「人々はブランドと関わることを望んでいる」:グロシエの経営幹部が語る、ワシントンD.C.の新店舗開設と実店舗の再建

DIGIDAY

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ビューティブランドのグロシエ(Glossier)は7月29日、ワシントンD.C.で、5番目となる店舗の営業を開始した

この新店舗はD.C.のなかでも歴史あるジョージタウン地区に位置しており、ここにはワービーパーカー(Warby Parker)、エバーレーン(Everlane)、オールバーズ(Allbirds)な多くのデジタルネイティブなブランドが独自の店舗を構えている。店内は、市内にあるユニオンステーション(Union Station)や国立交通宇宙博物館(Air and Space Museum)にちなんで、ジェット機時代にインスパイアされた空間になっている。店舗では、グロシエのスキンケアや、メイクアップ、フレグランスなどの商品ラインに加え、レトロ調の装飾、空港の滑走路を想起させるフロア照明、飛行機の翼の形を模した座席が使用されている。

パンデミックにより2020年に常設および仮設の小売店をすべて閉鎖したグロシエは、より多くの買い物客を呼び込むため、全国で実店舗の再建に着手している。同社の店舗は、自撮り室や現場の専門家などユニークなリアル体験に大きく傾き、トラフィックを促進する傾向がある。同社は昨年から、シアトル、ロンドン、ロサンゼルス、マイアミに常設店舗を開設した。

2014年に創設されたグロシエは、アイブロウポマードのボーイブロウ(Boy Brow)やオードパルファムのグロシエ ユー(Glossier You)などのベストセラー商品があり、D2Cモデルの開拓者として引き合いに出されることが多かった。同社は店舗数を拡大するにあたって再び体験型小売に投資し、店舗のデザインにおいてローカライゼーションを考慮するとともに、D.C.ではグロシエ ラゲッジタグ(Glossier Luggage Tag)、ロサンゼルスでは携帯電話型のキーチェーンとステッカーなど、店舗限定アイテムを販売している。

7月の8000万ドル(約110億円)のシリーズE資金調達ラウンドのあと、同社の評価額は18億ドル(約2470億円)に達した。しかし今年前半に、80人を超える従業員をレイオフすると発表し、前CEOのエミリー・ワイス氏は、同社が近年、「いくつかの過ち」を犯し、「雇用を急ぎすぎた」と述べている。

同社のシニアバイスプレジデント兼エグゼクティブクリエイティブディレクターを務めるマリー・スーター氏は、同社の新しいD.C.の店舗や、総合的な小売戦略について米モダンリテールに語った。以下の対談内容は簡素さと明瞭さを考慮し、編集を加えたものである。

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――グロシエがD.C.への出店を決めた理由は何か?

D.C.は人が多い中心地だからだ。小売チームは、どこに出店するのがベストなのか、常にリサーチなどを行っている。D.C.のコミュニティはしばらく前から当社の開店を求めていた。

当社の店舗は歴史あるジョージタウン地区に位置し、建物も素晴らしい。我々はこのロケーションにとても刺激を受けている。

当社はこの街で少しずつ自分たちのテイストを見つけようとしているが、スミソニアン国立航空宇宙博物館(Smithsonian Museum of Air and Space)には強く触発された。これをあえて表現するならば、我々のコミュニティを連れて、宇宙旅行に出るようなものだろう。

――グロシエの店舗にはそれぞれ独自の特徴があると聞いている。デザインの観点から、新しい店舗を構築するときにどのような要素を考慮するのか。

当社には、クリエイティブなガードレールとでも呼ぶべきものがいくつかあり、常にクリエイティブな調査を行っている。

そして、その土地から受けたインスピレーションを取り入れ、それらを明らかにしないように努めている。我々は、その場所、そこにすでにあるコミュニティ、そして、そこに住む人たちに愛されているものから学ぼうとしている。

店舗の一部の要素は、グロシエの店舗であるということがわかるよう、どの店舗でも共通のものになる。しかし、重要なのは都市や場所ごとの独自性だ。

――グロシエが実店舗でのプレゼンスを拡大することの狙いは何なのか?

我々は、自社のコミュニティを喜ばせたいと思っているし、コミュニティが望む場所に出店したいと考えている。当社は当然、さまざまな小売モデルをテストして、コミュニティが我々にどのように関与するかを見てきた。

我々の小売への取り組み方は、美を体験するための新しい方法をもたらしたと考えている。我々が見てきた限り、人々はブランドと関わりたいと思っている。人々はこのコミュニティの一部でありたいと考え、それを示し、生活に取り入れることを希望している。

もちろん、デジタルにおいてブランド体験をすることもできるが、特に現在は、対面でブランドを体験することに価値がある。

我々がブランドとして自信を持っているのが、コミュニティが店舗を愛していること、そして店舗が単に商品を買い求めるだけでなく、ブランドを本当に体験するための手段であることだ。

――グロシエが今年達成しようとしている目標は何か?

今年中にいくつかの店舗をオープンする計画があり、ほかにも展開すべき場所を探しているが、まだ確実なことは決まっていない。しかし、今年後半にフィラデルフィア、アトランタ、ウィリアムズバーグに出店を予定しているので、これらに大きな期待を抱いている。

[原文:‘People want to engage with the brand’: Glossier’s executive creative director on opening a new store in D.C.]

Maria Monteros(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:黒田千聖)
Image via Glossier

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