「パンデミック後には、無限の可能性がある」:ファストフードブランド「クリスタル」のCMO、アリス・クラウダー氏

DIGIDAY

アリス・クラウダー氏はファストフードブランド、クリスタル(Krystal)があまりに好きで、再び戻ってきた。ただし、ブランド名物の、あのハンバーガースライダーを食べるためではない。クリスタルのマーケティング部門に最高マーケティング責任者(CMO)として戻ってきたのだ。クラウダー氏は2014~2018年、クリスタルのマーケティング担当バイスプレジデントを務めていた。

クリスタルは2020年の始めに破産申請したあと、フォートレス・インベストメント・グループ(Fortress Investment Group)とその運営パートナーであるゴールデン・チャイルド・ホールディングス(Golden Child Holdings)の傘下に入った。そして、新しいリーダーシップが必要とされたため、クラウダー氏は呼び戻された。まさに再出発だ。米DIGIDAYはこの業界で20年以上の経験を持つクラウダー氏にインタビューを行い、世界的なパンデミックにおけるCMOの役割、クリスタルへの復帰、クリスタルの次なる展開について話を聞いた。

なお、読みやすさを考慮し、以下のインタビューには若干の編集を加えている。

ーー世界的なパンデミック下にあるいま、クリスタルはどうするのか?

間違いなく、2020年はすべての人にとって興味深い1年だった。何も気楽にできない時期がしばらく続いた。しかし、人々は少しずつ慣れていき、ドライブスルーに戻ってきた。私たちはそのための準備を整えた。私たちはずいぶん賢くなったし、OTT(インターネット配信)やメッセージのターゲットを絞る方法について、業界全体が以前よりはるかに賢くなっている。私たちはマイクロインフルエンサーを活用しており、とても大きな成功を収めている。TikTokは検討中で、まだ参入していない。私の子どもたちは毎晩のようにTikTokでキャンペーンを行っているため、有望であることは確かだと思う。

しかし、本当の意味ですべての可能性が開かれるのは秋になってからだ。アプリの導入に合わせて、ウェブサイトを刷新することになっている。これは本当の意味で、顧客と1対1のコミュニケーションを可能にするツールになるだろう。私たちはそれを楽しみにしている。

ーークリスタルでマーケティング担当バイスプレジデントを務め、トロピカル・スムージー(Tropical Smoothie)でメニュー戦略とイノベーションの指揮を執り、結局、クリスタルに戻ってきたわけだが、そのあたりを詳しく聞かせてほしい。

私はクリスタルとともに育った。私の子ども時代の大きな部分を占めていた。父は特別な日に私たちをクリスタルに連れて行ってくれた。当時、バーガースライダーはわずか25セントで、父のポケットから25セント硬貨がなくなるまで食べられると思っていた。

私が復帰を決めた2つ目の理由はブランドの(新しい)リーダーシップだった。ちょうど転職を考えていて、たとえば、A)変化をもたらす自由があると感じられ、その変化に自信を持つことができるところ、B)パートナーがオペレーション、設備、そのほかすべてについて、招いた人々に満足してもらえるような品質で運営しているところを希望していた。クリスタルでは、(ブランドプレジデントのトム・ステージャー氏が)そのために素晴らしいチームを編成してくれた。

(トロピカル・スムージーに)行ったときは、以前はなかったプロセスを導入することができ、それが継続的に利益をもたらしている。しかし、トムから電話があり、彼と(ゴールデン・チャイルド・ホールディングスの創業者ジョナサン・チャイルズ氏)がクリスタルを引き継いだこと、品質を重視した新しい大きなビジョンがあることを聞かされ、そのとき、私は戻るときが来たと確信した。

ーーこの業界で20年以上働いてきたなかで、もっとも大きな挑戦は?

デニーズ(Denny’s)で新商品のマーケティングを初めて担当することになったとき、任されたのが発売のための機能横断的プロセスをまとめることだった。私は長いプレゼンテーションを行い、(シェフに)最後まで付き合ってもらった。彼は私を見てこう言った。「あなたの考え方は好きだし、あなたが考えたプロセスも好きだが、シェフはプロセスに従わない。だから、最初からやり直してほしい」。私は、「どうしよう。どうすればいいかわからない」と困惑した。それでも、やり直すしかない。

このように途方に暮れるのは、パートナーが必要としている情報やプロセス、動機を十分に理解していないためだ。チームのメンバーが何かを持ってきたら、私は必ず、あなたが伝えようとしているストーリーは何かと尋ねる。それがマーケティングの重要な部分だと思う。このプロジェクトで伝えようとしているストーリーは何か? 関係者全員が「自分も参加したい」と思うようなストーリーを伝えることができなければ、プロジェクトの提唱者として必要なことができていないことになる。

ーーパンデミックを乗り越えたとき、CMOが次に行うべきことは?

ブランドにとっては、無限の可能性があると思う。私たちの顧客にメッセージと商品を届けるため、特にテクノロジーの分野で、パートナーがいくつもの革新的な取り組みを進めている。現状としては、デリバリーなどに大きな力が注がれている。皆がデリバリーの話をしているが、確かにとても重要なことだ。

質的な話をすれば、パンデミック前、私はウーバーイーツ(Uber Eats)やドアダッシュ(DoorDash)のユーザーではなかった。それが今では、週に3回くらいは配達がやって来る。いつ何をどのように手に入れるかについての顧客の期待値は急速に変化している。そのような新しいニーズに可能な限り質の高い方法で応えることが、私たちマーケターの使命であり、刺激的な仕事だ。私たちはみんな、日々学んでいる。

[原文:‘Everything is open to us’: Why Krystal’s CMO is returning for seconds at the fast-food brand

KIMEKO MCCOY(翻訳:米井香織/ガリレオ、編集:小玉明依)

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