通の現状を評価し、パンデミック後の世界でどのチャネルが成功をもたらすのかを理解するため、Glossyでは業界の専門家らに、過去2年間でマーチャンダイジングの取り組みがどう変化したか、eコマースと店舗でのショッピングがどこで交差すると思うか、また以下に挙げた流通チャネルで現在利用しているものは何か、について尋ねた。

・ブロックチェーンベースのマーケットプレイス
・実店舗
・直販業者
・ゲーミングプラットフォーム
・ライブストリーミングプラットフォーム
・自社で所有し運営するプラットフォーム
・ポップアップストア
・小売パートナーのウェブサイトや店舗
・ソーシャルコマース
・サードパーティ販売業者

Glossyでは、ファッションブランドと小売業者へのオンライン調査、およびファッション企業でマーケティング、販売、小売パートナーシップを監督するシニアマネジメントエグゼクティブのフォーカスグループを通じて回答を収集した。またさらなるインサイトを得るため、26のコンテンポラリーブランドとラグジュアリーブランドのデータベースを構築し、ブランドの流通チャネルを分析、プラットフォーム間でのブランドの存在感をマッピングしている。小売業者がアイウェアなどのライセンス商品ではなく、ブランドのメインコレクションの製品ラインの一部を取り扱っている場合のみに限って、ブランドが小売業者を経由して流通しているとみなした。

ラグジュアリーの定義は、プレミアムな(高額の)価格帯のみの商品を扱い、平均以上の可処分所得のある消費者を主にターゲットとするブランドとした。コンテンポラリーは、プレミアム価格帯と手頃な価格帯の両方の製品を扱い、あらゆる所得レベルの消費者をターゲットとするブランドと定義している。我々のデータベースには、以下のブランドが含まれている。

ブランドは自社とサードパーティの流通チャネルを見直す

Glossyの調査では、ブランドに対して、ファッション製品の流通にどのようなチャネルを利用しているかを尋ねた。予想通り、もっとも一般的な流通チャネルはブランドが所有するウェブサイトと小売店だとブランドは回答している。自社サイトが他の流通チャネルを圧倒的に上回っており、87%を占めている。2番目に多い流通チャネルは小売店で52%だった。

これらのトップチャネルには、多くの点で正反対となる明確な長所と短所がある。自社サイトは自社ブランドのみを提供し、そのブランドを目当てに買い物をする顧客を惹きつけるため、オーディエンスは少なくなる。小売業者は、幅広いブランドのセレクションを提供するので品揃えが多くなっており、商品発見の段階で顧客を惹きつける。しかし小売店舗は、通常、ブランドの全コレクションのほんの一部しか扱っておらず、特定のブランドとの交流を望む顧客にとってはブランド体験が減少する。また、小売の環境下では、ブランドは互いに競い合わなければならない。

流通チャネルの中では、自社サイトが最高位である一方、自社店舗は7位で37%だった。ブランド所有のチャネルは、オンラインと実店舗ともに、小売店やソーシャルコマースの空間で発生するような同一空間におけるブランド同士の競争がなく、コントロールされた体験を提供できる。しかし、シュッツ(Schutz)のCEOフェルナンド・カリガリス氏が指摘したように、特にブランド所有の実店舗は、他の多くの選択肢に比べてコストが高い。「実店舗は非常に資本集約的だ」と彼は述べた。「その資金があるなら、実店舗はブランドを構築し、体験を創造し、カスタマージャーニー全体に寄り添うことができる方法だ」。

「しかし、そうした長期的なコミットメントのための資金を獲得するのは難しい。それにパンデミックの問題はつねに存在するため、多くのリスクや変動要因がある。eコマースは安全策となっているが、多くのD2Cコストが急増している。たくさんのブランドが、顧客のアテンション獲得のために戦っており、以前のように利益を上げるのは簡単ではない」。

直営店とウェブサイトの間には、小売店舗のようなサードパーティの選択肢がいくつかあり、ブランドにとって費用対効果がより高くなっている。しかし小売チャネルを利用するには、ブランドには前述のような競争といった障壁もあるとカリガリス氏は指摘する。「卸売の場合、経験や流通の観点から、100%他者に依存するのは厳しい。また、それは潮流に乗ることでもあり、よくも悪くもある。現在は、ひどい状況だ。小売業者は大量の商品を抱え、注文をキャンセルしたり、出荷を延期したりしなければならない。ブランドは、それらの商品を維持するための倉庫戦略を考えなければならず、あるいは最終的にディスカウントストアのT.J.マックス(TJ Maxx)に売ることになるかもしれないが、それはブランドを維持する上での最善策ではない」。

