中古家具マケプレの カイヨー 、西海岸に進出:再販市場隆盛の波に乗って

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中古品フルサービス家具のマーケットプレイスのカイヨー(Kaiyo)は、成長を求めて西部への展開を目指している。

カイヨーは、数年間にわたって東海岸を主戦場としてきたが、7月にロサンゼルスに西海岸に初めての倉庫を開設した。これにより、同社はこの地域の売り手を受け入れ、大型家具の配達コストを従来の500〜800ドル(約6万9500円〜約11万1000円)から、最大30ドル(約4170円)にまで引き下げるなど、同社の良心的なサービスを地域の人々に提供することが可能になる。また、この展開によって、ビバリーヒルズ、ベニス、サンタモニカなど周辺地域もカバー可能になった。

カイヨーはマーケットプレイスとして、2つの課題に直面している。買い手と売り手の両方の興味を引きつけることだ。同社は2014年にニューヨークで操業を開始してから、フィラデルフィア、ワシントンD.C.、ボルチモアに新しい倉庫を開設しており、全米で展開しているものの、これまでは東海岸の市場の売り手からの商品しか受け付けていなかった。今回の展開は3600万ドル(約50億円)のシリーズBラウンドの直後に行われたもので、ロサンゼルス地域に居住している人々もカイヨーでアイテムを販売できるようになり、これによって同社は顧客ベースだけでなく売り手のネットワークも拡大可能となる。

カイヨーの創設者でCEOを務めるアルパイ・コーラルターク氏は次のように述べている。「我々の目標は、すぐれたデザインを、便利で持続可能な方法で、人々が入手できるようにすることだ。当社は全国展開に向けて着々と歩んでいる。当社は、急速な拡大を推し進めた結果として破綻した企業を数多く目にしてきた」。

狙うはカリフォルニアという巨大市場

同社のサービス地域内の人々が、サービスを利用して販売を行うには、いくつかの承認プロセスを経なければならない。まず売り手が出品した家具を同社が受諾すると、売り手の都合にいい場所で無料で引き取る。その後、品質を検査し、清掃して写真を撮影し、梱包してから同社の倉庫に保管する。家具の売り手は、新機能のインスタントオファーにアクセスすると、アイテム引き取りが受諾された時点で、一定料金で支払われるため、アイテムが売れるのを待つ必要がない。

消費者は米国のどこからでも、カイヨーでアイテムを購入できるが、同社の良心的なサービス地域外の消費者はサードパーティーの輸送業者に追加の配達料金を支払う必要があり、その金額はチェックアウト時に計算される。またサードパーティーの配達については、最小注文金額を350ドル(約4万8700円)としている。同社のサービス地域内の買い手は19ドル(約2640円)からの安価な配達オプションを使用でき、カリフォルニアのチノにできた7万8418平方フィート(約7290平方メートル)の新倉庫から、オンライン注文で商品を引き取ることもできる。

コーラルターク氏は、正確な収益の数値を明かしていないが、カイヨーが約6年にわたって前年比で100%を超える成長を達成してきたと語っている。3月に発表されたシリーズBラウンドでは、約5000万ドル(約69億5000万円)の資金を調達した。

カイヨーの西海岸への展開がロサンゼルスからはじまったのは、ロサンゼルスが米国で最大の市場のひとつだからであると、同氏は述べている。同社は近い将来、サンディエゴやシアトルなど、ほかの西海岸の市場にも参入することを計画している。

コーラルターク氏は次のように述べている。「カリフォルニアは、デザインのテイストという意味で非常に豊富な市場だ。また、人口だけで考えても巨大な市場である」。

西海岸展開における課題と中古品家具市場の繁栄

パンデミックのあいだ、小売業者は家具や室内装飾の需要の急増を目の当たりにしたが、それ以後は下火になっていった。同氏は、カイヨーには現在のところ、このような需要の減少は起きていないとしている。

同氏は次のように述べている。「当社の売上の増減は、主に人々の引っ越しのパターンによって決まる。6月は非常に引っ越しが多い月だ。今年も6月に記録的に多くの引っ越しが行われた。これは以前から同じで、過去5年間程度において変わっていない」。

デジタルコンサルタント企業のシーアイ・アンド・ティー(CI & T)の小売戦略ディレクターを務めるメリッサ・ミンコウ氏は、カイヨーの西海岸への展開により、同社は購買パターンが異なる新しい種類の消費者や、異なるスタイルの家具を提供できる売り手と関係を持つことができると語る。カリフォルニアは通年にわたって温暖な気候なため、売り手からより多くのアウトドア用品が寄せられることが考えられる。

しかし、規模の拡大する場合、カイヨーのような新興企業にとって課題となるのは、サービスの品質を維持することだと、同氏は語る。「同社はすべての業務を自社のコントロール下に維持し、第三者機関が関与しないことを保証する必要がある。第三者機関に委託してしまうと、配送の品質が低下する傾向があるためだ」。

既存企業も中古品販売に目も向けはじめた

それでもミンコウ氏は、物価の上昇が続くなか、消費者が裁量的な予算を有効に使うために、高品質のアイテムの割引を求めているという現在の経済環境が、中古品家具の市場が繁栄させていると語る。

中古家具の市場の成長には、従来型の小売業者も注目している。たとえば、家庭向け小売業者のイケア(IKEA)は昨年、米国で、自社独自で家具買い取りとリセールのパイロットプログラムを開始した。D2Cブランドのフロイド(Floyd)はベッドフレーム、ソファー、テーブルなどのアイテムを販売しているが、昨年4月にフルサイクル(Full Cycle)という名前のリセールプログラムを立ち上げた

ミンコウ氏は次のように述べている。「消費者は現在、買い物に関して、近年にないくらい価格に敏感になっている。このような状況下で、家具のリセール市場は大きく貢献している」。

環境に優しい買い物を意識的に行っている消費者の数も増えていることからも、このカテゴリーへの需要を期待していると、カイヨーのコーラルターク氏は語る。

「この需要は非常に急速に高まっていくと思われる。私がこの業界の人間であることで、バイアスがかかっているのは確かだが、今日見られるすべての事実が、その結論を示唆していると、私は考えている」。

[原文:Secondhand furniture marketplace Kaiyo expands to the West Coast]

Maria Monteros(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:猿渡さとみ)
Image via Kaiyo

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