老舗食料品店ザ・フレッシュ・マーケット、ニュースレター購読者にショッパブル動画を配信:導入から8カ月でCTRが約50%増加

DIGIDAY

こちらは、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です
※モダンリテール[日本版]は、DIGIDAY[日本版]内のバーティカルサイトとなります

食料品チェーンのザ・フレッシュ・マーケット(The Fresh Market)は、ショッパブル動画に参入するのにあたり、まずニュースレターの定期購読者を対象としてスタートした。

同社は22の州で160店舗を保有しており、ショッパブル動画に関しては、既存のニュースレターの定期購読者に対するプロモーションとすることを中心としている。ときには既存のコンテンツを新しいショッパブル動画に転用してきた。この方針は、すでに自社の常連客であるグループに対し、より多くのエンゲージメント、ショッピングリストの作成、リピート購入を促すことを目的としている。

昨秋、ベンダーであるファイヤーワーク(Firework)と共同でショッパブル動画を立ち上げてから8カ月のあいだ、TheFreshMarket.com内の動画のコンバージョン率が、サイト全体の平均売上に対して97%高いことがわかった。ノースカロライナを拠点とする同社は、ショッパブル動画によるニュースレターの総合クリックスルー率が、それまでのニュースレターと比べて47%も増加した。同社は割引と特売だけに頼る状態から脱却するため、ウェブサイトのバナーやニュースレターの両方で、ショッパブル動画を毎日プロモートしている。

独自のプロパティを利用

ザ・フレッシュ・マーケットの最高マーケティング責任者を務めるケビン・ミラー氏は、同社が動画コマースを検討しはじめたとき、マーケティングチームは絶対に独自のプロパティを利用して最初のテストを行いたいと考えたと、米モダンリテールに語った。

ミラー氏は次のように述べている。「ソーシャルプラットフォームにあまり依存したくなかった。その代わりに、当社の既存の顧客ベースを活用したいと考えた。このため我々は、独自のメールとウェブサイトのオーディエンスを利用して評判を広めることにした」。

ザ・フレッシュ・マーケットは数十年にわたって操業しており、毎月4000万〜5000万通のメッセージを送信してきたと、ミラー氏は語る。「当社は商品について、楽しんで学べるメールを毎日顧客に送信している。しかしこれまでのメールは、お買い得商品や静止画を中心としたものだった」。

食料品チェーンである同社は、自社店舗で販売しているブランドや商品を紹介する動画を作成している。人気のある例としては、輸入品のオリーブオイルやチーズのブランドが挙げられる。これらのキャンペーンにより、視聴者は動画を見ながらスワイプし、紹介されている商品をカートに追加・変更できる。

最近の例として、ニュースレターの定期購読者に、夏やバーベキュー向けのシーフード料理を紹介する動画を毎週送信した。この動画では、シーフード部門の従業員が、同社のプライベートブランドのソースやマリネを、海老やスズキ、サーモンなどの材料と組み合わせる際の秘訣を紹介した。この動画は、同社のウェブサイトとニュースレターで、紹介された商品へのリンクが記載されたショッピングリストとともに紹介された。

「我々は専門店として、全世界から厳選した商品を販売している。そのため、それらの商品とそのストーリーを顧客に紹介したいのだ」と、ミラー氏は述べている。

重要なのはパーソナライゼーション

ザ・フレッシュ・マーケットは、すぐに調理できる食事をプロモートする動画コンテンツも作成中だ。これらの週替わりのキットは、デリバリーのミールキットのようなもので、4人前の夕食が25ドル(約3330円)で販売されている。「これらの動画は、特にインフレの最中に、顧客が安い商品を探しているときに多く視聴されることがわかった」。

エクスペリエンス最適化プラットフォームのダイナミックイールド(Dynamic Yield)のCMOを務めているヤニフ・ナボット氏は、「自社のライブ配信動画の効果を最大化したいと願っている企業にとって、当社が見いだしている大きな機会のひとつは、全体的な商品発見と関係している」と述べている。

今日の顧客エクスペリエンスにとってパーソナライゼーションが極めて重要であることから、同社は視聴者が繰り返し自社に注目するよう、革新的な商品発見のエクスペリエンスを常に作り出し続ける必要があると、同氏は述べている。

さらに今年は、食料品小売業者のあいだでショッパブル動画が注目された。アルバートソンズ(Albertsons)やエイチイービー(H-E-B)などの企業は、エンゲージメントと売上を推進するためのフォーマットに多額の投資を行ってきた。

ザ・フレッシュ・マーケットは、動画コマースを開始して以来、継続的な動画コンテンツを補完するために2回のライブ配信を行った。最近の配信は、7月4日の祝日に行われたもので、偶然にも同社の40周年の記念祝典および特売品の紹介と重なっていた。同社は今年前半にも、フロリダのパームビーチガーデンズの新店舗をツアーするライブ配信も行った。

40周年の記念に行われたライブショッピング配信

動画の効果を評価するには時期尚早だ

ライブ動画をテスト導入するブランドのあいだでは、インスタグラム(Instagram)やFacebookなど、サードパーティのプラットフォームを使用することも一般的になった。しかし、長い実績のある小売業者であるザ・フレッシュ・マーケットでは、ウェブサイトやメールのニュースレターなど独自のチャネルでセッションを主催した結果、同イベントと同時に行われていたソーシャルメディアの配信よりも4.8倍の視聴者を獲得したことがわかった。

「アンケートやリアルタイムチャットなどによっても高いエンゲージメントが得られる」と、ミラー氏は付け加えている。

ミラー氏は、ショッパブル動画による具体的な売上を明らかにしていないが、「この新しいプラットフォームの活用方法を試行錯誤するなかで、毎月売上は伸び続けている」と述べた。また同氏は、これらの動画によるハロー効果で、店頭の売上も増加したと語っているが、「どの程度かを評価するには時期尚早だ」と注釈している。

ザ・フレッシュ・マーケットは次の段階として、視聴回数の最大化、ソーシャルチャネルへのエンゲージメント率とエンゲージメント時間の増大、および販売へのコンバージョンの向上に取り組んでいる。

ミラー氏は次のように述べている。「我々はブランドとして大きな力があるが、より多くの顧客にリーチし、それらの顧客を惹きつけ、適応する必要がある。動画は確かに重要だが、必要なのは結果だ」。

[原文:Why The Fresh Market is feeding shoppable videos to its newsletter subscribers]

Gabriela Barkho(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:猿渡さとみ)
Image via The Fresh Market/Firework

Source

タイトルとURLをコピーしました