Roblox でのキャンペーン急増中。熱狂的美容ファンがブランドを魅了【ビューティ&ウェルネスブリーフィング】

DIGIDAY

美容ブランドはゲーミングの世界へと深く入り込んでいるが、そうしたブランドが注目している最新のゲームがRobloxだ。

Y2K・ミーツ・eガールというスタイルで、あらゆるピンクのものをこよなく愛するリア・アッシュ氏は、美のインスピレーションの源という存在であり、YouTubeに490万人、TikTokには400万人のフォロワーがいる。多くのインフルエンサーがそうであるように、彼女もまた、たとえばピンクのグラデーションを入れたヘアなど、自分のシグネチャールックを模した独自の製品ラインを販売している。しかしゲーミングのインフルエンサーとしての彼女のアイテムは、物理的な世界のためにファンが購入しているわけではない。Robloxのアバター用に購入されているのだ。

「みんなメイクアップが大好きで、ドレスアップしてプリンセスのような気分になるのが大好き」と、アッシュ氏は自分のファン層について語っている。彼女の推定では、ファン層の60%が女性で、40%が男性だ。そうしたファンは自分のアバターのために、アッシュ氏のバーチャルショップに行って、eガールのヘッドフォンをつけたピンクのウィッグや、ピンクの光輪や王冠などのヘアアクセサリーを購入することができる。美容に対する彼女の影響は、現実とバーチャルの世界にまたがっている。彼女はRobloxにインスパイアされたYouTubeの美容チュートリアルを行っており、6月に新しい茶色のヘアカラーを発表した際には、デザイナーに依頼しておそろいのアバターヘアを作っており、まもなく公開される予定だ。

ヘアカテゴリのマーケティングチャンス

アッシュ氏は、オープンソースのゲームプラットフォームにおける美容とファッションへの熱意を以前から認識しているRobloxのインフルエンサーのひとりだ。最近では、ブランドもそこに気づいている。ファッションの参入に続いて、ジバンシイビューティー(Givenchy Beauty)、ヘアダイ・ブランドのハリー(Hally)、eテイラーのファーフェッチ(Farfetch)の新しい美容コーナーといった美容レーベルが、Robloxマーケティングのこのカテゴリーで真っ先にアーリーアダプターとなっている。このゲームの1日の平均アクティブユーザー数5410万人の半数以上がいまでは13歳以上となっており、ブランドは、成長するZ世代のティーンエイジャーや若年層のオーディエンスにリーチするメタバースマーケティングのチャンスととらえている。

Z世代をコアカスタマー層とするハリーは、7月上旬、パステルピンク、パープル、ブルーの新しいeガール風の「ゲーマーガール(Gamer Girl)」ヘアダイセットの発売を記念して、Robloxキャンペーンを展開した。10代から20代前半をターゲットに、今回のローンチは夏休みに合わせている。ハリーの創業者でCEOのキャスリン・ウィノカー氏は、子どもたちは学校が終われば、eガールにインスパイアされた「ファンタジーカラー」をさらに購入すると述べている。今回のローンチの一環として、同ブランドでは、Robloxのゲーム内通貨である25Robuxでユーザーがアバター用にダウンロードできるコレクタブルなヘアスタイルの数々をドロップしている。このキャンペーンのために同ブランドが協力を求めたのは、YouTubeのチャンネルに350万人近い登録者がいるガーリーなRobloxインフルエンサーのミーガンプレイズ(MeganPlays)氏だ。7月13日から17日まで彼女は自分のアバターにヘアスタイルを施し、彼女自身がゲームをプレイする様子を録画してストリーミング配信する。

「(Robloxの)アバターで大きな部分はヘアスタイルなので、ハリーがRobloxのマーケティングに足を踏み入れる本物のスペースがあると感じた」とウィノカー氏は言う。

Robloxではカラフルなeガールヘアが普及しており、このカテゴリーは同プラットフォームでのマーケティング機会が熟している。6月には、ヘアケアブランドのサンシルク(Sunsilk)がRobloxでバーチャルゲームをローンチした。5種類の無料のバーチャルヘアスタイルを集めるというもので、これもミーガンプレイズ氏が宣伝している。

ラグジュアリー美容ブランドも参入

Robloxに参入しているのは、ティーン向けのブランドだけではない。グッチ(Gucci)などラグジュアリービューティも、すでにこのプラットフォームで活躍しているファッションブランドに加わっている。ファーフェッチは、4月に美容部門を立ち上げた際、Robloxとザ・シムズ(The Sims)にアバターでゲーミングクリエイターと協働することを発表した。同月、ジバンシイビューティーは、全体的にブランド化したRobloxのゲームを発表、ユーザーはバーチャルな邸宅のパーティーを歩き回ってダンスをしたり、ポイントや無料のアクセサリーを集めたり、アバターのメイクオーバーを受け取ったり、フォトブースの写真を撮ったりすることができる。このキャンペーンには200万人以上が参加した。

このプラットフォームで「ジバンシイビューティーは最初の美容ブランドになりたいと考えていた」と、同社のRobloxキャンペーンを担当したクリエイティブエージェンシーのコレクティフエキシビション(Collectif Exhibition)のクリエイティブディレクターで、ファッション&ビューティマガジンの「エキシビション(Exhibition)」の創始者でもあるエドウィン・スベロ氏は述べている。彼は、ジバンシイビューティーの「どうぶつの森」とNFTキャンペーンにも携わっており、このブランドはテクノロジーに関して先進的であることやポップカルチャーの実情を正確に把握することを優先している、と付け加えた。

