美容ブランドが ランドリーケア製品 に力を入れる。美化の概念が拡大

DIGIDAY

美しさは、見る人の目のなかにあると言われるが、いまは、ランドリーバスケットのなかにもあるようだ。

最近、美容ブランドはビューティフィケーション(美しくあろうとすること)の概念を洗濯用洗剤のローンチにまで拡大しており、直近ではドクターバーバラシュトルム(Dr. Barbara Sturm)、デッドクール(DedCool)、バス&ボディワークス(Bath & Body Works)などのブランドが参入した。刷新を必要とする昔ながらの領域において、美容業界は2020年以降、プレミアムブランドを活用しようと、キャンドルや加湿器シャワーヘッド掃除用品に至るまで、家庭内のあらゆる領域に関心を寄せてきた。そして、ザ・ランドレス(The Laundress)の製品回収を受けて(現在はリニューアル中)、見た目も機能面でも「素敵な洗剤」というポジションには空きができた。エキスパートマーケットリサーチ社によると、北米の洗濯用洗剤の市場規模は2021年に120億ドル(約1683億円)近くに達し、2024年には2020年比で8%成長することが予想されている。

「洗濯用洗剤には数多くの化学物質が含まれることがあり、常に気がかりなもの」と語るのは、5月11日に洗剤を発売したばかりのバーバラ・シュトルム医師だ。自身の名を冠したこの高級ブランドは抗炎症を主軸としており、皮膚の表面層に用いる製品、お茶やサプリメントなど、体外と体内の両方に向けて展開している。同氏はこのブランドを「クリーン」だとは言わないものの、より安全な成分を使用し、合成香料や着色料、マイクロプラスチック、強力な防腐剤を使わないという点をポリシーにしている。

「平均的な洗濯用洗剤には染料、香料、殺菌作用のある化学物質などが含まれている。これらは肌への刺激が強く、肌の敏感さによって軽度のアレルギー反応から接触皮膚炎まで、さまざまな症状を引き起こす可能性がある」と同氏。「スキンケア、食事、ライフスタイルなどを通して、より健康的な生活を送りウェルビーイングを高める新しい方法を、当社の顧客は常に探している」。

さらに、より優れた香りの洗濯用洗剤を探す一部の消費者もいる。従来ながらの洗濯用洗剤は、新鮮なリネン、柑橘類、あるいは曖昧なフローラル系の香りによって、フレッシュさや清潔感を想起させる。しかし美容の世界では、評判や品質が高いフレグランスのポートフォリオを持つブランドが、洗練された顧客にアピールできる。メゾン フランシス クルジャン(Maison Francis Kurkdjian)は今年の初めに、濃い色用と薄い色用の洗剤をそれぞれ45ドル(約6,270円)で発売した。続いて高級ヘアケアブランド「ウェイ(Ouai)」が人気の香り「メルローズプレイス(Melrose Place)」を用いた洗剤などで、ユニセックスのフレグランスブランドであるデッドクールと提携し、期間限定で販売した。そしてバス&ボディワークスはこの秋、独自の製品ラインを発売予定だ。

「デッドクールの目標と目的は、香りの世界で新しい体験を生み出すこと」と、同ブランドの創設者であるカリーナ・チャズ氏は語る。「多くのフレグランスブランドが家庭用品を開発しているが、自分たちなりのアプローチをしたかった。私たちは、あらゆるタイプの消費者にアピールしたいと考えている。パーソナルフレグランスをつけたくない人であれば、洗濯用洗剤を活用することが可能だろう」。

デッドクールが初めてランドリーケア領域に事業を拡大したのは2020年3月のことだったが、COVID-19のロックダウン期間に洗濯用洗剤や家庭用の掃除用品がどれほど人気になるか、チャズ氏には分からなかったという。その後デッドクールは洗濯用洗剤の配合に改良を加え、2021年夏にリローンチしている。

ウェイはもともとヘアケア領域で誕生したブランドだが、その香りへの評価は高い。P&G傘下のウェイはこれまでも、ノースボンダイ(North Bondi)やメルローズプレイスなど同ブランドを代表する香りを用いたキャンドルやパーソナルフレグランスを発売してきた。デッドクールとの提携にあたっては、メルローズプレイスのピュアフレグランスをデッドクールに送り、それをデッドクール側がベースとなる洗濯用洗剤に加えた。ウェイはOuai.comで販売するため、デッドクールから商品を原価で購入している(ユニット数については非公開)。それ以外には両社間で金銭的な取引はなかったとチャズ氏は話す。洗剤の価格は35ドル(約4870円)だった。

発売プロモーションの一環としてデッドクールはピンク色のポップアップトラックを、カリフォルニア州ヴェニスのメルローズプレイスやアボットキニー通りに設置し、道行く人々に花と洗剤のサンプルを配った。配布したサンプル数は1000点を超える。チャズ氏は限定商品をどの程度用意したのかについては明らかにしなかったが、デッドクールの消費者向けECサイトでは3日以内に、Ouai.comでは10日以内に全商品ユニットが完売したという。

「志を同じくするブランドとは今後とも協力することで、私たちのストーリーを高めて伝え、これら大手ブランドが新製品をテストできるようにしていきたい」とチャズ氏は語った。

[原文:Beauty brands zero in on laundry care

EMMA SANDLER(翻訳:田崎亮子/編集:山岸祐加子)

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