「広告も ポッドキャスト も、スケールではなくストーリーを」:スレート CRO チャーリー・カンメラー氏

DIGIDAY

スレート(Slate)はポッドキャスト事業を開始して20年近くになるが、人気番組の配信頻度を増やすために今年、戦略を見直した。

「スローバーン(Slowburn)」、「デコーダー・リング(Decoder Ring)」、「ワンイヤー(One Year)」はいずれも同社のナラティブ形式ポッドキャストのシリーズで、今後は1年に1シーズン配信から2、3シーズン配信に移行し、リスナーを増やす予定だ。これにより広告主には1年を通して広告を出す機会の提供が可能になる。その一方、同社が持つ隔週シリーズのうちいくつかは週2回へと回数を増やし、販売可能な在庫を増やすことを目標としている。

スレートのCROでありプレジデントであるチャーリー・カマラー氏はDIGIDAYポッドキャストの最新エピソードで、彼のチームがほかのポッドキャストネットワークのようにスケールを追うのではなく、既存の番組の頻度を優先している理由と、販売担当チームがホストによるストーリーテリング形式に投資する際に、カスタムコンテンツ広告の特定の組み合わせを優先していることを語った。

同社の収益の約半分を占めるポッドキャスト事業は、主に広告に依存している。その一方で、同社は最も人気のあるシリーズの特定のエピソードを有料にすることで、リスナーたちが有料購読者になる傾向も生まれている。

以下は会話のハイライトで、わかりやすさを考慮し少し編集し要約してある。

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頻度を増やすという戦略

(2022年の)私たちの戦略の中核を成しているもののひとつは、「頻度」だ。私たちの番組は、ナラティブとそれ以外のすべてに分かれている。ナラティブ形式コンテンツのひとつが、私たちの最大の番組である「スローバーン」だ。ちょうど先日、「ロー対ウェイド」裁判を扱った第7シーズンを最高裁が判決を発表したタイミングでローンチした。この時は4話だけのミニシーズンだったが、年内にまた短いシーズンを配信する可能性はある。もしくは来年、さらに短いシーズンをふたつ、年内に配信するということもあり得る。

私たちはほかナラティブ形式コンテンツでも同じことをしている。「デコーダー・リング」と「ワンイヤー」だ。基本的に6話か7話編成の3シーズン形式で製作しているが、この話数によっていくつかのことができるようになっている。ひとつは、リスナーたちとの深いエンゲージメントを作ること。1年に1回、リスナーがコンテンツに触れて終わるのではなく、年に2回、3回とコンテンツとの関わりを持つことができる。これは広告主にとっても非常に重要だ。1年のうちに、7話〜8話からなる物語のシーズンを1回だけやるとしたら、多くの大手広告主がその配信期間に広告を出していなければ、広告費は見込めない。

そのうえ、(広告出稿のタイミングとして)その時に何か出したいメッセージが広告主側になければ、当然ながら広告を出さない。だから、頻度を増やすことで(広告主からの)お金があるときにダウンロード数やインプレッション数を増やすことができる。

ポッドキャストが購読を促進

ポッドキャストの収益はおそらく、今年の総収益の50%になるだろう。その多くは、ほかの事業ラインがどのように成長しているかによる。私たちには、デジタルビジネス、オーディオビジネス、そしてサブスクリプションという、力を注いでいる3つの事業があるが、サブスクライバーの多くはポッドキャストによって獲得できていると考えている。どのようなリスナーが参加するかにもよるが、ポッドキャストを頻繁に配信することが、彼らがサブスクライバーになる理由の第1位だ。

最高裁がここ数カ月で下した決定を公表したとき、私たちは「アミカス(Amicus)」というタイトルのポッドキャストを配信していた。これは基本的に法律に関するポッドキャストとなっている。(最高裁の判断に関して)ちょうど何が起きているのかを学ぶための絶好のタイミングだったので、私たちはアミカスの追加エピソードを制作した。私たちは(そのうちの)3つを(サブスクライバー向けの)スレート+(Slate+)リスナーのみが利用できるようにしたため、当時は直近3年間で最高のスレート+の業績を出した。この例だけでも、私たちがオーディオ事業をどのように利用しているのか、そしてオーディオを広告だけでなく、ロイヤリティや購読料獲得にも活用していることを理解してもらえると思う。

ストーリーテリングの持つ力

当社の広告収益の大半はブランド広告主から来ている。当社のダイレクトレスポンスの広告収益は伸び続けているが、これはブランド広告主がこの分野にどれだけ早く参入してきたかを反映している。

スレートでは、スケールを追い求めているわけではない。正直なところ、これは私たちが提供できるものではないし、スケール競争には勝てないとわかっている。私たちは、熱心で好奇心が強く、教育を受けたリスナーたちを(広告主に対して)提供しようとしている。このことが私たち、そして私たちの広告フォーマットにとって何を意味するのか。私たちと一緒に仕事をしたい、クリエイティブになりたい広告主のために、私たちはできる限り彼らのビジネスを理解したいと思っている。

私たちは、ホストによるストーリーテリング形式に非常に積極的に取り組んだ。この形式がうまくいくことは、すべてのデータが示している。与えられた広告メッセージを、ホストが読むことで本物かつ親密、そしてパーソナルに聞こえるようにすることができれば、素晴らしいことだ。

[原文:How Slate’s Charlie Kammerer is prioritizing frequency to boost podcast revenue

Kayleigh Barber(翻訳:塚本 紺、編集:黒田千聖)

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