成長を続ける リテールメディア 、焦点はデータとコミュニケーション

DIGIDAY

ボストン・コンサルティング・グループ(Boston Consulting Group)によると、eコマースの市場規模は1000億ドル(約13兆円)前後と見積もられている。それだけ盛況な市場において、アップフロント(広告の先行販売)は必要なのだろうか。少なくともホライゾン・メディア(Horizon Media)傘下のeコマース・コンサル企業ナイトマーケット(Night Market)はそう考えているようだ。

eコマースや小売におけるメディアの支援を専門とするナイトマーケットは5月24〜25日に、第3回目となるeコムフロンツ(eCommFronts)を開催した。同社のプレジデントであるランディ・ブラウニング氏によると、このバーチャルイベントでは、崩れつつあるファネルとデータセットの融合に重点を置いた上で、常に変化し続け成長しているeコマースとショッパブル(買い物が可能な)メディアの世界が検証された。

イベントには幅広いリテール企業たちが参加した。彼らは自社のデジタルスペースにおける広告在庫を販売しつつ、消費者行動に関する分析を欲しがっている他のメディアにデータで支援することで新たな収益機会を開拓してきている。「消費者たちの購買プロセスはオンラインが起点になっており、従来よりも短くなった新しいファネルをここから生み出すことができる。それがチャンスだ」とブラウニング氏は言う。

以下、イベントで語られたことのポイントをいくつか紹介する。

リテールメディア企業

参加企業のなかには、ウォルマート(Walmart)とクローガー(Kroger)も含まれていた。どちらもeコマースと小売メディアの収益源を構築することに深くコミットしているが、いまでは収益価値を持つデータも生み出している。

「リテールメディアと言うと、eコマースにおけるスポンサー商品リストにすぎないと思われている」と、クローガーのデータサイエンス部門である84.51°内で運営されているデータマーケティング支援リーム、プレシジョン・マーケティング(Precision Marketing)のエージェンシー・パートナーシップ部門ディレクターであるジル・スミス氏は述べた。「しかし、私たちはリテールメディアの新しい段階に入った。現在、ブランドたちに我々の販売データを使用してもらい、オープンウェブ上でのプログラマティック広告キャンペーンの最適化、ターゲティングをしている」。

とはいえ、リテールメディアはたとえマーケターのあいだでは非常によく認識されているとしても、メディアバイヤーの関心をさらに引きつけるための戦いを求められている。最近米DIGIDAYが代理店およびマーケター企業59社を対象に行った調査によると、大手小売企業はまだメディア投資に目立った増加を見ていない。これはEコムフロンツが開催されている理由と関係があるかもしれない。

新しいチャンネル

もちろん、メタ(Meta)、ゴーパフ(GoPuff)、インスタカート(Instacart)、クリテオ(Criteo)、ロク(Roku)、ザ・トレードデスク(The Trade Desk)などのアドテク企業やプラットフォーム各社もEコムフロンツに参加した。小売業者がメディアチャネルを確立したいま、在庫の一部をプログラマティック販売として設定することや、そのほかのオフラインの販売アプローチに繋げることなどが次のステップとして現れている。

「認知してもらうこと、そこから実際に検討してもらうことへと移行するこの流れをブランディングという視点で捉えてみてほしい。そしてこれらすべてが、属性に関してクッキーを必要としない、(小売の購買プロセス内で)閉鎖されたループアプローチによって実現される。私たちは、次のステップへの展望について非常に楽観的だ」とブラウニング氏は語る。

いまやどんな企業のメディアプラニングにも必ず存在しているようなストリーミング企業たちも、eコマースの世界に入り込もうとしている。「ストリーミングは、コマースの次のフロンティアだ」とクローガーのスミス氏は言う。「ロクにおける消費財広告主は、我々の売上データを使って特定のサルサや歯磨き粉のブランドを買わなくなった人たちなど、リーチしたい世帯を特定し、その広告の増分効果を測定することができる」。

不確定要素のある今後の展望

とは言え、バラ色の展望だけが見えているわけではない、とブラウニング氏は認める。買い物客向けのマーケティング予算とメディアプランニングの間には未だ解決されない断絶があり、それが今後のシームレスな進歩の障害となると見ている。同氏は、顧客と小売業者間におけるデータ連携を改善することも改善が必要な分野だと付け加えた。クリーンルーム技術の利用が役立つかもしれない分野だ。

とはいえ、経済の見通しが暗い時期においてさえ、潜在的な収益は他のメディアよりも高いままである。アドエージェンシーのウォルトン・アイザックソン(Walton Isaacson)でデジタルイノベーション担当マネージングディレクターを務めるアルバート・トンプソン氏は、「商品購入のタイミング、もしくは実店舗で買い物カートを押して歩いていたり、デジタル店舗で買い物カゴに商品を追加していたりなど、コンバージョンにもっとも近い距離にあるときこそが、顧客に話しかける最良の機会だ、という前提に立って構築されているのが小売メディアだ」と述べる。「これが販売に直接影響する高い相関関係を持っていることを考えると、マーケティングにおける収益還元ソリューションだと捉えられる。さらに強力なのは、サプライチェーンに関するインサイトを与えてくれることだ。つまり、リアルタイムで購入可能な商品の量を中心に運営されているので、消費は需要と供給に直接相関して調整される」。

取材に応じてくれたコマース専門家は、「厳しい経済状況のなか、エージェンシーの予算は減少する傾向があるが、eコマースの予算は売上と直結している。企業も市況悪化時に売上を必要とするため、影響を受けることはほとんどない」と付け加えた。

[原文:The Rundown: As e-commerce grows, the eCommFronts address data and communication issues

Michael Bürgi(翻訳:塚本 紺、編集:分島翔平)

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