アンハイザー・ブッシュ がストリーミング広告の取引でPMPを好む理由:「PMPならすべてのパートナーのフリークエンシーを監視できる」

DIGIDAY

ストリーミング広告の購入方法としてプログラマティックの人気が高まるにつれ、広告のバイヤーとセラーのあいだで争点となっていることがある。それは、双方が好むプログラマティック広告取引の違いだ

セラーが好むのはPG(プログラマティックギャランティード)取引で、広告主は事前に一定の金額を支払うことに合意する必要がある。これに対し、バイヤーが好むのはより柔軟性の高いプログラマティックPMP取引で、自分たちでどのような方法で支払いをするか、あるいはしないのかを決定できる。立場によって好みが分かれ、ビール大手のアンハイザー・ブッシュ(Anheuser-Busch)は間違いなく後者の陣営だ。

「PGに固執する必要はない。PMPなら、ターゲティングやフリークエンシーを管理できるだけでなく、すべてのセラーからの良質なインベントリーを活用して、両方のよいところを活用できる」と、アンハイザー・ブッシュでメディア責任者を務めるジュリアナ・ヴルツブルガー氏は、米DIGIDAYが11月9日に開催したFuture of TV Advertising Forumで語った。

フリークエンシーを厳密に監視できることが重要

TVネットワーク事業者は、とりわけストリーミングインベントリーでPG取引を推し進めようとしているが、バイヤー側の抵抗に直面している。参加者に匿名性を保証したうえで率直な意見を語ってもらった11月8日の「フューチャー・オブ・TV・ウィーク・タウンホール」では、ある企業の幹部がPG取引の採用が低調な現状を次のように嘆いていた。「広告主は柔軟性を重視し、一定額の支払いを約束することさえ望んでないようだ。彼らはPMPを採用し、それで終わりにしたいと考えている」。

たしかにそうかもしれない。だが、ヴルツブルガー氏によれば、アンハイザー・ブッシュがPMP取引を好むのには、それ以上の理由があるようだ。

アンハイザー・ブッシュにとって、動画キャンペーンを評価する主な指標はリーチだと、ヴルツブルガー氏はいう。そして、できるだけ多くの人々へのリーチを目指す広告主が重視するのは、同じ人へのリーチが多すぎたり、十分な数のリーチが得られなかったりする事態が起こらないようにすることだ。PMPなら、視聴者があちこちのストリーミングサービスを行き来しても、フリークエンシーを容易に管理できる。

「PMPならすべてのパートナーのフリークエンシーを厳密に監視できるという点が、我々にとって極めて重要なのだ」と、ヴルツブルガー氏は話す。「PMPツールと我々の(デマンドサイドプラットフォームの)パートナーを活用することで、世帯へのユニークなリーチを最大化しながら、インプレッションの無駄をなくすことができる」

ストリーミング広告のセラーがPG取引に引き付けられているのは収益が保証されるからだが、ヴルツブルガー氏はその点について次のように主張した。「紙切れにサインする必要があるというなら、我々はそうする。問題は、作業の正確性と柔軟性への懸念のバランス、つまり安定性と柔軟性が両立するのかといったことだ。私にとっては、ここに議論の余地がある」。

Netflixの広告サービスには関心も

とはいえ、アンハイザー・ブッシュはPMP取引のみでストリーミングインベントリーを購入しているわけではない。同社は、Netflixの新しい広告付きサービスで広告を配信する最初のビールメーカーとなっている。Netflixは広告販売とアドテクに関してマイクロソフト(Microsoft)と提携しているが、ストリーミング広告システムはまだ構築中だ。

Netflixの最初の広告主に対するサービスの提供やプログラマティックの取り組みに関して、マイクロソフトがどの程度関与しているのか尋ねられたヴルツブルガー氏は、「私の知る限り、彼ら(マイクロソフト)はサービスに関しても広告販売に関しても支援しているようだ」と答えた。「つまり、あなたのいうとおり、取り組みはこれからであり、ターゲティングや測定、それにコンテンツ面から提供しなければならないものについては、まだ初期段階といえるだろう」。

米国では11月3日にNetflixの広告付きサービスが開始されて1週間が経つが、「配信が行われていることはわかっているが、どのように配信されているのかに関する報告はまだ一切ない」と、ヴルツブルガー氏は話す。また、同社の一部社員が広告の配信を監視するためにNetflixの広告付きサービスに切り替えたが、「正確なパフォーマンスに関する詳しい情報はまだ得られていない」と語った。

[原文:Why Anheuser-Busch prefers PMPs to programmatic guaranteed deals for streaming ads

Tim Peterson(翻訳:佐藤 卓/ガリレオ、編集:島田涼平)

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