カーナー氏とフィッシャー氏はビジネススクール後に別のブランドでともに働き、そのあとこのD2Cのブラジャーのブランドを2017年に立ち上げた。そして2022年、活気にあふれたコミュニティを育成できただけではなく、競争の激しい市場で差別化にも成功している。
ハーパーワイルド（Harper Wilde）の共同創業者兼共同CEOのジェナ・カーナー氏とジェーン・フィッシャー氏によると、2017年にローンチしたこの下着ブランドは両氏が初期に構築したコミュニティがなければ、現在のような成功は収められなかっただろう、ということだ。
カーナー氏とフィッシャー氏はビジネススクール後に別のブランドでともに働き、そのあとこのD2Cのブラジャーのブランドを立ち上げた。両氏には小売業界での経験はほとんどなかったが、ミレニアル世代向け下着ブランドを立ち上げて業界をディスラプトする機会があると感じていた。
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そして2022年。ハーパーワイルドは活気にあふれたコミュニティを育成できただけではなく、競争の激しい市場で差別化にも成功している。その偉業を誇れるブランドは多くはない。今日まで同社はクラウドソーシングを活用して、十分に研究された素材を使った高品質の製品を生み出してきた。そして、ハーパーワイルドにはもっと大きなマイルストーンが控えている。そのひとつには今年後半の新規カテゴリーへの拡大がある。現時点では自社オンラインサイトが主要な購入チャネルだが、ノードストロム（Nordstrom）の数店舗とオンラインでも取り扱いがある。
カーナー氏は、最新のGlossyポッドキャストで次のように語っている。「我々のノーススターは下着市場で次のリーダーになることだった。多くのシルエット、多くの製品、多くのサイズを提供し続ける機会はたくさんある。（顧客からは）ブラや下着以上のものを求められている。いまでは製造が難しいタイプの衣服でも顧客のサイズがわかっているので、フィットの優れたとても柔らかい衣服を製造する方法を把握できる機会が多くある」。
以下に、対談のハイライトをわかりやすく編集して紹介する。
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ホワイトスペース
フィッシャー氏：「小売業は一般的にこの（パラダイム）シフト下にあったが、下着業界はまだそれに追いついていなかった。調べれば調べるほど、チャンスが見えてきた。（下着は）世界で700億ドル（約9.8兆円）という巨大な産業だった。マージンは莫大だったが、なによりもブランドの機会が大きかった。現代の女性を代表するブランドはなかった。それは2015年のことなので、ウィメンズマーチやそのあとの追い風が起こる以前のことだ。女性が購入を誇りに思えるブランドを立ち上げるという実にすばらしい機会があった」。
データに基づいたアプローチ
カーナー氏：「最初のブラのセットを作るのに約2年かかった。我々はデータに大きく依存している。データを見て、フォーカスグループからの調査結果を分析している。初期の頃このビジネスアイデアが良いかどうかを検証しようと思い、フォーカスグループ調査を何百と実施して、大量のデータポイントを得た。そのおかげで、ブラのデザイン方法、ブラの価格やマーケティング方法を理解することができた。どの素材に投資するか、どこにイノベーションを加えるか、どこに加えないかなど（ハーパーワイルドの）ブラのデザイン方法には、何を重要視するかという顧客からのフィードバックに基づいているところが多い。ブラメーカーは（消費者から）まったく気にされていないブラの要素で価格を引き上げる傾向がある。（ブラは）非常に価格が左右されやすい製品であることがわかった。価格は価値に影響される」。
3つのC（Comfort、Convenience、Cause）
フィッシャー氏：「我々の価値観には、快適さ、利便性、大義という3つのコアバリューがある。快適性とは何よりもまず製品の物理的な快適性に関することであり、製品をデザインする方法だ。また、顧客がありのままの自分を心地よく感じることでもある。当社のサイトにアクセスするときやカスタマーサポートの担当者と話しているとき、メールやメッセージを受け取とるときには親しい友人と話しているような気分になる。販売を押し付けるほかのブランドのようには感じないだろう。利便性とはフェアな価格設定のこと。（手頃な価格は、消費者が）もっとも気にかけていることの中心だった。たとえ顧客が別のものには多く支出していたとしても、ブラというのは大幅に支出を増やしてもかまわないと思うような製品ではない。当ブランドのオーセンティシティ（信頼性）と前述の価値観をしっかり持ち続けることが、当社を際立たせ続けている。セレブ創業者はいないが、だからこそ我々が誰であるかについての信頼性が強調されている。我々はミレニアル世代の消費者を誰よりもよく理解していると信じている。その理解から、製品のデザインやマーケティング、オンライン体験、製品を受け取ったときの体験にいたるまでのすべてが生まれている」。
TATIANA PILE（翻訳：ぬえよしこ、編集：山岸祐加子）
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