ROIの観点から、ブランドは直営店と小売チャネルを通じた流通のバランスを取る必要がある。しかし、Glossyのエグゼクティブ・フォーカスグループでは、小売店およびブランド所有のチャネルの活用方法にさらなる視点を提案するブランドリーダーもいた。小売との提携やブランドの所有物を厳密な流通チャネルではなく、マーケティングの機会として捉えているブランドもある。

サイモンミラー(Simon Miller)のセールス&マーチャンダイジングバイスプレジデントのソフィア・アジョダン氏は、小売業パートナーシップは、販売のメインポイントではなく、顧客とのタッチポイントになり得ると述べている。「卸売りは、ブランドの知識をさらに広げ、新規顧客を獲得するのにすばらしい方法だ。それはほとんどマーケティングチャネルのようなものだ。現在、当社のウェブサイトでの顧客はソーシャルメディア上のリーチに限定されており、売れ筋商品の座を獲得するためにだれもが競争している。卸売りでより多くの露出をすることで、新しい顧客層にアテンションをもたらすことができる」。

特に顧客基盤をまだ構築していない小規模なファッションブランドにとって、それぞれの流通チャネルが異なる役割を果たすことができる。アニン・ビン(Anine Bing)のチーフオペレーティングオフィサーであるオリビア・ゲンティン氏は、ブランドのリーチを最適化するために、トップチャネルを活用することが重要だと言う。

「ブランドを構築するために重要なのは多様化であり、各チャネルがどのように重なり合っているのかを見極めることだ。特にブランドが成長しているときやまだ若いときに認知度を向上させるという意味で、卸売りはその基礎を作ることができる。卸売りは露出を提供することが可能で、それを直接販売だけで行うのは非常に高くつく」。

「eコマースでは規模を拡大し、顧客体験を自分のものにすることができる。最後に、ブランドは実店舗を持つことで、全方位に向けて没入感のある1対1のパーソナライズされたブランド体験を作り出すことが可能となる」。

パンデミックで変化した小売業者とブランドのパワーダイナミクス

パンデミックによってブランドはさまざまな流通チャネルの利点を検討するようになり、ファッションブランドと小売業者との関係は変化した。パンデミックの間、特に店頭での買い物ができなくなったため、小売業者は売上が減少している。その結果、在庫も大きな問題となった。パンデミック前に行った仕入れで余剰在庫を抱えてしまっため、多くの小売業者が注文をキャンセルした。また、小売店からの注文がキャンセルされたことで、ブランドが流通させる商品にも余剰が生じた。シュッツのカリガリス氏が先に述べたように、ブランドは過剰在庫をオフプライスの小売店に販売しなければならず、その過程で高級なブランドイメージに傷がつく可能性があった。また、キャンセルされた注文により、ブランドは小売業者へのアプローチやD2C戦略を再考せざるをえず、過剰在庫を減らす工夫をする必要に迫られた。

レベッカ・ミンコフ(Rebecca Minkoff)の創業者レベッカ・ミンコフ氏は、この関係の変化がブランドに望ましいものだったと述べている。「パンデミックの最中に卸売パートナーシップがゼロになり、D2Cだけになったとき、ようやく小売業者の意見に左右されることなく自分たちの意見を持ち、それに従うようになった」と彼女は言う。「『マージン契約はもう要らない』と思いながら、パンデミックから脱した。たとえ扉が少なくなるとしても、収益性の高い卸売業だけをやっている」。

「力はブランド側に移行した。卸売業者との提携はすばらしいが、もはや(そのような関係に)あることだけが目的ではなくなった。私たちのサイトで初めて買い物をする顧客は、ほとんどの場合、百貨店でブランドを見てから直接サイトで買っている。今はとてもよい関係で、ポジティブな関係だ。以前は、より多くの小売店の門戸を開くために、自分たちにできることはすべてやったが、私たちの側ではあまり利益が出なかった」。

小売店からブランドへの力の移行によって、販売フローにも変化が起きている。クレオベラ(Cleobella)のセールス&マーチャンダイジング・バイスプレジデント、デボン・イーズリー氏は、eコマースの導入と卸売業者との提携見直しのおかげで、パンデミック後のビジネスが成長したと話す。

