ブルーエプロン、 CTV でマーケティング戦略を再構築:「テレビ並みのインパクトを低コストで実現できる」

DIGIDAY

ブルーエプロン(Blue Apron)が再びマーケティングに本腰を入れている。同社がマーケティングに本格的に投資するのは2018年以来だ。2019年の売上の落ち込みとサブスクリプション数の停滞からの巻き返しを図っている。

ニューヨーク市を拠点とするブルーエプロンが最初の動きを見せたのは2022年4月。ブランド認知度の向上と、競合が乱立するミールキット市場での存在のアピールを目指す一環として、リニアTVとCTV、さらにオンライン動画で15秒と30秒のスポット広告を全米で展開した。

フルファネルなメディアアプローチ

同社のニュースリリースによると、ブルーエプロンのこの取り組みは、ブランドの成長を狙った8200万ドル(約102億円)相当の自己資本調達が発端となっている。同社のマーケティング支出は前年比で68%増え、2021年末には2100万ドル(約26億円)に達した。

ブルーエプロンのCMO、ダニー・シンプソン氏は「今はマーケティングに正しく資金を投じ、効率的かつ賢いやり方でトップオブファネルの認知を本格的に取り戻せる財務状態にある」と話し、認知度向上では動画広告を重視していると付け加えた。「2021年は今後も続くフルファネルなメディアアプローチでブランドに投資していくための助走期間だった」。

シンプソン氏は詳細を語らなかったため、ブルーエプロンの広告費の具体的な詳細は不明だ。カンター(Kanter)によれば、ブルーエプロンの2021年のメディア支出は500万ドル(約6億円)をわずかに下回る額で、2020年の約800万ドル(約10億円)から下がっている。2019年のメディア支出は50万ドル弱(約6250万円)だった。カンターではソーシャルメディアへの支出はトラッキングしていないため、これらの数字にはソーシャルメディアは含まれていない。

以前米DIGIDAYで報道されたように、ブルーエプロンは2019年に大きな経済的損失を出し、その埋め合わせのためにマーケティング支出を大幅に抑えた。巻き返し計画には「投じた資金を1年で回収できるような顧客の獲得にのみ投資する」ことも含まれていた、と米DIGIDAYは伝えている。

パブリッシャーとのコンテンツ提携も

ブランド認知度の向上を図るなかで、ブルーエプロンの新しいマーケット戦略の大きな部分を占めるのが、リニアTVとCTVだ。現在は、ニューヨークのブルックリンを拠点とする広告エージェンシーのクワーク・クリエイティブ(Quirk Creative)が制作した15秒と30秒の広告で、ブルーエプロンのレシピや便利さをアピールしている。ブルーエプロンによると、ミールキットを試したことのない消費者へのリーチを目指している。

「ほかにどこで発信できるだろうかという話も再浮上した」とシンプソン氏は語る。「認知度でいえば、最も大きな全国的なリーチが期待できるのはTV。というわけで、基本的にそれに従った」。

シンプソン氏によると、過去数年の技術の向上によってデジタル動画広告も測定とアトリビューションができるようになり、ブルーエプロンのマーケティングの新しい取り組みにとって妥当なマーケティングチャネルとなった。動画広告に加え、ブルーエプロンでは2022年、ダイレクトメール、プログラマティック、およびバズフィード(BuzzFeed)やフード52(Food52)などのパブリッシャーとのコンテンツ提携も探っている。Facebook広告マネージャでは、ブルーエプロンが現在、有料動画広告と画像広告を展開していることがわかる。

シンプソン氏は、2022年になって財務的にマーケティング戦略を立て直せる状態になり、ブランド認知度とメディアミックスの多様化に集中的に取り組んでいると話す。

シンプソン氏は「ブランドキャンペーンがうまくいくかどうかを試しているのではない」と述べる。「試しているのはチャネルのほうで、どの組み合わせがよいのか、正しい投資額はどれくらいかを見極めようとしている」。

他社もデジタル動画広告に注力

デジタル動画広告に注力しているのはブルーエプロンだけではない。シューズブランドのメレル(Merrell)や保険のクイリティ(Quility)も、コネクテッドTVやストリーミングに投資している。

レイン・ザ・グロース・エージェンシー(Rain the Growth Agency)の最高クリエイティブ責任者(CCO)のスティーブ・ダイヤモンド氏は、D2Cブランドがブランド認知度の向上に向けた取り組みをますます強化し、その手段としてコネクテッドTVとストリーミングに大きく頼っているところだ、と話す。

「コネクテッドTVは、テレビ並みのインパクトを求めながら、同程度の費用はかけたくないブランド側にとって魅力的だ」とダイヤモンド氏はメールで語った。「デジタルネイティブなブランドは、コネクテッドTVでかなり焦点を絞ったオーディエンスにターゲティングができるため、予算を賢く使っていると感じている」。

[原文:How Blue Apron meal kit is revamping its marketing strategy with digital video

Kimeko McCoy(翻訳:SI Japan、編集:黒田千聖)

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