Robloxに通常の広告は求められていない

Robloxのオーディエンスを獲得するために、ブランドは広告のように感じられないアクティベーションをローンチする方法を戦略的に考えている。

「Robloxには、ブランドに対して何か別のものを期待している強力なコミュニティが存在する。本物らしさが求められている。ゲームがどのように機能しているかをブランドに理解してほしいと思っている。このプラットフォームで通常の広告はだれも望んでいない」と、同じくジバンシイビューティーのキャンペーンを手がけたクリエイティブスタジオのライクファイア(Like Fire)の共同創業者コランタン・ピコー氏は述べている。

「リアルなゲームを使うことが、その体験を確実に面白いものにする方法だった」とピコー氏は言う。「私たちのリコメンデーションは、つねにプレイヤーがアイテムをただ獲得できるようなゲームを与える、あるいは提案することであり」、アイテムを購入できることではないとも付け加えた。

急増するブランドのRobloxキャンペーン

カテゴリーを超えた主要ブランドによるRobloxキャンペーンは、この1年で急増している。2021年に上場して以来、Robloxはマネタイズの機会を増やすためにブランドアクティベーションに向けた機能を追加してきた。直近の決算説明会によると、これには認証済みのブランドアカウントや没入型広告システムなどが含まれている。

美容ブランドがRobloxの世界に参入したのは、近年、女性向けのゲーミングにマーケティングの機会があると考えたからだ。ブランドはeスポーツチームのスポンサーになるだけでなく「どうぶつの森」や「ザ・シムズ」などのゲームのアクティビティやアバタールックのスポンサーにもなっている。

「ゲーミングの世界は男性ばかりという多くの偏見がある」とウィノカー氏は指摘した。「こんなにもさまざまな女性や男性がいる中で、ゲームをする女性はたくさんいるし、その多くが美容に関心を持っている」。

アッシュ氏やミーガンプレイズ氏のようなインフルエンサーは、そのつながりを強調するのに役立っている。

「どのメイクアップブランドも、ゲーミングに参入してこのふたつの世界を融合させることを始めるべきだ。なぜなら、ゲーミングにはメイクアップが大好きなもっと多くの女性がいるし、男性もいるからだ」とアッシュ氏は言う。彼女はこの1年でレア・ビューティ(Rare Beauty)、ローラ・メルシエ(Laura Mercier)、ニックスコスメティックス(Nyx Cosmetics)などの美容ブランドからPRパッケージを受け取るようになったという。

「予想外だった。美容ブランドからPRを受けるのは、ずっと私の夢だった。インフルエンサーがそうしているのを見たことがあったので、『PRを受けるにはビューティインフルエンサーにならないといけないのだろう』と思っていたが、いまではそれが変わりつつある」。

ゲームとともにオーディエンスの年齢が上がっている

Robloxの広報担当者いわく、美容愛好家は以前からRobloxで活動しており、「自分の美容のチョイスやメイクアップのトレンドについてチャットしたり、バーチャル美容室に出没したり、現実の世界でお気に入りのメイクを自分のアバターに再現したり、その逆を行ったりしている」。ロイヤルハイ(Royale High)のようなロールプレイング体験には、美容のショッピング体験もあり、「サファイア(Sapphire)」というセフォラ風のバーチャルなビューティストアがあって、おなじみの黒白ストライプのショッピングバッグも用意されている。

Robloxは子どもに人気があることで知られているが、その年齢層はより幅広くなりつつある。2022年5月に行われた直近の決算説明会でRobloxのCEOデイビット・バシュッキ氏が語ったところによると、第1四半期には17歳から24歳のデイリーアクティブユーザーが主要市場で6%増加したという。Robloxの広報担当者によれば、これは同社でもっとも急速に成長している年齢層だという。

「ゲームとともにオーディエンスの年齢も上がっている」とピコー氏は言う。

28歳のアッシュ氏は、彼女のオーディエンスの年齢も上がっていることに言及した。特にビドコン(VidCon)では、彼女に会いに来たファンの年齢層が高いなど、それが顕著に表れていたそうだ。

「(自分のオーディエンスは)ほとんどが若い女の子だと思っていたので驚いたが、会ってみると10代の子たちもいる(ことがわかった)」。

ゲーミングはメタバースの活動の一種

ブランドはメタバースマーケティング戦略を優先しているので、自社製品を紹介するための仮想世界をますます求めるようになってきている。ディセントラランド(Decentraland)やサンドボックス(Sandbox)のようなメタバースのスタートアップとは異なり、Roblox、「どうぶつの森」、「ザ・シムズ」などの定評あるゲームには、何年も前からアクティブな、時の試練を経たファンベースが存在する。ゲーミング関連のマーケティングは、メタバースブーム以前からブランドの間で人気を博していたが、現在ではメタバース活動のひとつの要素とみなされている。

「メタバースを理解しようとしたとき、私たちはすでにその中にいたのだと気づいた。わかりにくいように聞こえる用語なだけだった」とウィノカー氏は述べた。

[原文:Beauty & Wellness Briefing: Roblox’s beauty enthusiasts are attracting brands]

LIZ FLORA(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)

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