「パンデミック当初、まさしく当社のビジネスの中心として力を入れていた卸売業者をすべて失った」と彼女は言う。その後eコマースに移行したが、おかげで在庫を動かしながら成長することができた」。

「パンデミック後に復活したときは、卸売パートナーを戦略的に選び、健全な形でビジネスを再構築して再生できたと思う。現在は、卸売とD2Cを6対4の割合で行っている。このふたつを組み合わせたことで、ブランドは両方のビジネスを成長させた。どちらもこの1年間で2倍になっている」。

パンデミック中、小売店ではブランドへの関心が明らかに低下したが、一部のブランドエグゼクティブは、ショップの新たな可能性を想像し始めた。マルセル・フォン・ベルリン(Marcell von Berlin)の創業者マルセル・プストゥル氏は、小売チャネルをポップアップ・スペースとして扱うことを構想している。実際、調査回答者の43%がポップアップ・ショップを通じて流通させていると答えている。

「小売店では、店頭でコレクションの一部しか見ることができず、完全な体験ができない」と、プストゥル氏は言う。「そこで、卸売パートナーと一緒にポップアップ・ショップを開くか、あるいは卸売パートナーからスペースを借りて自分たちのショップ・イン・ショップを開きたいと思っている。そうすることで、顧客によりよいブランド体験を提供できる」。

「同時に、小売業者にはすばらしい顧客リストがある。(ショップ・イン・ショップは)小売業者がすでに持っているすべてのクライアントにリーチする絶好の機会となるが、他の何百人ものデザイナーの間に吊るされた、たった1つのラック以上の何かを見せることができるのだ」。

小売業者にはすでに利用可能な広いスペースがあり、ブランドとの提携店舗が減少していることも、ショップ・イン・ショップのソリューションを魅力的なものにしている。新しい製品を導入し、空いたスペースを活用することができるのだ。ブランドにとっても、より没入感のあるブランド体験をうまくコントロールしながら展示できるクリエイティブな方法となる。

ソーシャルプレゼンスは重要だが、ソーシャルコマースでは収益が伸び悩む

ソーシャルコマースの人気は高まっており、先のグラフが示していたように、調査回答者の50%がソーシャルコマースを通じて流通させていると答えている。ソーシャルコマースのチャネルを利用している回答者のうち、明らかに好まれているのがMeta(メタ)所有のプラットフォームで、インスタグラムとFacebookがそれぞれ92%でランクインした。

チャネルの収益性を見ると、自社のウェブサイトと直営店がそれぞれ1位と2位になっている。これはD2Cスペースがよりよい売上利益率を持つため、驚くにはあたらない。自社が所有する物件に次いで3位となったのは小売店で、小売店が流通ポイントの2位であるファッションブランドの流通と同様の傾向を示している。

しかし流通ポイントとして人気があるにもかかわらず、ソーシャルコマースは他のチャネルと比較すると期待はずれである。ポップアップ・ショップやマーケットプレイスと並んで、収益性では4位になっている。ソーシャルコマースによる売上とブランドのウェブサイトによる売上の違いを考えた場合、ソーシャルメディアはブランドにとって最大のマーケティングツールのひとつだが、一般的に顧客はインスタグラムで買い物をしていない、とサイモン・ミラーのアジョダン氏は指摘した。「特定の写真には非常に大きな力があり、それが売り上げに直結していることがわかる」と彼女は述べた。「だから、私たちにとって間違いなくつながりがある。だが顧客は必ずしもインスタグラム・ショッピングのプラットフォームを気に入っているわけではなく、むしろ当社のサイトに行きたいと思っている」。

シュッツのカリガリス氏も同意見で、ソーシャルコマースは顧客が購入を決定するのではなく、商品を吟味する場所であり、ブランドがソーシャルコマースから直接多くの売上を見ることはないと述べた。「インスタグラムは、ファネルの一番下の購入の瞬間ではない。インスタグラムは、顧客がブラウジングしている場所であり、認知やエンゲージメント、そして検討のためのチャネルだ。レレバンスは非常に高いが、購入を検討している段階ではない。顧客はブラウジングをしながら、最終的にはウェブサイトを訪れ、そこで購入する」。

ファッションブランドにとって、ソーシャルコマースはそれほど重要な流通チャネルではないかもしれないが、ソーシャルメディアが重要な顧客とのタッチポイントであることは明らかだ。そのため、ブランドはメインの販売場所としてソーシャルコマースに依存するのではなく、ソーシャルメディア・プラットフォームでの足跡をさらに増やすために、ソーシャルコマースに参加することがよくある。

