【美容品責任者に聞く】ビューティーブランドが スナップ のARツールを導入したがる理由:「我々はスナップ世代が美容品について学ぶ拠りどころ」

DIGIDAY

こちらは、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です
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スナップ(Snap)は、拡張現実(AR)での影響力の拡大をめざして、美容品ブランドとの大規模なパートナーシップの締結を続けている。

同社は5月下旬、日焼け止めブランドのスーパーグープ(Supergoop)や、マニキュアブランドのOPI(オーピーアイ)とのつながりで、新しいトライオンツールの運用を開始した。スナップのユーザーは、スーパーグープの新しいリップ商品で、赤や紫など4種類の色合いからなるリップシェード(Lipshade)を、イチゴ畑や花市場などのバーチャル背景の前で試すことができる。一方、OPIの利用者は、スマートフォンの画面に手をかざすと、マニキュアの色が自分の爪にどのように見えるのかを試すことができる。これらのブランドのライブフィルターは、スナップの言葉ではレンズ(Lens)と呼ばれ、どちらも無料で利用できる。

スナップは2015年にレンズプログラムを開始して以来、アパレルや、自動車、フットウェア、エンターテイメント業界など、小売業のクライアント向けにARツール群を開発してきた。美容品は同社のもっとも大きなカテゴリーのひとつで、過去のクライアントには、カバーガール(Covergirl)、ディオール(Dior)、キールズ(Kiehl’s)、ランコム(Lancôme)、ニックス(NYX)が含まれている。

同社は過去に、ロレアル(L’Oréal)のマスカラのトライオンフィルター、メイベリン(Maybelline)のファンデーションフィルター、エッシー(Essie)のマニキュアのトライオンフィルターを開発してきた。同社によると、アルタビューティー(Ulta Beauty)との商品トライオンツールは3000万回以上も使用された。今年初頭に同社は、最大規模のARツールのいくつかをパッケージ化し、スナップアプリを使用せず顧客のウェブサイトに統合できるようにした。

スナップは最新の決算では多少低迷し、第1四半期の収益は前年同期に比べて7%減少した。CEOのエバン・シュピーゲル氏は決算説明会で、同社が昨夏、3つの主要な分野に注力するよう事業の優先順位を見なおしといい、そのひとつが「ARをリードする」ことだと語った。

同社は、「ARの民主化」を支援し、より広く使用されるようにすることをめざしていると、同社のCPG(消費者向けパッケージ商品)、保健、美容品の責任者を務めるミシェル・ネビット氏は米モダンリテールに語った。米モダンリテールは、OPIとスーパーグープのプレビューイベントで、ネビット氏に、美容品ブランドに対するスナップの取り組みや、同社のARビジネスの仕組みについて話を聞いた。以下の対談内容は、簡略化と明瞭化のため編集を加えたものだ。

スナップのARツールは何を提供するのか、そしてOPIやスーパーグープのような美容品ブランドがこのツールに惹かれる理由は?

当社のオーディエンスがどのような層であるかを思い起こすと、すべてのZ世代の90%、すべてのミレニアル世代の75%にリーチしている。つまり、当社のオーディエンスは、まさにマスリーチであるということだ。月間ユーザー数は7億5000万人に達している。

その結果、我々は美容品ブランドが最初に思い浮かべるデスティネーションになった。アプリにあるすべてのコンテンツについて考えたとき、美容品はスポーツとエンターテイメントに次いで3番目に大きなカテゴリーだ。そして、ARについて考え、この分野で美容品に関して何ができるかを検討したとき、美容品はARを最初に活用したカテゴリーのひとつであるため、美容品分野でさまざまな形でARを取り入れられているのは喜ばしいことだ。

これら2つのキャンペーンについて、私が特に好ましく思っているのは、ARの動的な性質を示しており、それぞれが大きく異なっていることだ。どちらも多くの点で、色や化粧品に焦点を当てたものだが、スーパーグープの場合は利用者が自分を変身させて異なる環境に身を置くことで、ブランドを真に理解することができる。ARがフォーマットとして優れている点は、圧倒的な没入感だと思う。ブランドが、ブランドへの親近感や、ブランドの価値を築き上げようとするとき、より多くの経験を提供できることは重要だ。

一方で、OPIが行っているのはシンプルなバーチャルトライオンだ。これはさまざまな色を試すのに最高の方法だ。この方法が特にすばらしいのは、我々の新しいネイルセグメンテーション技術を使用していることだ。それにより、色だけではなく、テクスチャーやデザインなど、そのほか多くのものを試すことができる。利用者がカメラの前に自分の爪を出すと、さまざまな光のもとでどのように反射するのかを実際にたしかめることができる。

より多くの美容品ブランドを引き入れることについて、どのように考えているか?

ビジネスという観点から、当社のプラットフォーム自体は成功している。当社のコミュニティは活発だ。このカテゴリーのブランドが私たちに来るのは、我々が、スナップ世代の消費者にとって美容品について学ぶための拠りどころになる場所だからだ。

広告キャンペーンにおけるARについて述べるなら、当社はこれが動画と同様に、ユニバーサルなフォーマットだと考えている。これは、自社のストーリーを語るときに使えるすばらしい方法だ。したがって、当社は、広告主が当社プラットフォーム上でコミュニケーションを行う方法の一部としてARを取り入れられるよう、広告主と協力することができて嬉しく思っている。

ブランドが選択できるパッケージはあるか? そのコスト構造はどのような仕組みなのか?

これは、当社マーケットプレイスの美点だと思っている。オークションで利用可能だ。ブランドは動画の広告を購入するのと同様にARを購入し、オーディエンスを設定できる。動画広告と同様に、さまざまな設定を試すことができる。

今年はARで何を達成しようと思っているか?

我々は、あらゆる人々がARを持つべきだと信じている。美容品の場合、ARは単なるバーチャルトライオンという枠を超えるだろう。消費者がARで商品を試せば、実際に購入する可能性が高くなることが判明している。また、返品の確率が下がるという調査結果もある。つまり、ビジネスへの影響という点で理想的なエコシステムになる。

スナップはX世代やほかの世代とつながるために何かを行っているか?

良い質問だ。25歳以上の層は実際のところ、当社のオーディエンスでもっとも急速に増えているセグメントだ。そのため当社は常に、この層にリーチする方法を探している。当社のブランドの多くは、この層のオーディエンスとつながることを求め、そのために当社プラットフォームを活用しようと考えている。

[原文:Snap’s head of beauty on building AR tools for brands like Supergoop and OPI]

Julia Waldow(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Snap

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