家庭用フレグランスの バス&ボディワークス 、新領域で商品拡充:「ウェルネス市場にはまだ成長の余地がある」

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バス&ボディワークス(Bath & Body Works)は、売上拡大を求めて、キャンドルや石鹸以外の商品にも目を向けている。

家庭用フレグランスの大手である同社は5月22日、ランドリー用商品を今秋に発売すると発表し、同社のロイヤルティプログラムのメンバーに対して、どの香りをラインナップに入れてほしいか投票するよう呼びかけた。この動きは、同社が、モイスチャークリームからヘアマスク、ダイエット用サプリメントまであらゆる品目を扱うモクシー(Moxy)という新しいパーソナルケアブランドを昨秋に発売したのを受けたものだ。さらに多くのボディケア用品の発売が予定されており、同社は560店舗でヘアケア用品を販売するとともに、今夏にはオンラインでも発売すると言明している。

同社はパンデミックのあいだ、人々が最初は手指消毒剤を、そのあとでは自宅を飾るためのキャンドルを求めて同社のウェブサイトに押しかけたことから、売上が爆発的に伸びた。しかし今年になり、インフレの渦中で、キャンドルや、そのほかの家庭用装飾品への関心が冷めたことから、売上が良くて横ばい、悪ければ収益が1ケタ中盤の減少になると予測している。結果として同社は、売上を増やすため新しいカテゴリーに進出し、同社の象徴的な香りを主体とした製品開発を考えている。

男性向け商品も拡充

「当社は、当社の強みである香りとイノベーションを活用し、隣接カテゴリーに当社の商品のリーダーシップを拡大することに注力している」と、バス&ボディワークスのプレジデントを務めるジュリー・ローゼン氏は、5月中旬に行われた同社の2023年度第1四半期の決算発表で語った。第1四半期における同社の純売上は約14億ドル(約1950億円)で、前年同期と比較して4%減少した。

これまで、同社はロウズ(Lowe’s)のようなほかの小売業者と同様に、自社ウェブサイトを使って新しいカテゴリーをテストし、もっともパフォーマンスの高いものを店舗で販売するという経路をたどってきた。たとえば、昨夏には、ヘアケア商品を初めてテストした。これらの商品の成績が良かったため、今夏から560の店舗にヘアケア商品を導入すると発表した。このなかには、同社を象徴する5つの香りのシャンプーやコンディショナーが含まれるという。

男性向けも、同社にとって有望なカテゴリーとなっている。同社は、自社の男性向け事業がこの3年間に50%近くも成長したと語っている。同社は父の日(Father’s Day)に先がけて、ビアードオイル(髭油)や洗顔剤などのグルーミング用品を、フレグランスからスタートした男性向け商品のラインナップに追加した。CEOを務めるジナ・ボズウェル氏は第1四半期の決算発表で、今年後半には、ヘアケアおよびシェービング用品を男性向け商品の品揃えに加えるとも語った。

ロイヤルティの醸成

ジェーン・ハリ・アンド・アソシエイツ(Jane Hali & Associates)のシニアリサーチアナリストを務めるジェシカ・ラミレス氏は、バス&ボディワークスのカテゴリー拡大戦略は、ウェルネスカテゴリー全体の成長をうまく取り込もうとしているようだと語っている。基本的に、キャンドルから栄養補助食品、スキンケアまで、「ウェルネス」商品と呼ばれるものが増えれば増えるほど、バス&ボディワークスのような企業はその分野で成長できる領域が増えることになる。

「ウェルネスというカテゴリーには、成長する余地がたくさんあると考える」と、ラミレス氏は述べる。同氏によると、バス&ボディワークスは主力商品のなかでウェルネスに特化するため、より多くのマーケティング用語を使用する場合もあるという。たとえば、キャンドルやフレグランスが、人々の睡眠をより良くし、リラックスさせるというような話だ。

バス&ボディワークスは心をなごませるような香りを得意としており、新商品ラインへの関心を集めるため、フレグランスについての専門技術を活用することが多い。たとえば同社は、ランドリー用品の発売にあたり、ロイヤルティプログラムのメンバーに14種類の香りの中から好きな香りを選んでもらい、衣類ケア用品にもっとも使ってほしい香りを投票してもらうことにしている。

もっとも得票数が多かった5つのフレグランスは、最初にロイヤルティプログラムの会員に対して独占的に販売される。ロイヤルティプログラムの成長も、同社にとって最優先事項だ。同社は現行のロイヤルティプログラムを昨年8月に立ち上げたが、現在では3700万人の会員を抱え、米国での売上の3分の2に相当すると、同社は述べている。

「同社は、もっとも熱心な買い物客と最初に対話するという方針は、素晴らしいものだと思う。もっとも多くのデータが得られるのはその層からだ」と、カンター(Kantar)の小売インサイトのディレククターを務めるティファニー・ホーガン氏は述べる。しかし同氏は、もし同社が新しいカテゴリーの立ち上げを、より多くの人々をロイヤルティプログラムに取り込むためではなく、もっとも熱心な顧客がより多くの商品を購入してもらうためだけに利用するのは、「限界に突き当たる可能性がある」とも述べている。

余った10ドルの使い道

インフレが続き、一部の人々が支出を控えるなかで、新しい商品を売り出すのは難しいことだ。「買い物客が手頃な価格で十分に使用できる商品を持っているならば、高価格の商品を試してみる可能性は多少低くなるだろう」と、ホーガン氏は述べる。

結局のところ、バス&ボディワークスが買い物客について検討すべきことは、フェイスマスクであれ、キャンドルであれ、人々が余分なお金があるとき、それをどの分野で使う可能性が高いのかということだ。「その10ドル(約1390円)を食料品に使うのか、外食のときのサービスに使うのか。要するに、その10ドルを別の目的に使うのか、ということだ」と、ラミレス氏は述べている。

[原文:Bath & Body Works is expanding into new categories like laundry and hair care]

Anna Hensel(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Bath & Body Works

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