負け組の自己責任「イカゲーム」 – 飯田香織

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はやりものには理由があると思っております。

ネットフリックスがオリジナル作品として配信している韓国ドラマ「イカゲーム」の世界的な大ヒットは、“負け組”の広がりを受けて資本主義に対する批判が共感を呼んでいることが背景にあるそうです。

欧米メディアがいっせいにこの番組の内容と流行の背景を報じています。

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The EconomistはSouth Koreans are bemused by the global success of “Squid Game” – Yet its theme of social injustice is a globally appealing one(韓国ではドラマ「イカゲーム」の世界的なヒットに困惑が広がるも、社会の不公正というテーマは世界的に共感できる)の中で、ネットフリックスがオリジナル作品「イカゲーム」の配信を始めた先月、韓国の市民はサバイバルゲームの物語がひどくつまらないものだと思ったものの、世界のほぼ全ての国でナンバーワンとなる大ヒットになったと伝えています。

「イカゲーム」は韓国のこどもたちが校庭でするような遊びの名前で、ゼッケンがついた緑色の学校ジャージを着た借金漬けの男女456人が456億ウォン(約45億円)の賞金を求め謎の集団に導かれてサバイバルゲームに参加し、それをシャンデリアのあるような部屋でVIPが鑑賞するという内容で、ファン・ドンヒョク監督は現代の資本主義についての寓話だと説明しているということです。

残忍な描写が話題となり韓国国内では一時ナンバーワンになったものの、その後、ラブコメ「海街チャチャチャ」に抜かれたそうです。

一方、韓国以外ではぐいぐい人気を伸ばし、その理由として▼暴力的なエンタメ要素と▼流行の資本主義批判が相まって、フランス語のドラマ「ルパン」を抜いて非英語ドラマとしてネットフリックス史上最大の視聴者を獲得できる見込みだとしています。

Washington PostはDear ‘Squid Game’ fans, please stop calling the phone number shown in the series(「イカゲーム」ファンの皆さま、番組に登場する電話番号にどうぞかけないでください)の中で、ドラマで主人公が受け取った招待状に書かれた電話番号が実在し、この番号を10年以上使っている女性に4000回以上電話がかかってきたと伝えています。

これについてネットフリックスは6日、「制作会社とともにドラマから電話番号を削除するなどの解決に取り組んでいる」と話したそうです。

ファン・ドンヒョク監督が脚本を書き出したのは10年以上前で、金融破産して“人生崖っぷち”の456人が謎の場所でこどものゲームをし、負ければ命を落とすという内容のドラマで、公開からわずか10日で90か国以上でナンバーワンになったということです。

Bloombergは’Squid Game’ Takes Korean Soft Power Up a Notch, And It’s Good for Economy too(「イカゲーム」で韓国ソフトパワーの存在感が一段と増し、韓国経済にとって良好)の中で、韓国経済は製造業で知られるが、ネットフリックスの「イカゲーム」の世界的なヒットにより韓国のソフトパワーが経済を牽引するような存在にまで成長していると報じています。

ネットフリックスは先月、2016年から2020年にかけて韓国で1万6000のフルタイムの雇用を生み出し、47億ドル(約5200億円)を韓国経済に上乗せしたという推定を明らかにしたとのことです。

2020年にアカデミー賞の作品賞を取った韓国映画「パラサイト 半地下の家族」同様に借金に苦しむ“負け組”を主人公にし、命を賭けたサバイバルゲームを展開しているとしています。

韓国経済の中でコンテンツ産業が占める割合はまだ小さいものの、半導体、機械、自動車、鉄鋼、造船、コンピューターに次ぐもので、着実に伸びていると指摘。

コンテンツの輸出は去年、108億ドルとなり半導体輸出の10分の1に過ぎないものの、それでも家電や化粧品を上回っているということです。

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