ソーシャルメディアの重要性は、ファッションブランドのマーケティング予算配分に明らかに表れている。我々の調査結果によると、ソーシャルメディア広告がマーケティングリソースの大きな割合を占めており、他のデジタル広告がそれに続く。最下位はオフライン・マーケティングだった。このような資金配分は、ソーシャルメディア広告のコストが上昇していることと、プラットフォームの選択肢が増えたことが原因かもしれない。

TikTokは、広告の増加と相関してプラットフォームの知名度が向上した典型的な例だ。需要の高い層にTikTokが浸透するにつれて、より多くのブランドがこのプラットフォームに参加し、注目を集めるための競争が激化した。数々のブランドが存在するようになり、TikTokはマーケター向けに新たな広告機能を展開し始めている。2022年5月には、広告主が有料形式でハッシュタグをうまくコントロールできるようにするブランデッドミッション(Branded Mission)と呼ばれる機能をテストしている。このような広告オプションが増えるにつれて、ブランドは、トレンドを先取りして新しい消費者グループにリーチするために、マーケティング予算の多くをソーシャルにつぎ込み始める可能性が高い。

Pinterest(ピンタレスト)やインスタグラムのような確立された老舗のプラットフォームも、TikTokのような新規参入に対抗するため、多くの広告機能を展開している。たとえば、インスタグラムはTikTokを模倣して、スポンサー付きリールや短編動画形式の機能を大きく押している。また新しいプラットフォームも次々と登場しており、この分野に参入している。その中のビーリアル(BeReal)は、フランスのソーシャルメディアプラットフォームで、ユーザーが特定の期間に1日1回投稿できるというものだ。競合他社に遅れをとらないようにするには、これらはいずれもマーケターの限られた予算をより多く必要としており、パイの中でソーシャルが占める割合を大きくしている。

インフルエンサーも浸透しており、投稿に高い料金を取る者もいるため、その金額はソーシャル予算が膨張する一因となっている(好きなブランドについて投稿することで無料のマーケティングを提供する者もいる)。また、従来のいくつかの広告プラットフォームとは異なり、インフルエンサーには特定のフォロワーがいて、直接交流することで親密な関係を築いている。フィグ(Figue)のマーケティングおよびeコマース・バイスプレジデントのスージー・コーエン氏は、ソーシャルメディアにおけるインフルエンサーマーケティングの重要性と成長について次のように説明している。「現在、インフルエンサーは私たちにとって口コミのマーケターであり、製品をどのように、どこで身につけるかを見せるだけでなく、フォロワーとも交流している。私たちが間違いなく目を向けているのは、何十万人ものフォロワーがいる大規模なインフルエンサーではなく、マイクロインフルエンサーだ」。

「インフルエンサーマーケティングは、インフルエンサーとフォロワーの間でコメントのやりとりがある、友情や人間関係のようなものだと考えている。インフルエンサーは関与しており、自分がどこで(そのアイテムを)着ているか、それがどのようにフィットしているかについて話している。本質的に販売員であり、カスタマーサービス担当者であり、ブランドを保証することができる人たちなのだ。そして明らかに、インフルエンサーはそれでお金をもらっている」。

「それが急速に大きなグループになってきており、おかげで私たちはより多くの声を発信し、より多くのブランドをカバーすることができるようになった。有償のアクティベーションを行わなくても、インフルエンサーにあえてプレゼントをすることで、より多くの人に製品について話してもらうようにしている」。

クレオベラは製品マーケティングだけでなく、製品制作の段階でもインフルエンサーを活用している。クレオベラのイーズリー氏は「当社ではコレクションの中でインフルエンサーとのコラボレーションに力を入れている」と述べた。「インフルエンサーにコラボレーションの一面をデザインしてもらうことで、インフルエンサーはその製品を宣伝してくれる。なぜなら、そうした製品は自分たちが本当に信じているものであり、それを友人に共有するからだ。特に広告コストの上昇に伴って、インフルエンサーは間違いなく大きな役割を担うようになっている。当社ではデジタル広告費を削減し、インフルエンサーとのコラボレーションに注力している」。

