「当社は黒字化に向かっている」: エバーレーン CEO、アンドレア・オドネル氏

DIGIDAY

CEOのアンドレア・オドネル氏の実績を踏まえるなら、エバーレーンは成長を目前にしている。オドネル氏は、ごく最近までデッカーズ・ブランズ(Deckers Brands)のファッションライフスタイルのプレジデントを務め、アグ(Ugg)の消費者需要やブランド認知度を記録的な水準に押し上げるなどの功績を残した。

「私が入社した当時のアグは、どう考えても世界でいちばんホットなブランドではなかった。寒冷地用ブーツというイメージがかなり強かったので、別の方法でブランドと製品の機会を考えることが私の責任だった」と同氏は語る。「その結果ブームとなった」。

2021年後半にオドネル氏はデッカーズを去り、エバーレーンのCEOに就任した。かつてのCEOだった創業者マイケル・プレイズマン氏は退任し、現在は同ブランドのエグゼクティブ・チェアマンおよび気候担当を務めている。

エバーレーンに惹かれた理由について、オドネル氏は、「大胆で挑発的な思想家」であるプレイズマン氏に負うところが大きいと評している。また、同社の強力なチームや成長の可能性、サステナビリティへの注力についても言及した。

「先進的なブランドでありたいなら、そして現代的で人気のブランドになりたいなら、気候変動に本当に真剣に取り組まなければならない」とオドネル氏は言う。

1年半が経過したいま、会社を次のレベルに引き上げるというオドネル氏の最初のアイデアは実を結びつつある。だが、その道のりは決して平坦ではなかった。1月、エバーレーンは全社員の17%を解雇した。それは主にカスタマーサービスとクリエイティブ・チームのスタッフで、会社からのEメールでは「インフレ環境と景気後退のリスク」によるものとしている。

最新のGlossyポッドキャストのエピソードで、オドネル氏はエバーレーンの定評あるサステナビリティへの焦点と、同氏が描くブランドのスタイルビジョンとのバランスをどのように取ってきたかを説明した。また、黒字化を達成するための計画や事業拡大の取り組みについても語っている。

以下では、ポッドキャストのハイライトを読みやすさのために若干編集して紹介する。

サステナビリティとスタイルの融合

「ブランドの表現を進化させることを真に重視してきた。その昔、エバーレーンのストーリーは、徹底した透明性と破壊的な価格設定で、はるかに左脳的で合理的だった。だが過度に知的であるよりもスタイル重視のほうが購買意欲を掻き立てるため、もっとスタイル主導になってもよいのではないかと消費者から学んだ。そこで、以前よりもスタイルを重視したエモーショナルで憧れの強いブランドになる機会を得て、その方向に進んでいる。

また永遠のワードローブ、時代を感じさせないスタイル、意識的な技能、目的にかなったデザインという考え方に基づいた製品戦略を構築している。これは、おそらく2022年に(チーフクリエイティブオフィサーの)マチルド(メイダー氏)が入社してからずっと取り組んできたことだ。そしてその製品戦略とブランド戦略が、いま市場に出てきているのを目にしている。とはいえ、まだすべての答えを手にしているわけではないし、現在はまだどのような方向に進んでいくのかを感じているところだ。もちろん答えを持っている人など誰もいないーーそうでなければ、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)もあのような主張はしないだろう。とはいえ私たちは正しいことをするために努力している。

当社にとってよい機会なのは、自分たち独自のある種のエコシシテムを正しく捉え、健全な状態にして、現在いる場所から真に成長していくこと。なぜなら、それが有効だという証拠があればあるほどーー消費者を心からワクワクさせ、CO2排出量を実際に削減することで健全で収益性が高く、市場に過剰供給しないサステナブルなスタイルという考え方が存在することを証明できればできるほどーー私たちはより大きな影響力を手にすることができるからだ。それが目的だ」。

黒字化への道のり

「当社は黒字化に向かっている。まさしく力強く前進しており、誇れることがたくさんある。2023年の見通しは、ほとんどのブランドにとってかなり不透明だった。2022年は激動の時代だと考えていたが、2022年の終わり頃に翌年の展望について話をするようになり、12月には教養のあるさまざまな金融関係者からアドバイスを受けたが、さらに悪くなるだろうというのがほぼ一致した見解だった。そこで、また1年間、3歩進んで2歩下がるような大変な仕事をする覚悟をした。だが、2023年度の予算は、マクロ経済環境がよくなるどころか悪化すると言われている状況下でさえも、慎重な楽観主義に基づいて設定している。ブランドの今後の方向性にかなり自信があったし、既存の顧客にとっても、またエバーレーンというブランドを理解していない人、あるいは知らない人にとっても付加価値のある製品だと思っており、ブランドの位置付けも非常によかった。時代を感じさせないスタイルへの回帰やクラフトへの敬意といった時代精神的な瞬間があり、それがすべてのファッションショーに反映されている。ファッションの世界ではいま、さまざまなことが起こっていて、アパレル業界が地球環境に与えている影響を反映しているのか、それとも消費者は長い年月を経たタイムレスで信頼に値するものを求めているという認識に過ぎないのか、いずれにせよ、そうした状況で当社は非常によいポジションにいる。エバーレーンはトレンドに左右されるブランドという表現はしていないが、多くの人々はそこに魅力を感じている。したがって非常に自信を持って今年を迎えている。ワンピースなど、さまざまなカテゴリーでデザイン性をさらに重視した商品戦略があり、また本当に有望な兆しも見えている。こうしたことはすべて、素材やマージンなど、さまざまなレベルでチームが懸命に取り組んできたおかげだ」。

成長と拡大

「今年(の焦点)は、昨年のあらゆる仕事で得たことの結果を出そうとしていて、そのために新たな商品戦略とブランド戦略を打ち立て、さらに優秀なeコマースの新しいリーダーを迎え、いくつかの店舗もオープンした。そんな形で取り組んでいる。2024年は成長の年となる、つまり多角化を目指す予定だ。さらに店舗を増やし、おそらく卸売りを行い、国際的な取り組みに力を入れることになるだろう。米国に重要な機会があることはわかっている。社内で試算してコンサルタントからアドバイスをもらうたびに、当社の市場規模は10億ドル(約1332億円)以上だと言われており、私自身も本当にそうだと信じている。意識の高い多くの消費者にとって選択肢は少ないが、エバーレーンがその選択肢となるだろう。つまり、当社が認知度や考慮すべき点を向上できれば、そしてその一部を店舗のオープンによって実現できれば、米国で目指す市場にアクセスすることが可能になるだろう」。

[原文:Everlane CEO Andrea O’Donnell: ‘We’re on a path to profitability’]

JILL MANOFF(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)

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