NYFWは NFT ホルダーの拠点になりつつある:限定商品やアクセス権などの特典でNFTの民主化を推進

DIGIDAY

通常、後払い決済はNFTと関連付けて考えられることはない。しかしこの秋のニューヨークフファッションウィーク(以下NYFW)では、後払い決済プロバイダーのアフターペイ(Afterpay)が注目ブランドと提携して、カスタムメイドのデザイナー「キーズ・トゥ・NYFW(Keys to NYFW)」NFTを制作している。提携ブランドには、すでにNFTをローンチしたことのあるジョセフ・アルチュザラ氏のアルチュ(Altu)やジョナサンシムカイ(Jonathan Simkhai)、またアンオンリーチャイルド(AnOnlyChild)、キムシュイ(Kim Shui)、ザ・ブロンズ(The Blonds)などがある。顧客はユニークなNFTキーを使い、1回限りのファッションウィーク体験や限定製品へのアクセスを解除することができ、メンバーシップアクセスとしてのNFTのユースケースが拡大することになる。アフターペイはNYFWへのアクセスをいっそう拡大することを目指して複数年契約を結び、昨年5月にNYFWのメインスポンサーに指定されている。

NYFWに向けて無料と有料のNFTを提供

このデザイナーNFTは8月23日火曜日から、Keys.NYFW.comで販売されている。購入者には、アフターペイ、イーサリアムまたはポリゴンブロックチェーンプラットフォームでクレジットカードのいずれかの方法で無利子の4回払いで支払うオプションがある。NFTについてはNYFWの公式ソーシャルメディアチャネルで宣伝された。各デザイナーはそれぞれ100ドル(約1.4万円)で25個のキーを販売する。また、アフターペイはNFT250点を無料で提供しており、それにより前述のウェブサイトからNYFWの舞台裏の映像にアクセスができる。このデザイナーNFTの収益はすべて非営利団体のフリーアーツNYC(Free Arts NYC)に寄付される。同団体はニューヨーク市のサービスが行き届いていない地域の子どもたちにアートやメンタープログラムを提供している。

NFT分野に進出する後払い決済サービス

アフターペイのような後払い決済サービスに対してNFT分野での競争は激化している。Web3のスタートアップであるハリディ(Halliday)は、8月初旬に同社のゲームプラットフォームの新しいシード資金として600万ドル(約8.2億円)を調達。このラウンドはアンドリーセン・ホロウィッツのa16zが主導し、ゲーム内購入のための後払い決済オプションの追加への資金提供を目的としていた。

NYFWのNFTの特典の数々

「キーズ・トゥ・NYFW」NFTを購入した人は2つのユーティリティ特典から選ぶことができるようになっている。ブランドが選んだエクスペリエンス、またはNFT所有者のみが入手できる限定版デザイナー製品だ。たとえばアルチュのNFTでは、アルチュ・バイ・ジョセフ・アルチュザラのレザートートと特大サイズのTシャツ、またはニューヨーク近代美術館(MoMA)などニューヨーク市の美術館のうちの1館の年間メンバーシップのいずれかのロックを解除できる。ザ・ブロンズのNFTでは同ブランドのNYFWアフターパーティーや、デザイナーの新刊『The Blonds: Glamour, Fashion, Fantasy』のサイン入り本へのアクセスがある。ジョナサンシムカイNFTの所有者はシムカイ氏とのプライベートな対面ショッピング体験を楽しむか、サイン入りの新コレクションのランウェイのスケッチ画を受け取ることができる。キムシュイNFTは同ブランドのNYFWショー、またはカスタムのドラゴンデザインのパーカーへのアクセスを提供する。

後払い決済の関与でアクセシビリティを拡大

(ザ・ブロンズの)デイヴィッド・ブロンド氏は次のように述べている。「いまや可能性は無限大。想像力を制限するものはなく、NFT分野での制作は素晴らしい。また、デザイナーにとっては新しいオーディエンスにリーチする機会があるだけではなく、自分のブランドについて新鮮な視点を提供することもできる」。

ジョナサンシムカイは2022年秋のファッションウィークに間に合うようにと2月にNFTの最初のコレクションを発表。Glossyに、同ブランドは機敏で「テクノロジーを最前線に置く」ように適応する必要があると語っていた。現在、シムカイ氏やほかのデザイナーらが注力しているのはアフターペイを通じてアクセシビリティを提供してファッションNFTの顧客が参入しやすくすることである。

過去のファッションウィークのNFTには長期的なロードプランが欠けていたが、今回のオプションは新しい形のユーティリティを切り開くものである。「NYFWのNFTを複数購入したところだ」とキャシー・ハックル氏は述べている。「デジタルのコレクターズアイテムが手に入るが、最初の購入者だけがランウェイショーのような体験を利用することができる。だが、顧客として私は自分が何を購入しているか理解している。(NFTの)短期的なユーティリティと長期的なユーティリティという考え方は進化している」。現時点ではキムシュイのショーのNFTはサイトですでに完売している。

アンオンリーチャイルドの創業者であり、パブリックスクール(Public School)の共同創業者、マックスウェル・オズボーン氏にとってNFTはより幅広いアクセスの機会を提供するものである。同ブランドのNFTでは、ユーザーはNYFWのアフターパーティーか、限定版のベルトバッグへのアクセスが提供されている。オズボーン氏は次のように述べている。「参入障壁を打ち破り、ラグジュアリーアイテムへのより民主的で想像力に富んだアクセスを可能にする新しいテクノロジーを常に支持している。ブランドは有形無形を問わずいっそう多くのタッチポイントに反映されるようになるし、我々にはラグジュアリーについてもっとホリスティックに考えることが求められている」。

「ファッションウィークといえば、通常は壁に囲まれた庭のようなものだが、いまではショーのチケットを100ドル(約1.4万円)で購入できる」とハックル氏。「普通ならこれは不可能。ショーに招待されるか、コネがなければならない。NFTの購入によってアクセスが民主化される」。

アルチュザラとマルカリアン(Markarian)は2月、2022年秋のショーで初のNFTを発表した。ジェイソンウーは2009年の大統領就任式の舞踏会でミシェル・オバマ氏が着たドレスのNFTレプリカをリリースした。これにはNYFWショーのバックステージへのアクセスとウー氏と対面する機会がついている。また、レベッカミンコフはショーのチケット2枚を含む体験的な特典がある別のNFTカプセルコレクションを発表している。

[原文:NYFW is becoming an NFT holder hub

ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)

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