その他のデジタル広告戦略にも新たな課題がある

ディスプレイ広告や有料検索を含む非ソーシャルデジタル広告は、クレオベラのようなマーケターが一部のデジタル広告を削減したことでマーケティング費用の2位にランクインした。個人情報保護規制の変更とサードパーティ・クッキーの廃止が迫っているため、ブランドは顧客に向けたオンラインでの広告の方法を準備・変更しなくてはならなかった。そのため、マーケターはより限られた選択肢に群がり、それが他のデジタル広告費の増加にもつながった可能性がある。フォーカスグループの参加者は、SEMのコストが上昇し、ブランド名や製品に関する入札が増加していることを指摘した。

フォーカスグループが、デジタル広告予算の引き下げについて言及したにもかかわらず、ソーシャル以外のデジタル戦略で注目すべきは、SMSが回復しているように思える点だ。他のほとんどのデジタル戦略は、サードパーティ・クッキーの死に影響を受けるだろうが、SMSはEメールマーケティングと同様に、その問題を回避し、ブランドが顧客にリーチするための新たな方法を提供している。SMSはサードパーティ・クッキーを使う代わりに、ファーストパーティ・データである携帯電話番号に依存する。顧客はこの情報を提供することに同意しており、したがってデジタル広告の今後のハードルを回避することができる。「eコマース・サイトへのトラフィックを促進するという点で、SMSは非常に生産的で成功した」とレベッカ・ミンコフ氏は述べている。「SMSからのコンバージョンには衝撃を受けた。いつ送っても、まるでパーティーのようだ」。

マーケティング予算配分の最下位は、オフライン・マーケティングだった。マーケターが物理的なカタログや雑誌の印刷広告を利用することが減ったため、落ち込んでいる。しかしオフラインの形式の中には、必ずしも従来のマーケティング予算に該当せず、ソーシャルメディアとなるものもある。ファッション・ウィーク期間のような従来のファッション・ショーがそのカテゴリーに入る。本来は小売業者のバイヤーに売り込むことを意図したオフラインの物理的なイベントだったが、こうした対面式のショーケースは、今ではデジタルにもアップロードされており、イベントの最中と終了後の両方で、複数のチャネル、特にソーシャルチャネルで共有されている。

コンテンポラリーブランドもラグジュアリーブランドも、よりアクセスしやすいチャネルへ移行している

パンデミック時にブランドと小売の関係は弱まったかもしれないが、小売の役割は依然として重要だ。すでに述べた通り、小売業者は顧客へのリーチとアクセスを提供するが、多くのブランドが同じスペースを共有していて、陳列できるコレクションの量も限られているため、ブランドのメッセージが希薄になる可能性がある。しかし、コロナワクチンが広く提供された後、優先順位を変えたのはブランドだけではない。ブランドとの提携が減ったことで、一部の小売業者はプライベートレーベルに注力する方向に転換し、消費者へのブランドストーリーの伝え方を変えている。

ファッションマーチャントのカーボン38(Carbon38)の共同創業者でCEOのケイティ・ジョンソン氏は、小売における消費者の関心拡大のために自社サイトにより多くのブランドを追加するのではなく、ブランドとプライベートレーベル両方のメッセージ全般を増補する方向を選択したと話す。

「ショッピファイの人気の高まりと、当社のブランドの多くがかなりのストーリーテリングとパワーを取り戻した方法を目にして信じられない思いだ。だがその結果、私たちは自社ブランドと自社所有のプライベートレーベルに本当にフォーカスしなくてはならなかった」。

「元々は、感じのいい安くて元気なTシャツとレギンスだけのビジネスだったのが、今では自社のデザイン視点があるものとなった。売上比率は、プライベートレーベルブランドと半々くらいだ」。

「それが売り上げの大部分を促進するようになるのが目標だが、卸売りから完全に撤退することは決してないだろう。当社の顧客が求めているライフスタイルを補強するような、すばらしいストーリーを持つすぐれたブランドがあまりにもたくさん存在するからだ。将来的にどのパートナーと一緒に仕事をするかを考える際にも、その観点で行うつもりだ」。

現在も小売の流通チャネルを利用しているブランドは、ブランドの価格帯に応じて明確なパートナーがいる。コンテンポラリーブランドは、全体的に販売拠点が多く、ノードストロム(Nordstrom)、ファーフェッチ(Farfetch)、サックス(Saks)、ブルーミングデールズ(Bloomingdale’s)という4つの特定のチャネルに集中している。ラグジュアリーブランドは、メインラインを扱う販売拠点が圧倒的に少ないが(Glossyではアイウェアなどのライセンスラインの流通は含めていない)、同様の販売に注力しており、上位4チャネルはノードストロム、ファーフェッチ、サックス、ニーマンマーカス(Neiman Marcus)となっている。

