ビューティブランドによる Shopify の新プラットフォーム「コラボ」の活用法:インフルエンサーがマーチャントに移行中

DIGIDAY

Shopify(ショッピファイ)を利用するビューティブランドにとって、精算とインフルエンサーのプロモーションの直接接続はインフルエンサーをマーチャントに移行させる動きにおける最新の展開だといえる。

インフルエンサーがマーチャントになれる「Shopifyコラボ」

Shopifyは、8月16日、承認クリエイターがShopifyマーチャント(加盟店)と提携して収益を得ることができるShopifyコラボ(Shopify Collabs)ツールを発表した。米国とカナダを拠点にするクリエイターとブランドが利用できるこのプラットフォームのローンチは、Shopifyがインフルエンサーマーケティングソフトウェアのスタートアップ、ダブテール(Dovetale)を4月に買収したことから生まれたもっとも新しい展開である。ブランドが売上を直接追跡できるアフィリエイトプログラムの数が増えており、インフルエンサーがマーチャントへといっそう移行しつつある現状が背景にある。

Shopifyの製品担当バイスプレジデントであるダニエル・ディボウ氏は、ビューティカテゴリーは「現在、(インフルエンサーの)牽引力においてほぼトップレベルだ」と述べている。4月のShopifyのダブテール買収後、Shopifyを利用するダブテールの既存クライアントは無料でダブテールのサービスが使えるようになっていた。現在、ダブテールのプラットフォームはShopifyダッシュボードに完全に統合されている。

ネセセールのインフルエンサーマーケティング拡大例

このプラットフォームを利用する1社がボディケアブランドのネセセール(Nécessaire)だ。最初はダブテテールのユーザーとして、そしていまではShopifyコラボのユーザーとしてインフルエンサーマーケティングへの支出を増やしている。ネセセールが2018年にローンチした際、インフルエンサーマーケティングには9カ月間予算が割り当てられていなかった。現在では同社はインフルエンサーマーケティングにマーケティング支出の20%を費やしている。

ネセセールの共同創業者兼CEO、ランディ・クリスチャンセン氏は次のように述べている。「最初の年には、『貴社ブランドアンバサダーになりたい』と携帯メールやDMで連絡してくる人たちをリストしたExcelシートが山のようにあった」。Shopifyコラボは「企業が非常に効果的にコミュニティを作成できるようにしてくれるツール」であり、「社内で行う場合よりももっと体系的なアプローチ」でクリエイターマーケティングが管理できるという。ネセセールは自社ウェブサイトのほかにセフォラ(Sephora)、ヴァイオレットグレー(Violet Grey)、ノードストロム(Nordstrom)、ネッタポルテ(Net-a-Porter)などの小売業者で取り扱われている。

インフルエンサーのShopifyコラボの承認プロセス

一方、Shopifyの申請プロセスを経て承認されたインフルエンサーは、このプラットフォームを使用して協働したいブランドを選び、アプリ内で新たな申請を送り、そのブランドのアフィリエイトプログラムに申し込むことができる。承認されると、レビュー対象の製品やコミッションを得るためのアフィリエイトリンクが含まれたウェルカムパッケージを受け取ることになる。

「Shopifyコラボはシーディングやアフィリエイトプログラムでブランドを支援してくれる。そのような戦術によって『貴社ブランドを担当したい』とアプローチしてくる人々と協働できる」とクリスチャンセン氏は語る。

このプラットフォームは「ユーザーフレンドリーで、自分のオーディエンスが本当に楽しめるニッチブランドがある」と述べているのはキャシー・グエン氏だ。同氏はShopifyコラボのビューティインフルエンサーのひとりであり、ダネッサマイリックスビューティ(Danessa Myricks Beauty)とキムチシックビューティ(Kim Chi Chic Beauty)と協働したいという。グエン氏は、TikTok(フォロワー数34.8万人)とインスタグラム(フォロワー数4.5万人)でShopifyコラボを使う予定だ。インフルエンサーは、Shopifyのリンクインバイオプラットフォームであるリンクポップ(Linkpop)にある自分たちの厳選アイテムのリストにアクセスできるリンクをバイオで共有する。ユーザーは製品をクリックして、Shopifyで決済できる。

ディボウ氏によると、ShopifyのプラットフォームはShopifyチェックアウトと直接統合されているため、ライクトゥーノウイット(LiketoKnowIt)のような既存のインフルエンサーアフィリエイトプラットフォームとは異なるという。ディボウ氏は「これはクリエイターが確立したマーケットプレイスを通じた実際の購入だ」と述べている。

インスタグラムのアフィリエイトプログラムの失敗

このShopifyコラボのローンチは、インスタグラムが1月に始めたインフルエンサーアフィリエイトショッピングプログラムを終了すると発表してからわずか1週間後のことだった。(インスタグラムのものは)投稿内に製品リンクがあるというメリットにもかかわらず、参加クリエイターはアフィリエイトショッピングプログラムに参加していないブランドの製品にタグ付けできない仕組みになっていた。

だが、インフルエンサーのアフィリエイトセールスにはもっと大きなチャンスがあると考えているアフィリエイトマーケティングプラットフォームはShopifyコラボだけではない。2021年7月、インフルエンサーマーケティングプラットフォームのエムシーが(Emcee)がローンチ。こちらもライクトゥーノウイットのようなリンクインバイオ機能に依っている。

インフルエンサープロモーションの販売数を正確に把握

アフィリエイトマーケティングに対する需要は、ブランドによるインフルエンサープロモーションのROIを正確な販売数で測定するという目標が拡大していることから一部生じているものだ。

「クリエイターがチャネルになるとコンバージョンについての心配が減った」とディボウ氏。「市場が成熟するにつれて、マーケターの関心はインフルエンサーのプロモーションがどれだけうまく機能しているかの可測性を見つけることになっていると言っても過言ではない」。同氏は、Shopifyダッシュボードで追跡される販売実績の正確な測定はインフルエンサーマーケティング予算の拡大につながると見ている。

さらに、これはインフルエンサーをフォロワー数で測定することから大きくシフトすることにつながるだろうとディボウ氏は予測している。

「小規模なマイクロクリエイターの数人によって、大規模なマクロクリエイターひとりと同じかそれ以上の売上を達成できるだろう」とディボウ氏。「Shopifyコラボはインフルエンサーマーケティングの仕組みを変革するものだ」。

TikTok、Snapchat、Pinterestなどのソーシャルプラットフォームとの提携についてのShopifyの発表、そしてShopifyコラボのローンチは拡大しつつあるインフルエンサーの役割に対するShopifyの大きな賭けの一部である。

ディボウ氏は次のように述べている。「これが販売方法の未来の巨大なフロンティアであることは間違いない。比較的小規模なインフルエンサーがオーディエンスとマーチャントの両方に大きな影響を与える能力を過小評価してはならない」。

[原文:How beauty is leveraging Shopify’s new influencer platform

LIZ FLORA(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)

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