オレイが50ドル!? ドラッグストアの美容製品の 高価格化 にショックを受けるTikTokersたち

DIGIDAY

「信じられないものを見た。オレイ(Olay)の新製品の敏感肌用SPF30ミネラルサンスクリーンだが、50ドル(約6800円)もするなんておかしい。どうかしている」。最近、TikTokにそう投稿したのは、ヒューストンの皮膚科医アンドレア・スアレス医師だ。ウォルグリーン(Walgreens)と思しき場所で撮影された、1.7オンス(約50ml)の製品の価格が高額であることを発見したその動画は、買い物客がドラッグストアの美容製品売り場で経験している値札ショック(値段の高さに驚くこと)に関する最新の表現だ。

インフレによって美容製品の価格が上昇し続けており、価格を意識している消費者にアピールしているドラッグストアブランドの製品も例外ではない。米国消費者物価指数によると、2022年3月から2023年3月の間に、化粧品価格は4.2%、パーソナルケア製品価格は8.7%上昇した。デュープ(dupe:高額商品と同様の効果を低価格で得られる商品のこと)やお買い得商品比較に力を入れている美容インフルエンサーのおかげで、美容消費者のコスト意識も商品の価格とともに高まっている。

TikTokに27万9000人以上、インスタグラムには46万4000人以上のフォロワーがいるスアレス医師は、6万6000ビューとなっているその動画で人々の神経を逆なでした。動画には「驚きのあまり声が出た!」「こういうドラッグストアの値段はおかしい。最近のドラッグストアのスキンケアアイテムはどれも15(約2000円)から25ドル(約3400円)!!! こんなのアルタの価格だ」というコメントが寄せられている。

ドラッグストアの美容製品の高価格化に嘆く声

ドラッグストアの美容ブランドの「プレミアム化」は、TikTokやオンラインの美容フォーラムで注目の話題になっている。Redditで人気の美容のグループ、ビューティグールーチャッター(BeautyGuruChatter)では、ドラッグストアの価格に不満を持つユーザーからの投稿が頻繁に掲載されている。今年2月の投稿では、あるユーザーが20ドル(約2720円)のニックスプロフェッショナルメイクアップ(NYX Professional Makeup)のプライマーの値段に驚きの声を上げていた。一方、2022年11月の同グループ内の投稿は、ニックスコスメティックス(Nyx Cosmetics)、メイクアップレボリューション(Makeup Revolution)、E.l.f.ビューティ(E.l.f. Beauty)が高くなりすぎていると、「ドラッグストア価格の死」を嘆いている。「15ドル(約2000円)ではもうお得な買い物ができなくて悲しい」という投稿がある。

スアレス医師はコメントの要請に応じなかったが、彼女の背後の棚にはウォルグリーンのロゴがあり、背景にウォルグリーンの看板があることから、くだんのドラッグストアはウォルグリーンの店舗だと思われる。

原材料費や輸送費の高騰が美容価格の上昇に影響している。だが、投稿にある日焼け止めの価格は、ウォルグリーンの価格設定に基づいているようだ。

オレイの担当者によると、オレイセンシティブミネラルサンスクリーンSPF30(Olay Sensitive Mineral Sunscreen at SPF 30)の公式メーカー希望小売価格は29.99ドル(約4080円)だという。同社からGlossyにメールで送られた声明では「価格設定は小売業者の裁量に委ねられており、小売業者の店頭やオンラインでの表示価格について当社はコントロールできない」とあった。オレイのD2Cサイトでは製品価格は24.99ドル(約3400円)だが、現在サイトでは販売されていない。

ウォルグリーンの担当者はメールにて、小売価格は「当社の利便性の提供やさまざまな営業経費を考慮し、場所によって異なる場合がある。当社はウォルグリーンブランドの商品、継続的なプロモーション、そしてロイヤルティプログラムのマイウォルグリーン(myWalgreens)を通じて継続的な価値の提供に努めている」と述べている。

値上げの発表を選択するブランドも

ドラッグストアの美容製品の高値に驚くTikTokの投稿は、カナダを拠点とする買い物客やインフルエンサーのあいだで特に多く見られるようになっている。4月中旬、TikTokインフルエンサーの@carewithkate(フォロワー数5万7000人)は、カナダのドラッグストアであるショッパーズドラッグマート(Shoppers Drug Mart)の美容価格に関する一連の動画を投稿し、バイラルとなった。NPDによる2023年のレポートでは、カナダの美容価格はこの1年で1%上昇したと推定されている。

オレイのマーケティングでは、ソーシャルメディア上で手頃な価格を強調しており、昨年7月のTikTokの投稿では「世の中、値段が高くなっていることはわかっている。でも私たちは手頃な価格であり続けている」と主張していた。2022年5月のTikTokの広告ではインフルエンサーのショーン・アンソニー氏が、ターゲット(Target)で29ドル(約3950円)で販売されている同ブランドのマイクロスカルプテイングクリーム(Micro Sculpting Cream)を「400ドル(約5万4430円)のクリーム」の「デュープ」と呼んでいる。

ほかの価格重視のブランドは、価格を上げてオーディエンスに知らせることを選択している。手頃な価格のスキンケアで知られるオーディナリー(The Ordinary)は、2022年に同様の値上げを行ったのに続き、2023年にも1アイテムあたり平均1.12ドル(約152円)の値上げを行うと発表している。

[原文:$50 for Olay? Drugstore beauty pricing gives TikTokers sticker shock]

LIZ FLORA(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)

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