コンテンポラリーブランドは、利用されるチャネルに百貨店のメイシーズ(Macy’s)がリスト入りしたことで、全体的によりアクセスしやすい販売拠点を手に入れた。また、エッセンス(Ssense)、ショップボップ(Shopbop)、ネッタポルテ(Net-a-Porter)といった、それぞれ5位から7位にランクインしているオンライン小売業者をかなり重視している。コンテンポラリーブランドは、一般的にオンラインでの存在感を高めようしており、その結果、オンライン小売業者のチャネルは引き続き拡大していくと思われる。前述したように、オンラインおよびオフラインの小売業者におけるブランドのプレゼンスは、今のところ流通戦略というより、むしろマーケティング戦略としてみられることが多い。コンテンポラリーブランドは、ファストファッションブランドよりも市場規模が小さいが、ラグジュアリーブランドのように消費者を引きつける独占的な感覚に依存していないため、このような露出が有効だ。

反対にラグジュアリーブランドは、4位にランクインしているニーマンマーカスや、バーグドルフ・グッドマン(Bergdorf Goodman)、モーダ・オペランディ(Moda Operandi)、ドーバーストリートマーケット(Dover Street Market)など、高級な小売店の存在感が高く、小規模ではあるがより高級な販売リストを持つ。注目すべきは、エルメス(Hermès)、シャネル(Chanel)、ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)、ディオール(Dior)、ティファニー(Tiffany)などのラグジュアリーブランドは、サードパーティのオンラインパートナーを持たず、選ばれたわずかな実店舗でしか取り扱われていない点だ。このような流通戦略は、ラグジュアリーな製品の流通とマーケティングの歴史的なトレンドに沿ったものである。ラグジュアリーブランドは、独占性を重視し、タッチポイントを特定のチャネルに限定することで、手に入りにくい希少性のある製品の魅力を作り出すことができる。

しかし、近年、ハイファッションがますます入手しやすくなっていることに対して、ラグジュアリーブランドでさえも影響を受けているようだ。このことは、両カテゴリーの流通チャネルの第1位が、従来からより身近な小売業者であったノードストロームであることからも明らかである。ラグジュアリーブランドは、コレクションを選ばれた場所で展示して販売するために、今後はより多くの小売業者とコラボレーションすることでこの転換を継続していくかもしれない。

コンテンポラリーブランドとラグジュアリーブランドの両方のリストで、小売業者のパートナーとして上位にあるのが、eコマースに特化した小売業者でありオンラインマーケットプレイスのファーフェッチだ。これは、どちらのタイプのブランドにとってもオンラインでのプレゼンスを持つことの重要性を強調し、リボルブ(Revolve)のような他のオンライン小売業者の成長を予見させる。また、他のオンライン小売業者で、ユークス・ネッタポルテグループ(Yoox Net-a-Porter Group)の子会社であるジ・アウトネット(The Outnet)は、最近メンズウェアに進出したが、これはオンライン小売業者がホワイトスペースに進出している証拠である。こうしたオンライン小売業への転換により、メイシーズやブルーミングデールズのような従来の実店舗を持つ保守的な企業は、オンラインでの商品提供を加速させる必要がある。しかしまた、そのおかげでブランドは、小売業者にオンラインに限定してコレクションを扱ってもらうのか、それとも店舗でも扱ってもらうのかを柔軟に決定することができるようになる。結局のところ購入の意思決定でもっとも重要な要素となるのは、商品を手に取った感触だということはしばしば指摘されている。

ブランドは未来の体験と流通のコントロールを目指す

Glossyの調査で、将来の流通チャネルについて質問したところ、回答者は新規顧客を惹きつける道筋が変わることを予見していた。今後の投資チャネルとして重要なターゲットとしては、一番に選ばれたのが自社サイトで25%、直営店とポップアップショップが同率2位で16%となっている。現在、自社サイトはブランドの流通チャネルではトップだが、直営の実店舗とポップアップショップはそれぞれ7位と5位にとどまっている。これらの結果は、将来D2Cチャネルが重視され、主要な販売拠点以外のサードパーティチャネルが役割を果たすようになることを示唆している。たとえば、小売業者は今はブランドに対して売り場スペースを貸し出しており、将来のポップアップ・ショップの需要に応えている。

