パレードは Z世代 の価値観に基づく下着ブランドをどのように構築しているのか?

DIGIDAY

コロンビア大学を中退したキャミ・テレス氏が創業した下着ブランド、パレード(Parade)は、ビジネスの最前線に顧客と環境、インクルーシビティを置いて成功することが可能であることをアパレル業界に示している。

「我々は使う素材やプロセスから衣服のライフサイクル全体に至るまで持続可能性を考慮するよう尽力してきた」と、テレス氏はGlossyに語っている。パレードは、2021年9月下旬、成長企業に投資するエクイティ企業のストライプス(Stripes)が主導するシリーズBラウンドで2000万ドル(約26億円)の資金を調達し、全体の評価額が1億4000万ドル(約181億円)になったことを発表した。パレードは2020年から2021年にかけて3倍に成長し、350万点以上を売り上げ、12月にはニューヨークのソーホー地区に小売第1号店をオープン。顧客100万人を目指し、パンデミックが始まる数カ月前にローンチしたパレードはこの2年間でビジネスを加速させている。

パリ協定遵守、下着のリサイクル

現在、下着は米国と英国のオンラインで販売されている全婦人服製品の4%を占めている。小売インテリジェンスプラットフォームのエディテッド(Edited)によると、世界の下着市場は2027年までに790億ドル(約23兆円)に成長すると予測されている。4月22日のアースデイに合わせて、パレードは、同社の科学的根拠に基づく目標(SBTイニシアチブ、Science Based Targets Initiative)のもとで科学的根拠に基づく持続性に関する目標を発表した。それは、同社のスコープ1と2の温室効果ガス排出量を、2020年と比較して2030年までには42%削減するというものである。これはパリ協定で定義されている気温上昇を摂氏1.5度に抑えるというシナリオに沿ったものである。

また、今年のはじめ、パレードはセカンドライフ(Second Life)プログラムを開始した。リサイクル会社のテラサイクル(Terracycle)と提携して立ち上げた初の全国的な下着リサイクルプログラムである。この提携を通じてパレードは使用済みの下着を回収して断熱材として再利用する。「いつも顧客から寄せられていた『もう着られない下着をどうすればいいのか』という悩みに対応することは当社にとってとても重要だった。毎日顧客が着ている製品を作っているのは当社なので、我々がライフサイクル全体に取り組むことは必須だった」とテレス氏。これまでに3万点の下着がリサイクルされたという。

環境への影響についての情報をラベルに表示

また、パレードは、戦略的持続可能性パートナーと協力して製品の環境への影響を示す独自の情報ラベルを提供している数少ないブランドのひとつでもある。同じ試みを行っている他社にはシューズブランドのニソロ(Nisolo)などがある。(英国のコンサルタント会社の)エコエイジ(Eco Age)と協力して、パレードは、業界のベストプラクティスとエレン・マッカーサー財団(Ellen MacArthur Foundation)のサーキュリティクス(Circulytics、企業の循環性測定ツール)のデータを利用して独自の方法論を開発、フォーカスは気候への影響、社会への影響、循環性の3分野である。「当社は消費者に対する透明性を生み出す事業を行っており、我々の使命はこのカテゴリーを顧客に還元することだ」とテレス氏は述べている。「このラベルで、製品がビジネスに与える全体的な影響を考慮に入れた持続可能性の評価尺度が提供てきると考えている」。さらに、同社は過去に、2024年までに提携サプライヤーの基準を伝える独自のサプライヤー証明に投資する計画も発表している。

テレス氏は、広義のアパレル業界において持続可能性にほとんど対応していなかった一分野であると知りつつ、下着業界に進出したと述べている。手本にできるブランドがなかったため、「素材全体、製品のライフサイクル全体、ブランドとしてあらゆるプラクティスにおいて、持続可能なイノベーションを先導する方法を迅速に学ぶ必要があった」と同氏。また、自身を「学んでいるCEO」と呼び、すべてのビジネスリーダーは気候危機にもっとうまく対応するために自分のビジネスで何ができるかを常に学ぶ必要があると付け加える。

2025年までにカーボンポジティブを目指す

パレードは今年、正式にカーボンニュートラルになり、2025年までにカーボンポジティブになることを目指している。現時点でカーボンポジティブを目指して取り組んでいるブランドはほとんどない。この目標を達成するためのパレードの道筋はスコープ1、2、3の排出量を削減し、パートナーたちと協働して影響を相殺することに重点が置かれている。同時に、2023年までに100%クリーンエネルギーまたは再生可能エネルギーに変換することを目標に、会社施設と出荷プロセスでのエネルギー使用量にも留意している。また、会社と工場の廃棄物を100%転用する予定だと述べている。これは機敏性の低いブランドが苦労している点である。なぜなら、そのようなブランドでは抱えている古い在庫と効率の悪い返品ポリシーのせいで結局製品は埋立地に送られることが多いからだ。

パレードは、工場とアンバサダープログラムのプロジェクトパレード(Project Parade)を通じて人にフォーカスしている。同プログラムは、コミュニティで持続可能性イニシアチブを主導しているパレードの2.5万人のアンバサダーを表彰するものだ。アンバサダーらは2.5万ドル(約324万円)を受け取り、1000ドル(約13万円)を(複数の)個人に、5000ドル(約65万円)を(複数の)団体に寄付する。プログラムへのエントリーは4月15日に締め切られ、まもなく受賞者が発表される。また、パレードの工場パートナーはすべてWRAP SA 8000かフェアトレードの認定を受けている。彼らはビジネスインテグリティに関するサプライヤー規範に署名しており、これにより工場は世界の最低賃金基準に沿って労働者に賃金を払うことが義務付けられている。

「我々は、着ている下着について顧客がよりクリティカルに考えるようになっている変化を明らかに目撃している。また、顧客はどう自分たちが企業を支援できるかについていっそう入念に考えるようになっている」。パレードは、ローンチにセレブを起用することによって若い消費者グループにアピールしている。『ユーフォリア/EUPHORIA(原題:Euphoria)』に出演しているクロエ・チェリー氏が、4月26日に発売されたニューコットン(New:Cotton)コレクションの新キャンペーンの顔だ。このラインは、リフィブラ x テンセル・リヨセル(Refibra x Tencel Lyocell)、アップサイクルされたコットン、持続可能な方法で調達された木々から製造され、持続可能性に基づいている。

今後、パレードは現時点での米国とカナダと英国の市場を超え、グローバル展開に注力する予定だ。同社は、価値観を共有して下着カテゴリーのより良い未来を信じていると同社が感じているパートナーたちと組み、ほかのチャネルにも拡大している。これからの12カ月間でさまざまなカテゴリーのブランドとのコラボレーションをローンチし、ライフスタイルブランドとして、また下着業界で唯一のポップカルチャーブランドとしての地位を維持し続けるだろう。テレス氏によると、来年には予想外の新しい複数のカテゴリーに進出する予定もあるという。

[原文:How Parade is building an underwear brand based on Gen-Z values

AARON GOTTLIEB(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)

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