Twitter 、広告収益化の再建のためプログラマティック広告に進出

DIGIDAY

逆境に置かれるTwitterの広告ビジネスだが、今また新たな展開を迎えている。

リンダ・ヤッカリーノ氏を新CEOとして任命し、同社は会社として一つの態度を打ち出した。Twitterを「出稿先としてハイリスク」と見なしていた最大のメディアバイヤーであるグループM(GroupM)も、同プラットフォームによるこの動きに注目し、広告主が持つ(Twitterに対する)懸念を和らげようとし始めた。

一方、同社の広告部門は困難に直面しながらも、粘り強く前進している。最近ではアドテクベンダーとの契約を完了させており、これによって継続的な広告収入減少を抑制できるかもしれない。

唯一のアドテクベンダーはインモビ

5月13日から、Twitterはモバイルアドネットワークのインモビ(Inmobi)を通じて広告在庫を販売している。この取り決めが排他的なものであることは、Twitterのads.txtファイルを開くと分かる。インモビが、唯一のベンダーとして認可されているのだ。

事情に詳しい広告エグゼクティブによると現在、インモビとのパートナーシップは、ひとつのテスト市場に限定されているようだ。しかし、このような取引によくあるように、時間をかけながら対象となる市場を追加しつつ展開する予定とのことだ。

イーロン・マスク氏が引き金となって長期間、広告支出先として避けられるようになっていたTwitterだが、これが実現すれば広告支出が同プラットフォームに戻るのを助ける可能性がある。

インモビのようなアドテクベンダーの仕組みを理解すると、その理由が分かる。インモビは、世界最大のモバイル広告マーケットの一つだ。マーケターたちは同社が所有する技術を通じて、モバイルデバイスを使用する人々に対してリアルタイムで入札する。これが、1日に何十億回も行われる。

このことから、自社の広告枠に対する需要がなく、それを引き出すための内部の専門知識も十分にないTwitterが、インモビのようなビジネスに頼る理由は明らかだ。

なぜプログラマティックに進出するのか

「Twitterがこのアドテクの道を選ばざるを得ないのは、ポリシーやコンテンツモデレーションの変更、そして人員の喪失を経たいま、広告収入を強化するためには、可能なすべての道を探らなければならないからだ」とeマーケター(eMarketer)のデジタル広告とメディア部門シニアアナリスト、エヴリン・ミッチェル氏は語る。

同社の広告事業はこれまでも複雑な道を経てきたが、その最新の展開が今回のプログラマティック広告進出となる。

これまで、Twitterは広告在庫を、リアルタイムのオークションで価格が決定されるオープンマーケットプレイスで広告主に提供したことがなかった。

それどころか、広告在庫は2013年に買収した広告エクスチェンジ(つまり、プログラマティックマーケットプレイス)であるモーパブ(MoPub)を通じて販売していた。また、その広告はタップコマース(TapCommerce)と呼ばれる別のベンダーからしか購入できなかった。

つまり、基本的には囲い込みが行われている他の大手テック企業のように、極めて閉鎖的な市場だった。しかし、インモビとの取引は潜在的な変化を示唆している。今では、Twitterは自分自身が所有していないマーケットプレイスを通じて広告を販売し(いまのところまだ一部に過ぎないものの)、直接関与していない広告主を収益源としてターゲットにし始めた。

低品質な在庫だと思われる?

このような動きは大規模に行われた場合に効果的なので、一つの市場で止める意味はない。Twitterもこれを理解しているようだ。情報源によると、同社の広告部門エグゼクティブたちは最初からプログラマティックのパートナーにスケールを求めていたという。彼らは、グローバルなアプリ内広告に精通したパートナーを求めていたと、情報源は続ける。

インモビはコメントを控えている。

長期間の停滞と不確定な状況が続いた後、Twitterの広告ビジネスは動きを見せているようだ。しかし、この展開が本当の進歩を示しているのか、それとも単に不活動状態からの脱出だけなのかは疑問の余地が残る。Twitterが広告主を説得し、この取り組みに参加させられるかどうか、今後明らかになるだろう。

「私がTwitterについて心配しているのは、一部の広告主にとってオープンエクスチェンジでのプログラマティック在庫が低品質だという認識があることだ」とミッチェル氏は述べている。

[原文: With advertising in flux, Twitter is outsourcing ad monetization to ad tech ]

Seb Joseph, Krystal Scanlon and Ronan Shields(翻訳:塚本 紺、編集:分島翔平)

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