上位3つの結果ーー自社サイト、直営店、ポップアップ・ショップーーは、ブランドが自社製品をみずから流通できるチャネルに投資したいと考えていること、そしてさらに重要なことに、新規顧客を引き込むためにブランド体験をコントロールしたいと思っていることを示している。これは、ブランドによりよい利益率を提供するルートでもある。またブランドは流通をコントロールすることで、それに付随する顧客データ(店員がその地域の顧客について知り得た事例などから得られる定性的なポイントを含む)を手に入れてメリットを得られる。この種の顧客データは、その地域に合った実店舗をオープンし、よりパーソナライズされたオンラインストア体験を作り出す上で重要である。

ソーシャルコマースは、将来の重要な流通チャネルとしてブランドがある程度の関心を寄せており、11%が将来のチャネルへのもっとも高い投資先に選んでいる。ブランドが今後投資するチャネルのトップ3の選択には入っていないものの、前のセクションで述べたように、ブランドはすでにこのチャネルを通じて流通を行っている。このチャネルはブランドのツールキットの一部であり続けるだろうが、少なくとも短期的には、ブランドはソーシャルコマース分野の将来的な可能性は限定的なものと考えているのかもしれない。もちろん、ソーシャルコマースが技術的に改善されてプラットフォームが成長し続け、ブランドにとって新たな選択肢を生み出したり、新しいプラットフォームが登場したりすれば、この状況は変化する可能性がある。

たとえば、Pinterestは今年6月、ユーザーに合わせてパーソナライズされたショッパブルなフィードをキュレーションして作成するAI搭載プラットフォーム、ジ・イエス(The Yes)の買収を発表している。フィグのコーエン氏は、ソーシャルコマースプラットフォームとしてのPinterestの将来的な可能性を見出していると言う。「Pinterestはジ・イエスを買収し、Pinterestショッピングは魅力的なものになろうとしている。我々は興奮しており、そのチャンネルの構築に取り組んでいる」。

今後の投資対象となる重要なチャネルとして、ライブストリーミングを選択した回答者はわずか7%だった。ライブストリーミングは、選択された主要な投資チャネルの中間に分類されているが、この結果は、米国のファッション市場がまだその利用において成熟していないことに起因するのかもしれない。それでもGlossyの2022年のアニュアルビューティレポートで議論されているように、美容など他の市場や製品カテゴリーでは可能性が示されている。レベッカ・ミンコフ氏は、このチャンネルの将来について同じような意見を述べた。「私たちはインスタグラムのショッピングライブで遊んだ。それから(グローバルなショッピングアプリの)ショップショップス(ShopShops)をやった。これは中国で巨大であり、私たちはそこで非常にすぐれたビジネスを行っている」。

「米国ではスタートがゆっくりだろうと推測したが、米国の顧客は、まだそれを理解していない。TikTokが米国でトラクションを獲得するのに4、5年かかったように、米国の顧客は2、3年遅れている。ライブショッピングには大きな力があるが、ここではまだ初期段階だ。いずれは強力なプラットフォームになるだろう。ただ、まだ時期尚早なのだ」。

マーケットプレイスでの提供は、将来的にもっとも投資を受ける可能性の低いと思われる流通チャネルのひとつで、回答者のわずか5%しか選択していない。マーケットプレイスは、現在の流通チャネルの利用率ではポップアップ・ショップと同率だが、これらの結果は、将来的に予算があまり増えないだろうという可能性を示している。しかし、コンテンポラリーブランドとラグジュアリーブランドの両方で小売パートナーとして2位に目立ってランクインしているマーケットプレイス、ファーフェッチは、ハイエンドな体験をいまも提供しているファッションマーケットプレイスのクラスでは最高の例として、異例な存在かもしれない。

オンライン小売業者とマーケットプレイスは、すでにマーケットプレイスチャネルに対するブランド関心の低さに対応し始めている。一部のオンラインサイトは、ブランデッドショップページ(店舗内のショップ・イン・ショップに似たもの)の作成に取り組んでおり、ブランドがより多くの体験を所有できるようにすることで、ブランドのビジネス獲得を目指している。

結論

ファッションブランドは、パンデミックの渦中には実店舗に商品を配置することから離れ、eコマースを主要な流通チャネルとする方向にシフトした。しかしパンデミックが終息に向かうにつれて、ブランドは流通の投資先トップ3としてデジタル(自社サイト)とフィジカル(直営店やポップアップストア)の混合をターゲットとする未来を見据え、実店舗の可能性を再評価し始めている。

