ブランドの課題を議論。ソーシャルコマースはまだ魅力的なのか? 販売の落とし穴を探る【Glossyサミットレポート】

DIGIDAY

6月6日から8日までフロリダ州ネープルズで開催されたGlossyフューチャー・オブ・ファッション&ラグジュアリーサミットでは、ファッションや美容業界のエグゼクティブが集まり、Z世代へのマーケティング、困難な小売業界の状況を乗り切る方法、VCマネーを取らずにブランドを育成することなどをテーマに議論した。

6月8日の朝、アルドグループ(Aldo Group)、スカンランセオドラ(Scanlan Theodore)、アンソロポロジー(Anthropologie)のエグゼクティブがワーキンググループを結成し、卸売やD2C、それぞれのチャネルを通じた販売の落とし穴と戦略について話し合った。

ソーシャルコマースは依然として魅力

何人かの参加者は、インスタグラムShopのようなプラットフォームを通じてソーシャルコマースを推進する際の課題について語った。2020年にローンチしたインスタグラムShopは、アンソロポロジーやレイバン(Ray-Ban)など、いくつかの大手ブランドが利用しているが、ほとんどはもっと小規模なブランドの領域となっている。ある参加者は、このツールで頻繁に問題を経験したと話す。たとえば、顧客が購入時に住所の更新を忘れてしまい、間違った場所に商品が発送されることがよく起こる。この問題に対処することは、必然的に特に資源を集中的に消費するラグジュアリーなパッケージのブランドにとっては大きな負担となる。

オーストラリアのブランド、スカンランセオドラの米国のCEOメリンダ・ロバートソン氏は、同ブランドではインスタグラムShopをレベニュードライバーとすべきか、ブランド認知のためのものとすべきか、まだ見極めようとしている最中だという。

「ショッピングのためなのか、ブランディングのためなのか。私たちは北半球と南半球の両方で販売しているので、つまりオーストラリアで冬服を売っている時期に、米国やヨーロッパでは夏服を同時販売しているので厳しい。最適な活用方法がわからないのでインスタグラムShopからは離れつつある」。

だが、出席した他のブランドエグゼクティブは、ソーシャルメディアプラットフォーム、すなわちインスタグラムとTikTokが若い顧客に最高のアクセスを提供していることから、ソーシャルコマースは依然として魅力だと述べている。

「ショウフィールズ(Showfields)やネイバーフッド・グッズ(Neighborhood Goods)のように、ミレニアル世代をターゲットにした体験型のマーケットプレイスはあるが、Z世代向けの同様のものが存在しない」と、ある出席者は言う。「それこそ今、当社が探しているものだ。ネイバーフッド・グッズと同じような形でZ世代をターゲットにした次世代のものは何だろう」。

経済状況による卸売りの問題

卸売に関しては、小売業界が最近直面したいくつかの問題に脅威を感じていると語るブランドエグゼクティブもいた。

「JCペニー(JCPenney)からアプローチされたが断った」とあるブランドエグゼクティブは言う。「ここ数年であまりにも多くの大手企業が倒産しているため、大口注文を契約して、もしその取引先が倒産したら大量の商品があるのに代金を受け取ることができないのではないかと不安になった。こういうことが問題になるのは、もどかしい」。

別の参加者には、こうした問題を緩和するかもしれない解決策があった。彼女のブランドでは、商品が生産に入る前に卸業者から注文金額の30%を受け取るようにしているという。そうすることで、何らかの理由で注文がうまくいかず、ブランドが在庫を抱えることになったとしても、少なくとも費用の一部はすでに回収していることになる。

卸売りとD2Cの価値は異なる

D2Cの側面では、ブランドのウェブサイトへのトラフィックを増やすことが直販のもっとも難しい部分のひとつだというのが、参加者の一致した意見だった。マークダウンやプロモーションは理想的ではないと何名かの出席者が述べる一方で、あるエグゼクティブは「グッドモーニング・アメリカ(Good Morning America)」のような日中のテレビ番組のお買い得商品紹介コーナーという例外があると話す。

「『グッドモーニング・アメリカ』のお買い得情報コーナーで紹介された。それは30秒のスポットだったが、16万ドル(約2228万円)以上の売上につながった。50%ディスカウントだったが、たくさんの新規顧客をブランドにもたらし、その後多くがリピート顧客になったので、じゅうぶんな価値はあった」。

最後に、ある参加者は議論全体の重要なポイントを簡潔にまとめた。「最終的に卸売りとD2Cは、積極的に異なるスキルセットを必要とし、異なる価値観を持っている。卸売りは有効性とリーチのためであり、小売業者と良好な関係を築く必要があるが、D2Cはファーストパーティデータを取得するためのもので、多くのマーケティング知識を必要とする。本当に自社の強みが何かという点に注力すべきだ。数年前までは誰もがAmazonで販売していたが、うまくいっているのはごく一部だった。ほかのすべてのブランドがやっているからといって、自分たちがうまくできないことをやる意味はない」。

[原文:Glossy Summit Report: Social commerce, wholesale threats and DTC margins top brand challenges]

DANNY PARISI(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)

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