「私たちができることに限界はない」:NPO ガールズフーコード、 ハイブリッド体験 で新規オーディエンス獲得へ

DIGIDAY

過去2年間の世界的パンデミックによって、対面式のイベントのほとんどが中止され、ガールズフーコード(Girls Who Code)のような組織は、ハイブリッドまたは完全にオンラインでオーディエンスとつながらざるを得なくなった。

パンデミックによるロックダウンで、多くの人々が巣ごもり生活を強いられ、それにともなって消費を始めた影響で、インターネットを利用した行動が急増した。テクノロジー産業やコンピューターサイエンス分野におけるジェンダーギャップの解消を目的に設立されたNPO、ガールズフーコードはこうした事情からデジタルスペースでの活動範囲を広げようとSNSへの投資を増強するとともに、メールマガジンやニュースレターによるオンラインの没入型体験にも力を入れてきた。

「活動開始から約10間、我々の取組みはほとんどが対面で行われてきた。地域のコミュニティで対面のイベントを開催したり、対面でのプログラミング講座を開いていた」と、ガールズフーコードのマーケティング・コミュニケーション部門でシニアディレクターを務めるアシュレー・グランビー氏は述べる。「しかしそれができなくなったことにより、私たちは完全にオンラインでの活動に軸を移した」。

実際、これはマーケティング戦略にも反映されている。グランビー氏によると、ガールズフーコードのキャンペーンのほとんどは、中心的な対象者である13歳から24歳までの若い女性に、主にSNSを使って発信してきた。現在、ガールズフーコードはSNSを利用したオーガニックグロース戦略に舵を切り、インスタグラムやYouTubeの動画コンテンツを活用し、TikTokを使ったテストも行っているとグランビー氏は話す。またFacebookの広告ライブラリによると、現在、同NPOはコンピューターサイエンスのバーチャル入門講座であるサマーイマージョンプログラム(Summer Immersion Program)の広告を配信している。

メタバースへの初進出作品

2021年12月、ガールズフーコードは、人気シンガーソングライターのドージャ・キャット氏(Doja Cat)、デジタルエクスペリエンスエージェンシーのアクティブセオリー(Active Theory)、クリエイティブエージェンシーのモジョスーパーマーケット(Mojo Supermarket)とともにコード化可能なミュージックビデオ、ドージャコード(DojaCode)をリリースした。そして動画公開から1週間で、15万人以上が閲覧し、実際にコードを書いた。

ドージャコードは、「ガールズフーコードによるマイクロバース、またはメタバースのようなインタラクションへの初進出作品」とグランビー氏は言う。マイクロバースやメタバースは、デジタルオーディエンスの獲得を目指すアメリカンイーグル(American Eagle)ディズニー(Disney)などのブランドのあいだでも現在、ますます重要になっている。

「デジタル体験について言えば、我々ができることに限界はないことを、この作品が示している」と彼女は付け加える。「デジタルユニバース体験に注力した今、確実に我々のリーチは拡がっているという感触を得ている」。

ガールズフーコードによる現在のメディア投資額は不明だ。グランビー氏にも問い合わせたが、回答を得られなかった。世界的なマーケティング企業のカンター(Kantar)によると、2021年には、同NPOは1万2295ドル(約136万円)を費やしているという。ただし、この数字にはSNSは含まれていない(カンターはその数字を追跡していない)。

シンプルな仮想没入型体験

オースティンのR/GAのアソシエイト戦略ディレクターであるアンバー・カザルバッシュ氏によると、デジタルコミュニティと没入型体験を活用することで、ガールズフーコードはより良い方向に向かっているという。

「Web3が我々の日常生活にさらに浸透していくにつれ、この手法がガールズフーコードにとっては、今後さらに効果的に機能することが期待できる」とカザルバッシュ氏は電子メールで回答した。

デジタルエージェンシー、グロー(GROW)の戦略ディレクターであるカレン・パイパー氏は、「インタラクティブにコミュニティを構築するデジタル体験は、パンデミックの最中、真価を発揮した。そして、このトレンドはしばらく続くだろう」と話す。

「デジタル体験は、ブランドがこれまでとは異なる手法で、オーディエンス獲得の道を拓いた」と彼女は言う。「メタバースがシンプルな仮想没入型体験であるという考え方は、今あるべき姿であり、ブランドもその考え方を基軸に活動している」。

対面活動の再開を目指して

現在、ガールズフーコードは一部の対面活動を再開して、パンデミック前よりも多くのハイブリッド体験を創出しようと検討しているとグランビー氏は語る。

「初めて何かを学ぶとき、交流イベントがきっかけになって、物事が定着することがある」と彼女は言う。「2022年には、もっと多くのハイブリッドイベントが開催できるよう心から願っている」。

[原文:‘The sky’s the limit’: How Girls Who Code is using digital experiences to expand its reach

Kimeko McCoy(翻訳:SI Japan、編集:黒田千聖)
Illustration by IVY LIU

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