スタティスタによると、デジタルチャネルで販売されるファッション商品の収益は、2022年から2025年にかけて13.7%の年複利成長率を示すと予想されている。そのため、収益を増やすことができる自社サイトで消費者に直接リーチし、ブランドの物語をコントロールしながら流通に注力することがファッションブランドによい結果をもたらすだろう。

実際、Glossyの調査回答者とフォーカスグループ参加者の両方が、将来のブランド体験と製品流通をコントロールすることを重要なテーマとして挙げている。パンデミックは、小売業者からブランドへという力の移行を促し、マーケターは今後その優位性を失わないようにしたいと考えている。

マーケターは小売業者との関係に背を向けないようにしつつ、直営店への投資を増やすことでそれを行おうとしている。既存の小売店舗内に設置できるポップアップ・ストアは、ブランドサイドは陳列するアイテムを直接コントロールでき、一方小売店サイドは、空いている店舗区画を埋めて収益化する方法を得られるというふたつのメリットがあり、両者にとってウィン=ウィンとなる。

ファッションブランドとソーシャルコマースの関係がどう発展するかはまだわからないが、スタティスタは、ソーシャルメディア広告への支出が2022年に807億ドル(約11.3兆円)に達すると予想している。ソーシャルコマースを通じて消費者に直接販売するのではなく、消費者に関与し、消費者との関係を構築するための広告スペースとして、ソーシャルメディアが有用であることにファッションブランドは気づいている。消費者はブランドのウェブサイトで購入する傾向にある。

ソーシャルコマースツールやプラットフォームが改善されれば、今後このダイナミクスが変わるかもしれない。改善が行われ、消費者の行動が変化すれば、ファッションブランドはライブストリーム(美容ブランドがすでにある程度成功している)を含むソーシャルコマースにさらに傾くことになるかもしれない。

以下は、2022年のファッション販売と流通チャネルの状況に関するGlossyアニュアルレポートから得られた重要なポイントである。

・もっとも一般的な販売チャネルは自社サイトの87%、2番目に多い流通チャネルは小売店の52%だった。

・ブランド所有のチャネルは、同じ空間にいる他のブランドと競争することなく、コントロールされた体験を提供できるが、特に直営店はほかのほとんどの選択肢に比べてコストが高くなる。一方、小売業者はコストが低く、ブランドのコントロールもあまりできないが、より多くのオーディエンスを提供する。

・パンデミックはブランドと小売業者の関係におけるパワーバランスを変化させ、ブランド側に力が移行し、流通におけるさらなる影響力と支配力をブランドに与えた。

・ソーシャルコマースは、ファッションブランドにとって重要な流通チャネルやコンバージョンポイントではないが、ソーシャルメディアはブランドにとって優れた顧客とのタッチポイントであるのは明らかだ。ソーシャルメディアの重要性は、マーケティング予算の配分にはっきり現れており、ソーシャルメディア広告が大きな割合を占めている。

・非ソーシャルなデジタル広告予算は減少しているが、注目すべき非ソーシャルデジタルマーケティング戦略のひとつがSMSとなっている。

・オフラインマーケティングは、マーケティング予算配分の最下位に位置している。しかし必ずしも従来のマーケティング予算に該当しない、ファッションショーのように最終的にはソーシャルメディアで放送または再投稿されるオフラインの形式も存在する。

・コンテンポラリーブランドは、一般的にオンラインでの存在感を高めることを推進しており、オンラインやオフラインの小売でのブランドプレゼンスは、マーケティング戦略としてとらえられることが多くなっている。これは、コンテンポラリーブランドがファストファッションブランドよりも市場規模は小さいが、消費者を引きつけるためにラグジュアリーブランドのような独占的な感覚に頼っていないためかもしれない。

・ラグジュアリーブランドも、ますますファッションが入手しやすくなっていく近年のトレンドと無縁ではない。将来的には、より多くの小売業者とコラボレーションを行うようになり、選ばれた店舗でコレクションを展示・販売するようになるかもしれない。

・将来の主要な流通チャネルとして、自社サイト、自社店舗、ポップアップショップが上位を占めているが、これはブランドが自社製品の流通を所有し、さらに重要なこととしてブランド体験をコントロールできるチャネルに投資したいと考えていることを示している。

[原文:Glossy Annual Report 2022: The state and future of fashion brand distribution]

LI LU(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)

Source

タイトルとURLをコピーしました