「本気で美容品業界に影響を与えたい」: アルタ に聞いた、クリーンビューティー、リサイクル、多様性に対する取り組み

DIGIDAY

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アルタ(Ulta)は、米国最大の美容品小売業者のひとつとして、サステナビリティと社会的影響に対する業界の認識を変えたいと考えているという。

同社は1990年、「すべての人に向けた美を、あらゆる価格帯で提供し、インクルーシブである」ことをテーマに創設されたと、同社のジェネラルカウンセル兼最高リスクおよびコンプライアンス責任者を務めるジョディ・カーロ氏は米モダンリテールに語った。それ以来、ESG(環境、社会、ガバナンス)を自社のポリシーに組み入れ続け、特に商品戦略、エネルギーへの投資、非営利団体との連携において重視してきた。

アルタビューティー(Ulta Beauty)は現在、600以上のブランドで2万5000の商品を販売している。それらのブランドの約50%は、同社の「コンシャスビューティープログラム(Conscious Beauty Program)」の一部で、参加ブランドはクリーンな材料、クルエルティフリー、ビーガン、サステナブルなパッケージ、ポジティブ・インパクトという5つの基準から最低1つを満たすことが要求される。このコンシャスビューティープログラムは2020年に開始されたもので、アルタが最近公開した2022年ESGレポートによれば、認定の数は前年比で14%成長してきた。

この1年間で、同社はBIPOC(黒人、先住民、有色人種)中心の美容品ブランド向けのミューズ(MUSE)アクセラレータプログラムを立ち上げ、再生可能エネルギーの評価の割合を2倍にして、DEI(多様性、平等、インクルージョン)をさらに進めるために5000万ドル(約68億円)を投資した。同社は、小売業者が陳列棚の容積の少なくとも15%を黒人の所有するビジネスに割り合てることが推奨される。フィフティーンパーセントプレッジ(Fifteen Percent Pledge)を支援し続けている。同社によると、アルタでは現在この数値が7%だ。今年は、店舗内のコンテナのリサイクルと、再利用可能なバッグに関するパイロットプログラムに参加することを計画している。

米モダンリテールは、アルタが最新のレポートを公開した直後に、同社のESG戦略と優先順位について詳しく学ぶため、カーロ氏にインタビューを行った。以下の対談内容は簡略性と明瞭性を考慮して編集を加えている。

アルタは、コンシャスビューティープログラムを2020年に開始した。この数年間、ビジネスのこの面を成長させるため、どのような手順を進めたのか?

我々は、当社で販売している300ブランドが、コンシャスビューティーの少なくともひとつの柱に参加しているという事実を喜ばしく思っている。これは、当社のブランド全体の約半分だ。これは本当に誇りに思える大きなマイルストーンであり、顧客が本当に関心を抱いているものを当社が推進しているということでもある。

顧客からクリーンな美容品に関心を抱いているという声を聞いているが、その「関心」にはいくつもの面がある。そこで当社は、コンシャスビューティープラットフォームに対して、本当の意味でホリスティックなアプローチをとっている。顧客はビーガンを求めているのか、特定の原料を使用しない商品を探しているのか、当社の店舗で、理念に導かれたブランドを見つけようとしているのか、といったことだ。これらはすべて、我々のプラットフォームの一部なのだ。そして当社のブランドは特に、自分たちが納得できる方法で参加できることを喜んでいる。

店舗のすべてのブランドがいつの日かコンシャスビューティーの一部になるだろうといえたら最高だ。しかし同時に、一部のブランドは参加しないこともわかっている。それらのブランドは、別の方法で顧客の関心にこたえることができるだろう。

アルタには、2025年までにパッケージの重量の50%をサステナブルにする目標があると聞いている。御社の達成率は現在37%だ。あと13%を達成するために何をする予定か?

これは当社にとって継続的なプロセスだ。リサイクル、詰め替え、再利用が可能なパッケージの使用は当社にとって重要なことだ。そしてもっとも重要な点として、当社はブランドと提携している。我々のESGプログラムの指針となる原則のひとつは、協力してパートナーを組み、ブランドがパッケージについてどのように考えているかを理解することだ。もちろん、当社が企業として全体的にどのような状況にあるのか、ブランドがそれぞれの目標についてどのような位置にあるかを評価できるようにデータを収集している。当社はこの手法を今後も続けていく。

企業は通常、こうしたサステナブルなパッケージに関する話にどのように反応するのか、特にサステナブルなパッケージをこれまでに使ったことがない場合は?

世のなかには数多くのパッケージがあり、それが地球環境にとって問題だということを、みんな理解している。したがって、企業は何よりも、当社がこの話を持ち出していることに喜んでいる。そして、我々はアルタビューティーという立場として、我々のブランドがジャーニーのどの位置にいるのかを確実に把握したいと思っている。これは我々すべてにとってのジャーニーでもある。

我々は、本気で美容品業界と製造業者に影響を与え、サステナブルなパッケージの選択肢が増えることを望んでいる。サステナブルなパッケージは、製品の内容や組み立て方、パッケージのあり方などを考える、まさに最初の段階から始まるものだからだ。そのため、このような望ましい変化について共同で作業できることがとても楽しみだ。今後行うべき作業、必要なことは多く、前途多難ではあるが、当社はそれについて話し合いを行っており、希望を持ち続けている。

御社はフィフティーンパーセントプレッジに参加した。この面でどのような進展があったのか?

当社はフィフティーンパーセントプレッジについても進展しつつある。我々が本当に誇りに思っていることのひとつは、黒人所有のブランドや、黒人が設立しているブランド、黒人が主導しているブランドを、当社のミューズアクセラレータを通じて引き入れることで、これらのブランドに影響を及ぼしていることだ。これらのブランドがアルタビューティーの陳列棚に置かれるだけでなく、ビジネスとして実際に成功するように支援することは非常に重要だ。

顧客は、商品についてこのような選択を求めている。そのため、このようなブランドを引き入れ、そのブランドのビジネスについて語り、アルタビューティーにおいて、またはその先でさらに将来成功するために、どのようにサプライチェーンを強化し、そのほかの作業を行えるかについて話し合うことは、本当に大きな変化を生み出すと、当社は考えている。

[原文:‘We really have aspirations of influencing the beauty industry:’ How Ulta is making progress on clean beauty, recycling and product diversity ]

Julia Waldow(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Ulta

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