フットロッカー苦戦も、 ディックス は「シューズ好調」で純利益2ケタ増:スポーツ小売の第1四半期業績

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収益に関していえば、ディックススポーティンググッズ(Dick’s Sporting Goods)は楽勝の状態で今年度をスタートした。そして、その成功に大きな役割を果たしたのがフットウェアだ。

同社は5月23日、2023年度最初の四半期で、純売上が前年同期比5.3%増の28億ドル(約3940億円)に達し、純利益は17%増の3億500万ドル(約430億円)に達したことを報告した。既存店売上高も、昨年同期と比べて3.4%増加した。

スポーツ用品など自由裁量カテゴリーへの需要は減速したが、ディックスは競合他社とは異なり、勢いに乗ることに成功した。たとえばフットロッカーは5月19日、税還付の減少の減少と、需要の低迷を理由に、通期の目標値を引き下げた。ディックスは「マクロ経済の不確定性」を認めているものの、今年の残りの期間については楽観的で、2023年の年間見通しを維持している。同社の成功への鍵は、商品の強固な品揃え、アスリートとの関係、イノベーティブな店舗業態の組み合わせだと、同社は述べる。フットウェアもまた、店舗とオンラインの両方で顧客に非常に人気がある。

プレジデント兼CEOを務めるローレン・ホバート氏は、23日の決算発表で次のように述べた。「当社の戦略は成功し、当社のアスリートとうまく共鳴している。我々は、当社の事業と長期的な成長計画について、熱意をもって取り組み続けている。米国最大のスポーツ用品の小売業者として、我々は成長への強固な道筋があり、多数の業者が乱戦する1400億ドル(約19兆7000億円)の業界でシェアを獲得し続けることができる位置にいる」。

フットウェアの好調

ディックスは、アパレル、テラスの家具、カヤックなど、いくつかのカテゴリーにわたって、何千もの商品を販売している。しかし、フットウェアはもっとも成功したカテゴリーのひとつになってきた。このカテゴリーは現在、同社のマーチャンダイジング戦略の「重要な部分」だと、ホバート氏は語る。

「当社において、フットウェアはこの四半期を通して非常に堅調で、非常に強く業績に貢献してきた。フットウェアは列車を動かすエンジンだと考えている。フットウェアは、当社の品揃え全体の非常に重要な部分で、売上の原動力でなくなることは考えていない」と、同氏は述べている。

ディックスは前四半期に、20の店舗をプレミアムのフルサービスフットウェアを扱う店舗に変更した。同社は、年末までに店舗の75%でこのサービスを提供することを目標としている。

ディックスの品揃えの魅力

ほかの小売業者とのあいだで最近結んだ契約も、ディックスの品揃えと売上の伸びを後押ししている。同社は2月、ウォルマート(Walmart)から、スポーツ用品会社のムースジョー(Moosejaw)を非公開の金額で買い取った。ナイキ(Nike)は2021年11月に、自社のロイヤルティプログラムとディックスの会員プログラムを統合し、よりつながりのあるショョッピング体験を提供するとともに、ナイキの限定スタイルや店舗内イベントを提供すると発表した。現在、ディックスとナイキとの関係は、「これまでで最高に強まっている」と、ホバート氏は語る。

ウェドブッシュセキュリティーズ(Wedbush Securities)の株式調査担当のマネージングディレクターを務めるセス・バシャム氏は、ディックスが顧客にとって際立っているのは、ディックスがほとんどの小売業者が持っていない商品を提供しているためだと、米モダンリテールに語った。「商品の品揃えに関して、需要が多く、かつより狭い範囲で流通している商品を獲得している。それによって、消費者と同社との関係が促進されている」と、同氏は説明する。

大型店舗の出店を加速

またディックスは、小売実店舗の拡大でも前進している。同社の店舗戦略の多くは、ロッククライミング用の壁や、バッティングケージ、パット練習用グリーンなどを備えた大型店舗「ハウスオブスポーツ(House of Sport)」を中心に展開している。同社のハウスオブスポーツ店舗は全国に3店舗あるが、新学期シーズンの前に9店舗をオープンする計画だ。また同社は、さらに10店舗以上のハウスオブスポーツ店舗の建設に着手しており、これらは2024年中にオープンする予定だ。

「ハウスオブスポーツは、スポーツ小売店を再定義するもので、長期的には当社の成長ストーリーの大きな部分を占め、当社の店舗面積拡大の主要な誘因となる」と、ホバート氏は語る。同氏は、ハウスオブスポーツがほかの方法よりも「はるかに多くの売上と利益」をもたらすと指摘し、同社は2027年までに全国で75〜100店舗のハウスオブスポーツを開設する計画だと述べている。

個人消費の減速にどう対応するか

バシャム氏は、ディックスの収益に満足しており、同社が「市場が懸念していたよりも、はるかに強固だ」と述べる。次の四半期に向けて同氏は、個人消費の減少が同社にも及ぶかどうか、そして同社が、ますますプロモーションが強まっていく環境下でどのように対応するかを注視していく。

全体として、「ディックスは素晴らしい仕事をしている。同社は人々が期待していたよりも、市場シェアを獲得し、利益を確保している。そのため、消費者の支出が厳しくなっている環境において、同社の状況は比較的明るい話だといえる」と、同氏は述べている。

[原文:While Foot Locker fumbles, Dick’s Sporting Goods sees growth from footwear]

Julia Waldow(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)

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