NBA名門チームは、いかに広告主との関係を構築しているか:ボストン・セルティックスの統合型パートナーシップ

DIGIDAY

NBAの名門チーム、ザ・ボストン・セルティックスは自身のブランドに、そしてスポンサーにできるだけ多くの注目を集めることを目指している。それを実現するべく、彼らは近年、より「統合型」のパートナーシップを追い求めはじめた。

「伝統的なメディアを、そしてもちろんスポンサーのブランド名を我々のユニフォームと統合させている。ユニフォームが行く所には、どこであろうとも、スポンサーも付いて行けるように」。セルティックスのチーフ・パートナーシップオフィサー、テッド・ダルトン氏がそう語るのは、現在同チームのユニフォームに名前が載る一社ビスタプリント(VistaPrint)をはじめとする、スポンサー各社とのパートナーシップ宣伝戦略だ。

「つまり、ソーシャルメディアでも、ビルボードでも、プレゲームショーでも、スタメンの紹介時でも、Twitterでも、どこにでもそのブランドが登場する。我々のユニフォームが人々の目に触れる所では、それがどこであろうともそのブランドも人々の目に触れることになる」。

セルティックスの広告戦略

  • 統合的なパートナーシップとマーケティングミックス
  • コミュニティイベントへの参加
  • プレーオフに臨む柔軟な姿勢
  • 同様の特質および価値観を有するパートナーへのフォーカス

同じ価値観のスポンサーを探す

2022年6月前半のNBAファイナルズを前に、セルティックスと地元ニューイングランドの小企業との関係性に光を当てたビスタプリントとのパートナーシップ以外にも、同チームはダンキン(Dunkin’)ボナ(Bona)チックフィレイ(Chick-Fil-A)といったブランドと同様の提携を結んでいる。同チームはまた、デジタルと従来のいずれの広告も活用するだけでなく、ブランドパートナーのためのコミュニティイベントにも積極的に参加している。それら契約の金額については、幹部は明かさなかった。

セルティックスの場合、プレーオフ期間中にどう動くのか、広告主と何を仕掛けるのかといった具体的な計画は、プレーオフ直前まで決まっていない。もちろん、NBAのシーズンが3分の2近く終了した時点で、大まかな戦略は立てておく。ただし、6月のファイナルズ開始時まであえて完全には固めず、試合が近づくなかで戦略を詰めていくという。

「チームをどう売り込みたいのか、企業パートナーと、あらゆるメディアパートナーと、eコマースやその他諸々と、どう協力したいのか。その点を基本的に、我々は感覚として明確に掴んでいる」とダルトン氏。「だからこそ、シーズンが進み、そして願わくはプレーオフを勝ち進むなかで、いま現在戦っているシリーズや相手チームによって、何かを加えたり除いたりしながら、柔軟に変化していくことができる。もちろん、計画ははるか前から立てていなければならない。しかし、その場その場でリアルタイムに調整することも多々あるし、それはいずれも相応の理由に基づいている」。

ダルトン氏によれば、有力なスポンサー候補に目星を付ける際は、人々との関係性、ブランドの歴史、人々を刺激し、興味を掻き立て、惹きつける表現のかたちといった点で、セルティックスと同様の特質および価値観を有するブランドを探すのが常であり、たとえばフェデックス(FedEx)ターゲット(Target)はその好例だという。

「視聴者の大多数は試合を見ている」

NBA 2023シーズンの開幕を10月に控えるなか、ダルトン氏は新規契約の詳細を明かさなかった。彼らがどこと契約を結んだのかは、来シーズンの開始とともに明らかになる。

セルティックスの広告支出についても、氏は内訳を明かさなかった。カンターの調査によれば、2021年、ボストン・セルティックスの広告費は36万ドル(約4680万円)と、2020年の31万ドル(約4030万円)から大幅に増加した。ただし、ソーシャル関連費については、カンターの調査範囲でないため、これに含まれない。また、2020年の調査によれば、TVスポットCMが最も高額なメディアであり、2021年から現在まで、同チームの広告支出はインターネット、モバイルウェブ、新聞への露出が主となっている。広告の数は、各スポンサーとの契約に基づいて上下する。

リニアTV視聴が減少する一方で、視聴者の圧倒的大多数は依然、スポーツを観ている。「実際、毎年、視聴率トップ100の番組の内、実に90以上をいまもスポーツが占めている」と、ダルトン氏は現況を話す。この調査結果だけでも、スポンサーに売り込みをかける際、セルティックスの背中を押してくれるのは間違いないだろう。

とはいえ、従来のメディアに留まらないかたちで広告主を統合する方法を見つけることが、リニアTVにおいて身に降りかかりうる「いかなる類の損失からも身を守る」ための一助になることも確かだと、ダルトン氏は言い添える。「デジタルと従来型の完全なる統合。それこそがビスタプリントに、そして自身のブランド名をNBA関連の場に出したいと考えている全パートナーのために、我々が実現しなければならないことだ」。

オーセンティシティが鍵

スポンサーブランドに関わるすべての人にポジティブな経験を持ち帰ってもらうことが必須であり、その点をボストン・セルティックスは明確に認識している。そしてその意識に基づく戦略は、消費者と良好な関係を育む必要性を感じているブランド勢にとって、大いに価値を持つ。

「オーセンティシティこそが、ブランドとコミュニティとの強い関係性作りの鍵となる」と、ジョンソン&ジョンソン(Johnson & Johnson)やマイクロソフト(Microsoft)を顧客に持つ広告エージェンシー、メタフォース(Metaforce)の創業者/CEOアレン・アダムソン氏は指摘する。

[原文:‘Some real-time adjusting’: How the Boston Celtics are working with advertisers

Julian Cannon(翻訳:SI Japan、編集:分島翔平)

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